20010415

関西 圧送労組、全港湾などが決起
関連業界も共同行動

業界再編へ政策スト

全日本建設運輸連帯労組関西生コン支部・武 建一委員長に聞く

 交運労協セメント生コン部会は生コン産業政策協議会と共催で三月十八日、「セメント・生コン関連産業の再建と雇用・生活確保」を訴え、大阪で約二百台のトラックパレードを行った。そして、全日本建設運輸連帯労組や全港湾など生コン関連労組は、三月二十八日から四月三日まで大阪、神戸などでストライキを闘った。大企業のダンピング攻撃などに、労組主導で業界と共同して闘い、業界の再建と雇用・生活確保の闘いは、中小労組運動の一つの方向を示すものである。全日建連帯労組の関西生コン支部の武健一委員長に闘いの意義などについて聞いた。


 大阪生コン圧送労組は三月二十八、二十九日に未組織も含めていっせいにストライキに入った。
 大阪生コン圧送協同組合があり、そこに参加する会社は、ほとんどが圧送車を数台しか持たない中小零細企業である。圧送車とは、運ばれてきた生コンをパイプなどでつないで、ビルなどの工事現場にポンプで直接送るための車で、大阪で約五百五十台ある。そのうち協同組合に加入しているのが、台数で二百八十一台、会社にして六十五社である。
 このストで、ポンプ圧送業界の存在を内外に示した。それは適正基本料金を昨年九月に設定したが、実際にはその半分以下という実際がある。これでは会社がつぶれてしまう。だから適正基本料金の収受を求めた。
 業界再建の闘いだが、労組としての要求は、雇用の安定だ。具体的には協同組合に加盟している会社が連帯して共同雇用保障制度を確立せよ、という要求だ。つまり、協同組合傘下の企業が規模縮小・倒産し労働者が失業した場合、その労働者の雇用は協組が共同で保障せよ、ということだ。
 また、協同組合に対しては福祉制度の方針を明確に示せ、最低賃金制度を確立せよ、と要求している。
 こうして協同組合と労組の要求が一致して、ストに入った。それによって、業界全体が完全に二日間止まった。
 セメント車は、近畿で約千台ある。そのうち約七百台が三月二十八日から四月三日までストに入り、完全に止まった。
 このストの目的は、決められた公示運賃が、実際には三分の一しか収受できていない。だから法に定められた公示運賃を収受させるための闘いである。
 サービスステーションは、メーカー系列になっているが、自由化せよと求めている。共同利用によって実車率を高めたい。
 そして、メーカーでは先方取引車という青ナンバー(運送専門)以外の車が使われている。そのためにわれわれの仕事が奪われているので、違法な先方取引車を使うな、ということだ。
 労組としては、共同雇用保障制度の確立、産別賃金、産別福祉の確立を求めた。また、賃金のバラツキの平準化も求めている。
 生コン工場だが、大阪で百三十五、神戸で十八である。それをストライキで三月二十八日から四月三日まで、いっせいに止めた。需要が落ち込んでおり、工場数が多く、原価割れを起こしているところもある。業界再建か崩壊かが問われており、そこで中期的に安定するために適正生産方針を確立せよ。効率のよい工場を設定した場合、どうなるのか、その基準を示せと要求した。
 また、取引先はゼネコンや大手商社が多いので、対等取引関係を確立するために中小企業の販売店を協同組合に組織化し、適正価格の収受のための施策を実行せよ、と求めた。このように中小企業の経営環境を改善するための要求を掲げている。

大企業に抗し、業界再建を

 これらの闘いで前面に出したのは、業界の枠組みをどうするかだ。賃上げなどの要求は後ろにした、業界再建のための政策問題中心のストライキである。これは、企業別ではやれない対応だ。
 企業別で闘えば、会社間の競争激化だけである。それでは、政府や財界がやっている規制緩和や中小企業同士の競争・淘汰(とうた)と同じだ。そこでわれわれは違うあり方を探った。今回の闘いには、連帯労組だけでなく全港湾など生コン関係の労組が共同して闘ったことも大事なことだ。
 また、多くの中小業者は経営危機に陥っている。個別の企業での対応は限界に来ている。だから、企業も産別的に結集し、労組との協力関係がなければ対応できない、という意識が経営者にもずいぶんと芽生えている。これはいまの時代状況を反映している。そうしたもとで、生コン関連ゼネストが成功した。
 協同組合との交渉で、ほとんどは六月いっぱいに解決するとの合意ができたので、ストライキは中止した。
 だが、これで終わったわけではない。大企業は、こうしたわれわれの闘いにさまざまな抵抗をしてくると思う。彼らからすれば、一番困ることだから。われわれは、大企業に抗して中小企業と労組が共に生きる道としての闘いを今後とも追求していく。そして、その闘いを全国に広げたい。