20010405

愛知県・山田紡績労組
連日、宣伝行動など展開

解雇撤回求め闘い続ける

ゼンセン同盟 丸山 満常任中央執行委員に聞く

 愛知県半田市のゼンセン同盟・山田紡績労働組合は、昨年から会社の一方的な解雇に反対して闘い続けている。会社は民事再生法を申請中に操業を停止し、組合員を解雇したが、組合は徹底的に闘う方針で、連日抗議行動を繰り広げている。景気後退の中で、ますますリストラ攻撃が強まっており、労働者が職場を追われている。山田紡績労働組合の闘いは、そうした攻撃への反撃として重要である。この闘いについて、ゼンセン同盟本部の丸山満・常任中央執行委員に聞いた。


  会社は昨年十月四日、組合に何の相談もなく民事再生法の手続きを行った。そこで、組合は直ちに団体交渉を行った。会社は、紡績事業は今後も継続するので、安心して会社の生産に協力してくれ、という説明だった。  ところが、会社から十一月十五日に突然、紡績、織布の工場部門を廃止すると文書が来た。そして紡績は十二月二十九日に閉鎖するので、その時点で解雇すると言い出した。紡績に働く労働者は多くが中卒の女性で、昼間は働き、夜は会社が経営する半田学院で勉強していた。その学校も閉鎖するとし、寮からも出ろとの通知が来た。  ここから不当解雇反対の闘いが始まった。  まず、組合は退職の手続きがきちんとされていないので、無効だと主張している。解雇通知が休憩室の机の上に置いてあり、各自がそれを探してようやく解雇を知った。組合員からは「休憩室に行ったら、解雇通知が置いてあった。こんなやり方ってあるのか」と怒りの声が上がっている。  そして民事再生の手続きの中身を調べると、実にいい加減だった。会社は一般債権については一〇〇%返済するといっている。普通、再生の手続きを申請する会社が一〇〇%債権を返済することなどありえない。事実、再生監督者の意見書でも、紡績部門が再生のために足手まといになるとの指摘もない。  確かに、資金繰りなどで困難があったが、再生手続きを行う必要はなかったのではないか。事実、山田会長名義の無担保土地だけでも評価額で約五億円分もある。また、会長の家族で経営する不動産会社は、二、三十億円分の土地をもっている。こうしたことから考えると、今回の民事再生法の手続きは、法律を悪用して自分の財産を守り、犠牲を労働者に押しつけるものであり、到底許されない。  組合としては、こうした事実から解雇は無効だと主張して闘いを始めた。  山田紡績の労組は約六十人で、それ以外に百人ぐらいのパートがいる。闘いが始まってから昨年末、パート、管理職の第二組合をつくった。これは、会社の規定ではパート、勤続三年未満の社員には退職金がない。だが、工場閉鎖になれば、全員が路頭に迷うわけで、せめて社会常識的な退職金ぐらい払うべきだ。そうしたことから、ゼンセン同盟として第二組合をつくり、共闘していくことにした。  だが、これに対し会社はすぐさま介入し、管理職は組合を脱退した。また、管理職が「組合をやっていてもムダだ。会長は組合をやめれば二〇%増の退職金を払う。パートにも二十五万円の退職金を出すと言っている」などと介入した。このことは、団交でも会長が認めていたが、金がおしくなって発言を撤回した。  こうしたこともあって、二つの組合はいっしょになり、闘いを進めている。  十二月から毎日、四、五十人ずつが交代で組合事務所につめている。朝は宣伝カーの出発を見送り、交渉があれば、その報告集会などを行っている。宣伝カーで住民に会社の悪らつな攻撃を訴え、闘争への理解を求めている。この宣伝はかなり効果があり、会社はあわてて「組合は退職金を三倍も要求している」「ビラは組合がつくったウソ」などと逆宣伝している。  そして、組合事務所の電気を止めるなどの嫌がらせまで行ってきた。この攻撃には、会長自宅前で抗議行動を行い、はね返した。ここまでやれるのは、組合員の強い意思があるからだ。そこまで会社側に怒りをもっている。組合員の中には「再生でなく、倒産した方がよい」という意見があるぐらいだ。  この闘いについては、ゼンセン同盟愛知県支部を中心に山田紡績を守る会をつくり、支援している。また、全国から三百万円を超えるカンパも送られている。激励の赤旗などは組合事務所に張り切れないほどだ。これから債権者集会などがあるが、組合員の生活を守るためにがんばっていきたい。