20001215


公平性求め 東京地裁を包囲

解雇の自由は許さない


 国労や都労連、全労協などの労働組合員約千五百人は十二月七日、東京地裁・高裁に対し公正な判決・決定を求める請願と地裁・高裁を人間の鎖で包囲する「ヒューマン・チェーン」を行った。
 この取り組みに先立ち、東京地裁で不当な判決を受けてきた争議団の仲間たちが、従来の枠を超えて「クビ切り自由を許さない実行委員会」をつくり、六月に労働組合、弁護団などが参加する集会を行った。また、労働弁護団は解雇自由に反対するシンポジウムなどを開いてきた。こうした中で「東京地裁・高裁ヒューマンチェーン」実行委員会が結成され、共同行動が実現した。
 当日は日比谷野外音楽堂で集会が行われ、さまざまな争議団から東京地裁・高裁の不当判決の連発に怒りの声が出された。決議文採択後、参加者全員は東京高裁前で「整理解雇四要件に基づく、公正な判決・決定を求める請願書」を提出した。そして全員で地裁・高裁を取り囲みシュプレヒコールを行った。
 現在、労働者へのリストラ攻撃が激化している。とりわけ企業法制の規制緩和による「分社化」「部門閉鎖」などによる労働者切り捨てや、露骨な組合つぶしを狙った不当解雇が続出している。
 これに対し東京地裁労働部(民事第十一部と第十九部)は、昨年十月から今年三月にかけてカンタス航空事件など八件の解雇事件に対して、相ついで労働者側の訴えを退ける不当判決を繰り返した。判決内容も「解雇の自由」を宣言し、整理解雇の要件を否定する極めて反動的なものである。
 例えば角川文化振興財団事件では、「解雇は本来自由に行える」と宣言した上で、「使用者は単に解雇の意思表示をしたことを主張すれば足り、解雇乱用を基礎づける事実については労働者側が立証すべき」という驚くべきものである。
 わが国では解雇については、社会通念上合理的で相当な理由がない解雇は無効であるとなっている。そして、整理解雇については、人員削減の必要性、解雇回避の努力義務、解雇基準と選定の合理性、解雇手続きの合理性をクリアーする必要があるとする「整理解雇四要件」(東芝柳町工場事件・最高裁・七四年)として確立していた。
 こうした解雇制限については、日米の財界から攻撃が加えられてきた。在日米国商工会議所は日米貿易白書(九九年)で「使用者は効率的にタイムリーに雇用する自由が必要」と提言し、解雇制限は貿易障壁であるとさえ主張した。
 また、規制緩和委員会は「円滑な労働移動を支援する仕組みが不可欠」と企業が自由に解雇できる解雇法の制定を求めている。
 東京地裁が財界の要求に沿った不当判決を繰り返す中、こうした取り組みは重要である。大企業が国際的な大競争に生き残ろうとリストラ攻撃を続ける中、労働組合の真価が鋭く問われている。


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