20010225

生産者、消費者がシンポ

21世紀の食と農を考える


 食料・農林漁業・環境フォーラム二〇〇一が主催するシンポジウム「ともに語ろう『つくる、買う、食べる』二十一世紀の食と農を考える」が二月二十二日、東京で開かれた。
 シンポジウムはパネル・ディスカッション形式で行われ、岸康彦氏(愛媛大教授)が司会を務め、パネラーとして鈴木郁馬氏(高知・Iターン農家)、原巻守氏(佐賀・専業農家)、香坂みゆき氏(タレント)、日和佐信子氏(全国消費者団体連絡会事務局長)、荒井伸也氏(サミット株式会社社長)、立松和平氏(作家)の六人が参加した。
 生産者を代表して鈴木氏は、「食料自給率の向上には国内農産物の消費拡大が重要、消費者も理解を」「新しく農業を始める人を支援できるような制度の充実を」と発言した。また「私の地域では小中学生にもっと農業について体験させたり、給食に地元農産物をもっと取り入れたりして『食農教育』に力を入れている。こういう活動を通じて消費者と理解し合いながら農村の活性化を図りたい」と語った。
 原巻氏も「二十一世紀は環境の世紀といわれ、ますます農業の位置が問われている。工業と違って農業こそが環境を守れる産業だと思う。農業を単にコストだけで考えることは問題がある」「農村には文化が根づいている。地方のお祭りの大部分は農業とともにあり、自然に感謝し豊作を願うものが多い。現代の人びとは自然や農村にやすらぎを求めている。こうした自然を守り続けている農業へ消費者の皆さんの理解を求めたい」と問題提起をした。
 消費者を代表して香坂氏は「これまでは正直言って安ければよい、という考えだった。特に国産だから買おう、というわけではなかった。これからは日本の農家を応援したい」と述べた。
 日和佐氏も「牛乳はほぼ国産一〇〇%だが、実際には乳牛の飼料はほとんどすべて輸入に頼っている。食料自給率を上げるといった場合、こうした点を考えなくてはいけない」「消費者もコスト意識だけにとらわれずに、もっと安全や環境に配慮した買物をし始めている」と指摘した。
 立松氏も「単に安ければよいという考えは捨てて、日本の農産物を消費者は率先して買うべきだ。日本の農業を守ることは山河を守ることだ」と自らの農業体験も交えながら発言した。
 シンポジウムは会場からの発言も交えながら進められ、最後に農業や食料、環境などについて「それぞれの地域から考え、声を出していこう」ということなどを内容にしたアピールを採択して終了した。
 このシンポジウムは、コメをはじめ多くの農産物が自由化され、農村、農業が破壊されている中で、一つの問題提起となった。