20010225

米軍がいる限り犯罪・事故絶えず
連合沖縄 米軍基地の整理縮小求め

100万人署名運動開始

米国に全国で強い抗議を


 米原潜による実習船えひめ丸沈没事件は、日に日に米軍のデタラメさによって引き起こされたことが明らかになっている。そうした中でも米軍は、九州日出生台での実弾演習、厚木基地での夜間離着陸訓練(NLP)などを強行している。また、沖縄では昨年来、米兵による強制わいせつ事件や連続放火などの凶悪犯罪が続いている。これらはまさに、米軍の存在、日米安保条約の結果である。現在、対米追随で米国に弱腰の森政権はいつ退陣しておかしくないほど追いつめられている。しかし、森政権が交代しても、対米追随の政治が続く限り、これらの問題は解決しない。一方、野党も鳩山民主党代表などは、自民党以上に日米同盟強化を主張している。問題の根本的解決には日米安保を破棄し、アジアと共生する政治への転換以外にはない。米国とそれに追従する日本政府に抗議を集中しよう。こうした中、連合沖縄は海兵隊の削減などによる基地の整理縮小を求め、百万人署名運動と四月二十八日に超党派による県民総決起大会を開催することを決定した。狩俣吉正・連合沖縄事務局長に聞いた。


日米政府は沖縄県民の怒りを受け止めよ
連合沖縄・狩俣 吉正事務局長

 現在、沖縄は極めて異常かつ深刻な状況にある。昨年十二月二十八日、与那城町で米軍ヘリの不時着事故、年明け早々の一月九日には金武町で米海兵隊員による女子高校生に対する強制わいせつ事件が発生。そして一月十四日、国頭村で沖縄女性に対する傷害および器物破損事件と、米軍犯罪・事故が多生した。
 われわれは、昨年七月の女子中学生に対する強制わいせつ事件に際して、七月十五日に緊急県民大会を開催し、これを厳しく糾弾した。
 その後、わずか半年にもかかわらず、犯罪・事故が相ついだ。緊急県民大会で指摘した「謝罪と口先だけの綱紀粛正は空手形、日米特別行動委員会(SACO)の見直しを含め、目に見える具体的な基地の縮小が不可欠」を日米両政府は真摯(しんし)に受け止めるべきである。
 また、これらの犯罪・事故に対して、沖縄県議会は初めて海兵隊削減を明記した抗議決議と意見書を採択し、北谷町議会では海兵隊撤退を求める決議を可決した。多くの自治体でも同様の抗議決議が相ついでいる。海兵隊削減による米軍基地の整理縮小は、まさに県民の一致した要求になっている。
 ところが、こうした県民の怒りと行動に対して、在沖米軍の最高司令官ではあるヘイルストン四軍調整官が二月六日、電子メールで県知事などを愚弄(ぐろう)する発言をしていたことが判明した。米軍は「私信であり本音でない」などと必死に謝罪のポーズを取り、もみ消しを図っている。だが、われわれは私信だからこそ占領感覚の本音を露呈したものであると確信している。
 そして、二月十四日には、一月十五日に北谷町で発生した連続放火事件の犯人が米兵であることが判明した。この連続放火は、財産破壊もさることながら、無差別・大量殺人に結びつきかねない極めて悪質な犯罪である。しかし、この連続放火犯の身柄引き渡しが再び日米地位協定で阻止された。

米軍の「反省」はいつもポーズ
 犯罪・事件が発生するたびにポーズとしての謝罪を繰り返し、いくら口先だけの綱紀粛正や教育の徹底を唱えても米軍犯罪・事件はなくならない。これは、軍隊の本質と米軍基地が沖縄に集中配備されるという過度の負担によるものである。このことを日米両政府に認識させなくてはならない。
 こうした県民世論の高まりに、河野外相が地位協定見直しを発言したり、ブッシュ米大統領がラムズフェルド国防長官に「米軍の兵力構成の包括的な見直し」を指示したことも明らかにされた。だが、過去において米国政府が兵力削減計画を公表した後に、一方的に破棄された経験がある。したがって、決して甘い期待に頼ることなく、沖縄県民の総意を具体的な行動によって日米両政府に示していくことが重要であり、これまで各議会で採択された意見書などの具現化を迫っていく。

幅広い運動構築へ
 百万人署名運動の目的だが、(1)海兵隊を含む兵力削減による基地の整理縮小、(2)徹底した綱紀粛正を図り、再発防止に万全を期す、(3)米軍用地主への補償と基地従業員の雇用対策および返還跡地の環境浄化など、(4)日米地位協定の抜本的見直し、の四点である。
 署名運動によって、四・二八県民総決起大会の成功に向けた県民世論の喚起と沖縄に米軍基地が集中している実態を全国に知らせたい。そのために、県内署名は、組織や団体だけでなく、街頭署名や個別訪問などによって、五十万人を集めたい。
 県外については、労働組合や平和団体などを通じて取り組むことと、インターネットによる署名も行う。
 四・二八県民総決起大会だが、四月二十八日は五二年にサンフランシスコ講和条約発効によって沖縄が日本から分断された日であり、祖国復帰運動が始まった日でもある。そこで、この日に設定した。
 署名運動は超党派の運動にはならなかったが、県民大会は超党派で行いたい。当面、県内の各政党・会派、市町村長会、市町村議長会や経済界、女性団体、青年団体、文化・スポーツ団体などに働きかけていく。だから、日程なども連合沖縄が提案したものであり、確定ではない。
 連合としては、県民運動の準備室を二十三日に設置し、さまざまな呼びかけを行っていく。そして、三月五日には県民運動実行委員会の総会を成功させ、三月六日から署名運動を始めたい。
 そして三月中旬から四月上旬に県内各地で街頭署名、各戸訪問などの地域別集中行動を予定している。そして四月二十五日までに百万人署名をやりあげ、二十八日の県民大会を成功させたい。