20001125


高揚する韓国労働運動
グローバル化反対 日韓労働者の連帯強化を

リストラにゼネストを準備


 韓国政府は、構造改革の名のもとで、大手企業の強制清算や公営企業も含めた外国資本への売却など、大リストラを強行しようとしている。こうした状況の中、韓国の失業者は急速に拡大している。全国民主労働組合総連盟(民主労総)と韓国労働組合総連盟(韓国労総)は、これらの攻撃に抗議し、十一月十二日の全国労働者大会には一万数千人が参加した。また、民主労総はすべての組織でストライキを準備し、十二月には韓国労総がゼネストを準備している。十一月十七日、東京で日韓投資協定に反対する集会が開かれ、韓国から民主労総女性連盟委員長や韓国オムロン労組副委員長などが参加、韓国労働者の現状と闘いの報告を行い、いっそうの連帯を訴えた。


自由貿易は犠牲の押しつけ
イ・ジョンフェ(WTO・投資協定反対国民行動委員長)

 韓国では、七〇年代に外国人投資を誘致するための特例法ができた。これは、韓国に投資する外国企業のために、労組ができず紛争が起きないようにさせるものだ。そして八〇年代、馬山自由貿易地域のスミダ電気での工場閉鎖、全員解雇攻撃があった。そのため、日本への遠征闘争を繰り広げたりもした。
 また、北米自由貿易協定(NAFTA)による自由貿易地帯があるが、そこでも馬山と同じようなところだ。ここでは、労組も結成できないし、争議も起こらない。
 そしてNAFTAでは四分の三の労働者が、二〇%の賃下げにあっている。米国の労働者の賃金も下がった。このように自由貿易協定は、労働者全体に犠牲を強いるものである。
 現在、日韓投資協定が締結されようとしており、こうした悪夢が繰り返されようとしている。
 投資協定の次には、自由貿易協定が結ばれるだろう。馬山自由貿易地帯が韓国中につくられることになる。韓国資本が投機資本によってつぶされていく。韓国の多くの労働者、民主団体は、新自由主義反対だけでなく、グローバリゼーション反対までいかなければならないと思っている。
 新自由主義、グローバリゼーションに反対し、世界貿易機関(WTO)の会議が開かれたシアトル、プラハで闘った。そしてアジア欧州会議(ASEM)のソウルと闘いを準備したが、成功しなかった。そこで、十一月十二日の労働者全国大会は、こうした思いで闘われた。今後も闘いを続けていく。


非正規雇用5万人を組織化
チョン・インスク(民主労総女性連盟委員長)

 民主労総は今年の上半期、週四十時間労働制と非正規社員を正規化しろという要求を重点にかかげてきた。
 そして私たちは、週四十時間労働制をかち取り、非正規社員五万人が民主労総に参加した。具体的にはロッテホテルの闘い、社会保険労組の闘いがあった。女性労働者の正規化でも大きな成果を上げた。
 新自由主義、グロバリゼーションはリストラを促進するものである。特に自動車、建設、金属などの大企業でリストラ攻撃が強めると思うので、ここでの闘いを重視したい。
 労働者の七〇%にもおよぶ非正規雇用が進んでいるが、非正規雇用者への保護政策がまったくなく、この問題でわれわれは取り組んでいる。特に女性労働者がその犠牲を受けている。女性の特殊就業形態があり、その保護を正面から打ち出している。
 特殊雇用形態とは、保険の外交員、ゴルフ場のキャディーさん、信用カード販売員、食品会社の販売員に主婦がたずさわっているが、法的保護措置がない。これに対し、民主労総などは女性労働組合をつくった。労基法の労働者には認定されないが、女性労働組合員として労働組合法上の労働者と認定させ、非正規雇用労働者を組織する上で大きな成果を上げている。


オムロンは労使協定を守れ
鄭 振國(韓国オムロン労組副委員長)

 韓国オムロンは、オムロンが一〇〇%出資する韓国現地法人で、工場自動化関連制御機器を販売している。
 われわれは、会社側が一方的に労働協約を破って、組合つぶしのロックアウト攻撃をかけてきたことに抗議し、半年間闘っている。
 われわれは、韓国が国際通貨基金(IMF)の管理下におかれ、経営赤字の事情を考慮して賃金の削減、返納さえ行った。そのため九九年は、売り上げが前年比八〇%増という会社はじまっていらいの実績を達成した。
 だが会社側は、賃上げなどにまったく誠意を示さなかった。そこで今年の五月二十六日からストライキで闘ったが、その後の職場復帰を認めず、六、七月の賃金も払おうとしなかった。われわれの闘いと韓国労働部の指導もあり、会社は不払いの賃金を払い、職場復帰を認めた。
 しかし、復帰後も組合員には従来の仕事を奪うなど差別し、会社が脅かし退職する人が出るなど不当労働行為を続けている。韓国の労働法さえ無視する韓国オムロンに対し、親会社であるオムロンに解決を求めて闘っている。


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