20010325

岩手第1自交(全国一般) 地域共闘が大きな力
違法な変形時間制を阻止

全面勝利判決をかち取る

岩手中小一般労組・高橋 久順書記長に聞く


 岩手県水沢市にある第一自動車学校では、九七年四月からの週四十時間労働制実施に際し、会社側は労資協議をまったく行わないまま、労働基準法を無視し、「一カ月単位の変形労働時間制」を一方的に導入した。これに対し、全国一般・岩手中小労組第一自校支部は、闘争を開始した。全国一般、連合各本部は闘争対策委員会を設置し、共闘して闘い抜いてきた。盛岡地裁は二月十六日、労組の主張を全面的に取り入れた勝利判決を下した。全国一般・岩手中小労組の高橋久順書記長、第一自校支部の及川栄支部長に聞いた。

 会社は、労働基準法を完全に無視して、変形労働時間制を導入してきた。変形労働時間制は、労働者の生活パターンを壊すものである。繁忙期には長時間労働を強い、それ以外は短時間労働を要求するもので、労働者の仕事のパターンと家庭を破壊する。だから、われわれはそれを極力避けたいと考えている。
 また、変形労働制を導入するにしても、労資協議によって、その弊害を極力排除するようにしていくつもりでいた。ところが、協議もせず、労基法にも違反する形で一方的に導入された。
 この問題はわれわれだけでなく、すべての職場に波及するということで反対して闘ってきた。判決でも、われわれが違法だと主張してきたことが、その通りに取り上げられ、勝利した。この判決内容は、何時間働かせるかについて、使用者が任意に決定できる就業規則は違反と、われわれを全面的に支持した画期的な判決だ。
 三月十二日に労働局が直接、会社に入り、改善命令を出した。それは、現在の就業規則そのものが労基法違反だから、判決に基づいて改善し、四月十二日までに届け出よとなった。
 問題なのは、会社側に労資協議の意思がないことだ。組合として、三月十五日に団体交渉を申し入れたが、会社側は十八日に、係争中なので交渉しないと回答してきた。このように会社側はことごとく、対決姿勢でいる。
 われわれ全国一般は、小さな組合が多く、職場でも必ずしも多数派ではない。だが、今回の問題は、中小だけの問題ではない。労働者全体の問題であり、不当なものである、と連合にも訴えてきた。そして、連合は中央、地方ともに本腰を入れてきた。
 そして、われわれの予想以上に連合が前面に出てもらった。連合が出来てから、運動が見えないといわれてきたが、昨年二月の抗議集会、デモなども連合が主催した。だから、連合もやるんだということを示せた。
 全国一般の方針である「争議を連合に持ち込み、地域共闘をつくって運動を活性化させる」ことができたのではないか。
 今後の闘いについては、闘争委員会を三月三十日に開いて決定する。いずれにしても、正常な労資関係をめざすが、会社側が敵対するならわれわれは闘わざるを得ない。特に、会社側が控訴したこともあり、高裁闘争をはじめ闘争を継続していく。


違法な経営者を一掃したい
第一自校支部 及川 栄支部長

 われわれは小さな労働組合だが、デタラメな経営者に対しては、悪いことは悪いとして、やっている。だから、会社が違法な就業規則をやること自体が間違っており、こうしたことを世の中から一掃したい。
 この会社は、二十年前にも組合に加盟した四人の事務職員に対し、組合に入るのはけしからんといきなり解雇した。
 十年ぐらい前の春闘時には、あまりの低額回答に対して、われわれは組合旗を立て、腕章着用闘争などを行った。それに対して、会社は営業妨害だと賃金カットなどの処分を行った。これらはすべて、裁判でわれわれが勝利した。
 そして今回の闘いになった。こうした一連のことから見ても、会社が正常な労資関係からはずれており、とうてい許せない。他の組合からは「なぜ、そんなことが争議になるのか」と不思議がられるが、会社が余りにもデタラメだからだ。
 これらの問題解決のために、職場の基本となる正常な労資関係という当たり前のことを実現させるためにがんばりたい。
 しかし、会社側は俺たちは経営者だから、従業員は俺たちの言うことを聞けばよい、という態度だ。団交も拒否しており、許せない。会社があくまで対決するなら、われわれは容認しないで闘うだけだ。
 裁判所も労働局も就業規則は違法だとしているのだから、きちんと対処すべきだ。そして、経営者は正しい労資関係のあり方を真剣に考えるべきだ。