20010225

自治労ブロック討論集会

自治労は闘う方針確立を

人事評価問題に不満続出


 自治労は二月十四日〜十九日、「自治体、公務員制度改革を考えるブロック討論集会」を全国三カ所(東京、大阪、福岡)で開催した。政府の公務員労働者の身分保障の見直し、能力・実績主義による人事評価制度の導入、さらに市町村合併の推進などによって自治体労働者の職場そのものが変わろうとしている。集会は、こうした問題について対応を検討するためのものである。しかし、自治労中央の方針は、人事評価制度導入を前提にした対応であり、東京集会でも参加した組合員から厳しい批判の声があがった。


 政府は昨年十二月一日、行政改革大綱を閣議決定した。それは、年功序列的昇進や年齢給的な処遇を改め、成果主義・能力主義に基づく信賞必罰の人事制度の原則を明確にするなど、国家公務員法、地方公務員法の見直しを行う、というものである。
 また、橋本行革担当相は一月十七日、給与を年功に比例する部分(年功給)、職責の重さに比例する部分(職責給)、成果に比例する部分(成果給)の三つに区分するとした上で、能力・実績を重視した人事評価制度、信賞必罰をキーワードにする公務員制度改革などを発表した。
 こうした中で自治労は、(1)「上からの押しつけ」による行政改革に対して、市民と共に「効果的で質の高いサービス」を提供できる自治体改革の推進、(2)「財政再建の手段=総額人件費の抑制」を排し、地方財政の確立と税財源の移譲を中心とした第二次分権改革をめざす、(3)公務員制度については、公務員労働者のリストラ・切り捨てではなく、新しい時代にふさわしい抜本的・民主的な改革をめざす、(4)行革・公務員制度改革を最重点課題と位置づけ、運動を全面展開する中から、組合員の結集を図り、組織の強化・拡大をめざす、としている。
 討論集会でも人事評価制度の導入に発言が終始したように、人事評価制度問題が緊急の課題となっている。
 この問題は昨年八月の自治労大会でも、本部が人事評価制度導入に反対せず、「民主的運営」にとどめたことに青森、香川、大分など十三県本部から反対の立場を明確にせよ、という修正案が出された。本部は、趣旨取り入れを答弁し、この修正案は取り下げられた経過がある。
 しかも、ベアゼロ、一時金引き下げが二年連続して強行されており、その上、能力・実績主義の人事評価が導入されれば、職場では労働強化、競争が持ち込まれることは明らかである。
 二月十九日の東京での討論集会でも、職場での組合離れ、組織率の低下などの問題も、闘わずしてさまざまな攻撃に屈したことに労組としての役割が感じられないことが一つの原因であると指摘する発言が相ついだ。各県からの発言要旨を紹介する。

宮城 能力実績主義の評価制度は、労働者が求めたものではない。本部は力関係から導入は避けられないというが、人事評価制度の問題点を明らかにし、反対闘争を構築すること、職場で導入阻止の闘いをつくり上げていくことが求められている。民間においては、すでに能力・実績主義に基づく評価制度が多くのところで導入されている。雇用、賃金制度が大きく変わり、規制緩和の名のもとに労働基準法改悪、労働者派遣法改悪などが行われた。その民間の現状に対する分析や調査が必要ではないか。このシステム導入は、差別・分断、選別することで、総額人件費の抑制、より労働強化をはかることでしかない。いくら、「透明性、客観性などを求める」と言っても無理ではないか。そのことは、民間職場の実情から明らかだ。労働者は生き残りをかけてより競争を強いられることになっている。このことは「ゆとり、豊かさ」とはかけ離れ、一人ひとりの労働者が競争にかり立てられ、賃金闘争に参加しなくなる。そうしたことが労働組合離れが加速される。こうした危険な制度である。自治労としては、問題点は指摘されてはいるが、反対の立場で闘いを構築する姿勢を全組合に示してほしい。

栃木 民間でこれだけリストラ攻撃がかけられている時、われわれの中に身分保障の廃止に反対しずらいという気分がないだろうか。しかし、公務員の身分保障が廃止されれれば、経営者は「公務員でもやっているから」と、もっとリストラ攻撃を強めるだろう。また、今回の人事評価システムで、賃金には差をつけないというが、差がつけられないことはあり得ない。そのために、今回の評価システムは「仲間同士の競争をあおること」「体をこわしても働く仲間がいるのに、もっと働けということだ」と訴えていきたい。同一価値労働・同一賃金という自治労の方針に沿った方針提起を求めたい。

山形 若年層には能力給を求める声があるというが、そのことを分析してみると、残業などが若年層に押しつけられている実際がある。その反発として出ている。学習会を開いたが、能力主義が入れば、長時間残業あるいは残業代の未払いなどが増えるのは目にみえているという意見が多かった。さらに、育児や家事などで女性はどうしても残業がしずらく、かえって差別が拡大するとの指摘もあった。なぜ、自治労が評価制度を容認するかだが、一人の差別も許さない、労働者解放の視点が欠けているのではないか。青年婦人部東北地連では、評価システムに反対する署名が一万七千人集まっている。導入を許さない闘いを求めたい。

宮城 人事評価導入を前提にすることで、本部が役割を果たしたことになるのか。本部はストも含めて闘う体制をつくることに努力すべきだ。人事評価がすでに導入された職場でどうなっているのか。自殺や過労死という問題まですでに発生している。こうした状況で導入されれば、職場環境がもっと悪くなるのははっきりしている。また、闘わないで認めれば、組合員の失望が拡大し、組合離れに拍車がかかるのははっきりしている。明確に反対の立場で闘争を構築する方針を出すことが本部に求められている。