20010305

連合がパート問題で集会

二つも三つも仕事をしないと
人並みの賃金にならない


 連合は、二〇〇一年春闘において初めてパートの賃上げに触れ、時給当たり十円の賃上げを打ち出した。大企業がリストラ攻撃で、解雇とあわせて正規雇用からパート、派遣、契約社員へと非正規雇用労働者を増やしている中、これはこれで重要なことである。だが、正規社員の大幅賃上げなしにパート労働者の賃上げは困難である。企業、産別を超えた統一闘争こそ春闘の原点であり、そうした闘いこそ求められている。


 連合は二月二十七日、東京で「パート労働を考える集い―公正な処遇をめざして」を開催した。
 会場には、各産別のパート労働者や連合以外のユニオンなど約三百人が参加した。
 集いは第一部として、パネル討論「パート労働を考える」と題して、相原・自治労北海道本部執行委員、久保・ゼンセン同盟中央執行委員、大賀・商業労連総合政策局長、大森・全国一般・東京一般書記長がパネラーとして、報告や問題提起を行った。
 久保氏は「ゼンセン同盟は、糸から繊維、そしてスーパーなどに組織が移行してきたが、当該職場でいえば六十万人のパートが働いており、約十三万人のパートが組織されている。パートの組織化だが、賃金など労働条件の向上はもちろんだが、働きやすい環境づくりがある。賃金や働き方の決定に立ちあうことが重要ではないだろうか。そこに労組の役割がある」と述べた。
 大賀氏は「当該職場の四割がパートである。ここを組織しなければ、組合員が労働者の過半数にならない。現在は六万七千人のパートのうち約二万九千人が組織されている。パートの時給は七百二十八円で、高卒正社員は時給に換算すれば九百円になる。この格差を是正したい。あわせて、税制などの問題にも対処しないと、収入が増えても税金が増えてしまうという問題がある」と指摘した。
 相原氏は「自治体職場には約三十万人のパート、非常勤や嘱託などがいる。問題は、半年か一年の雇用の繰り返しで、定昇はもちろん各種手当もない。それが法律で決められている。だから、自治労では全国協議会をつくり、要求をぶつけている。また、行革攻撃で職員定数は減らされ、仕事は増えているので非常勤は増えている」と語った。
 大森氏は「全国一般では、二十年前から『パート労働相談110番』をやってきた。それは、組合員の賃金調査で、扶養控除から次々と奥さんの名前が消えた。共稼ぎでないとやれなくなってきた。その奥さんの労働条件を調べると、組合がないところではひどい労働をさせられている。こうしたことから、現在はホームページなども活用してやっている。そして、パートの組織化はその職場の組織労働者がやらないと成功しない。また、労基法無視の職場については、社会問題化していくのが労組の責任だ」と報告した。
 その後、会場からパートの発言が相ついだ(別掲)

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 今回の集いは、連合が初めてパート労働者の賃上げに言及したことを受けて行われたものである。
 雇用労働者は労働省が昨年十二月十九日に発表したもので、五千三百七十九万人でパート労働者は千百三十八万人と増え続けている。しかも組織されたパート労働者は、約二十六万人で組織率は二%程度である。
 企業のリストラ攻撃で、失業者が増大するだけでなく、正規社員をパート、派遣、契約社員など非正規雇用労働者に移し変えようとする動きが強まっている。
 こうした中、パート労働者と正規雇用労働者の賃金格差の是正は緊急の課題であり、ILO条約の「同一価値労働、同一賃金」の原則を求める運動を強めることは、まさに労組の社会的責任である。連合など労組が真剣に未組織のパート労働者の要求を取り上げ闘うことが求められている。

10円の賃上げでなく100円に

自治労 東京中野区では、八八年に非常勤連絡会が組織されている。これは、非常勤には交通費が出ないことがおかしいということで、運動が始まった。そして、一歩いっぽ運動を進め労働条件の改善をかち取ってきた。労働組合をつくったことはメリットがあった。だが、区当局は昨年七月に、財政難ということで非常勤の二十七職種・百十人の首を切るといってきた。反対運動を行ってきたが、残念ながら首切りは阻止できず、私自身も三月末で首になる。だが、労組があるので雇用責任を追及している。もし、組合がなければ何もできなかっただろう。パートの組織化は、その点でも重要だ。

地域コミニュティーユニオン 連合がパートの賃上げに触れたことをうれしく思う。それは、正社員に「パートのことをどう思いますか」と聞けるようになったからだ。パートの時給は千円にしても、東京都の平均年収は三百万円といわれるが、そのためには倍以上働かないと人並みの賃金にならない。中には、二つも三つも仕事をかけもちし、やっと年収三百五十万円という人もいる。こんなに働かないと人並みにならないということは、これは賃金問題というより人権問題だ。連合のパート賃上げはうれしいが、十円では考えてしまう。せめて百円の賃上げといってほしかった。

高教組 子供から「本当の先生じゃない」と言われている。保護者からも同じように見られ、溝ができている。だが、非常勤講師として、われわれは教師のプロとしての自信をもっている。雇用形態が違うが、同じ労働者である。組合の中で変な同情はいらないので、同じ仲間としてともに闘ってほしい。