20001205


ゼンセン同盟 クラフトユニオンが2回大会開催
ヘルパーの問題浮き彫り

広く浸透するユニオン

日本介護クラフトユニオン 高橋治義アドバイザー、加藤裕二事務局次長に聞く


 ゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン(徳田孝蔵会長・約一万五千人)は十一月十七日、第二回大会を開催した。大会は、介護労働者の労働条件面の基準がまだ確立していないとし、労働条件を向上させる取り組みや職場の悩みなどを受け付ける相談ダイヤル実施などを決定した。クラフトユニオン(職業別労働組合)の高橋治義アドバイザー、加藤裕二・事務局次長に聞いた。


 四月に介護保険がスタートし、介護サービスもそこで働く人びとの状況も大きく変わった。そこで、就業実態調査のためのアンケートを行い、約千四百五十人の組合員から回答があった。
 アンケートでは、就業実態、労働環境、労働条件や働く意識、なぜこの職業を選んだのか、関心事などを調査した。不安や不満、そして今後希望する資格などをまとめた。
 こうして働く環境が数値で表れ、問題点が浮き彫りになってきた。そこで十月二十七日、労働省と厚生省に要請活動を行った。要請内容は、(1)家事援助の範囲があいまいで、実態に合った介護報酬になっていないことから、実態に合った介護報酬制度へと見直すこと、(2)介護労働者の移動にかかる費用などについては、介護報酬とは別に介護保険制度のなかで支払うこと、(3)労働者の職業能力を高めるためにホームヘルパー養成研修修了者に講習会を行うこと、(4)事業者に対して雇用保険への加入を徹底させるよう指導すること、である。
 ヘルパーの時給は千円から千五百円の間が一番多い。時給千円台は他の職種に比べれば、一見高そうに見えるが、移動や待機時間などは半分以上の所で無給である。だから、厚生省にこうした拘束時間についても介護保険制度から支払うべきだと訴えた。
 また、ホームヘルパーで経験一年未満の人が半分を超えており、介護技術の向上については高い関心がある。アンケートでもサービス向上のための能力アップを気にしている。労働省に、そのための措置を講じることを求めた。

試行錯誤だが、確かな手ごたえ

 介護保険の中で労働条件や環境を整備するには、単位労資関係だけでは困難である。したがって、大きくまとまろうとゼンセン同盟は日本在宅サービス事業者協会(在宅協)と交渉し、クラフトユニオンをつくった。
 だが、単位組合の労資関係や上部団体とのつき合い方は理解できるが、クラフトという中での労資関係はどうあるべきかなどの問題は初めてであり、試行錯誤の段階である。
 正社員は約二〇%で、残りは登録ヘルパー、パート、派遣などである。だから、多くのヘルパーは必ずしも営業所やセンターに行かない。そういう人びととどう連携するのか。そこが課題であるが、これを克服しないとクラフトユニオンが成立しない。どうやって意思疎通や意見交換を図っていくかが問われている。
 組織運営としては、こうした実態のもとで、本部=単組とし、それぞれの企業を分会としている。分会長も会社に来ないヘルパーをどうやって組織的運動に参加させるか悩んでいる。そこで、本部として責任をもち、全国九ブロックに分けて、それぞれに支部長を置いている。また、支部長が各分会を回るようにしている。
 組織化だが、会った人びとはユニオンを理解してくれるが、自宅にいる登録ヘルパーなどをどう組織化するかだ。また、パートは組合に入れないと思っている人もいる。
 そこでユニオンショップ制によって社員=組合員として自動的に組織化する方法を考えているが、そのためにもユニオンの実績をつくらなくてはならない。
 また、ダイヤル相談をやっており、四月から約七百件の相談があった。組合員からの相談件数は約六割で、組合員以外から問い合わせがずいぶんあった。そこでは、「仕事が思ったより来ない」「ケアプラン以外のことを要求される」「労働条件が契約と違った」などの相談が来ているので、場合によっては、その企業の労資関係を調査し、是正することもやっている。
 相談してきた組合員でない人には「組合員になってくれれば、労資関係に口出しできるので、加盟してください」と言っている。そうして解雇問題などにも対応している。
 ダイヤル相談によって、組合員が増えたり、組織の活性化も一定程度進んだ。日々クラフトユニオンが浸透していると感じている。

労働条件向上と組織拡大を


 今後についてだが、在宅協と協力し、介護保険の研究や調査、労働条件の調査、研究なども定期的に行いたい。そして組織化や労働条件の整備を図るようにしていく。
 労働条件だが、アンケートでも「仕事の内容に見合う賃金でない」という声や「収入が不安定」というように不満は大きい。それらに対応しながら、さらに組織化や労働条件の整備を図るように努力したい。
 そのために実態調査をもとに、賃上げ、一時金、退職金制度などの要求をまとめたい。また、ゼンセン同盟の共済制度も活用し、ユニオンとしての共済事業を進めていく。
 そして顔を合わせない仲間の交流と要望の強いヘルパー講座を兼ねた交流会を来年は関東、近畿、中京地区で開催していく。そうやって組合員の意思疎通を図り、団結を強めていきたい。次第にクラフトとしての問題を克服していきたい。それがさらなる組織化につながると思う。

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