20001105


宮崎 ヘイセイ運輸闘争
組合敵視の偽装倒産

不当な解雇を撤回せよ

連合宮崎・熱田 潮事務局長に聞く


 宮崎県のヘイセイ運輸(宮崎県高岡町)では、会社側の労働条件切り下げに対し、労働条件と生活を守るために昨年労働組合を結成した。ところが会社側は団体交渉を無視し続けたあげく、偽装倒産・全員解雇による組合つぶしを行ってきた。連合宮崎と当該のコミュニティーユニオン・ヘイセイ運輸労働組合は、解雇撤回・完全勝利に向けて闘っている。


ヘイセイ運輸の闘争とは

 ヘイセイ運輸では、たびたびの労働条件の切り下げ、変更を会社が一方的に行ってきた。これでは労働者の生活と権利が守れないと昨年七月十四日に労働組合を結成し(組合員二十五人)、労働条件などについて話し合いを申し入れた。
 しかし、会社は突然七月三十日に「会社を解散したので八月三十一日付けで全員解雇する」との通知書を送りつけた。この会社解散は組合を敵視するもので、組合員だけを解雇するための偽装倒産である。事実、非組合員十二人は社長の母親が経営する親会社の日向商運に全員雇用された。
 何の話し合いももたない一方的な解雇に対し、ヘイセイ労組と連合宮崎は撤回を要求して抗議集会、街頭宣伝など大衆行動を開始した。同時に宮崎地裁に地位保全の仮処分申し立てと日向商運に地位保全を求めた。
 そして連合宮崎挙げての闘いなどにより、裁判所も和解を勧告した。会社側は「三月一日をもって会社を再建し、希望者全員を雇用する」という和解基本合意に応じたが、本年二月二十日の正式調印の当日、合意をホゴにした。
 ヘイセイ運輸労働組合の労働者は、偽装倒産攻撃に対しアルバイトで生計を立てながら、闘争を堅持している。また、連合宮崎の全構成組織は支援闘争を強化している。

組合結成は当たり前の権利
熱田 潮・連合宮崎事務局長

 いま中小企業で組合をつくったら、経営者は何とかしてつぶそうとする。それでも、労資で時間をかけても話し合い、軌道に乗るところが多い。だが、中にはヘイセイ運輸のように極端に組合を敵視し、偽装倒産などを行う経営者がいる。
 こうしたことを許せば、組合が出来ても、すべてつぶされてしまう。だから、絶対に許せない。また、これに続く経営者が出てくる恐れもあるので、徹底して闘い勝利する。
 それと連合全体でいえば、組織率が年々低下している。だが、組織化の最大の対象は中小企業で働く労働者である。その点からも、当たり前の権利である労働組合をつくることを妨害する経営者については断固闘う。そして勝利することが、中小の皆さんが労働組合をつくるためにもなる。
 中小企業で働く人びとがいろいろな不満をもって連合に来るが、「労働組合をつくって対応しよう」というと、「組合をつくって首にならないだろうか」「会社が倒産しないだろうか」などと躊躇(ちゅうちょ)する。そうした不安を乗り越えて組合をつくったヘイセイ運輸の偽装倒産を許せば、二度と組合をつくろうという人びとは現れない。だから何が何でも勝たなくてはならない。
 そのことは連合宮崎に加盟するすべての構成組織が理解している。だから、連合宮崎として抗議行動、署名運動、街頭宣伝などに参加している。
 今後の闘いだが、裁判で損害賠償を求めている件は、比較的早く解決するという観測もある。それと合わせて、抗議行動や県民に訴える宣伝活動などの大衆行動を進めていく。


絶対に社長は許せない
川上 健・ヘイセイ運輸労組書記長

 いま私たちの裁判闘争は、損害賠償に切り替えた。連合宮崎を挙げての運動で会社が和解に応じることになった。だが、二月二十日の正式調印の当日、会社は合意をひっくり返して調印できないと主張した。これではいくらなんでも会社の言うことを信用するわけにはいかない。組合員全員は社長は絶対に許せないという気持ちだ。特に和解が決まり、苦労をかけた家族も含めやっと報われると思っていた矢先のことであり、私利私欲しかない社長は許せない。それが一番大きい。
 組合員はアルバイトなどをしながら闘っている。だからなかなか集まれる状態ではない。そうした中でもできるだけ集まれるようにしているし、連絡を密にしながら意思を固め合っている。
 これからも抗議行動などの大衆行動などには積極的に参加し、全力で闘っていく。


闘争経過
一九九九年
   七月十四日 組合結成
   七月三十日 解雇予告通知
   八月三十一日 全員解雇
   十月 会社より和解の申し入れ
二〇〇〇年
   一月二十八日 和解基本合意(全員解雇撤回)
   二月十日 調印日に会社が合意を拒否
   九月四日 損害賠償提訴


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