全港湾・伊藤彰信書記長に聞く

20000825

組織強化が前進のカギ
労働条件・雇用守るため

さらに春闘を強化しよう

全港湾・伊藤彰信書記長に聞く

　労働組合の大会シーズンも後半になり、二〇〇〇年春闘総括や今後の運動方針をめぐり、さまざまな議論がなされている。特に電機連合など一部の組合には、「春闘不要論」で賃上げや雇用、権利など労働者の労働条件を守る運動すら否定する動きがある。リストラや労働法制の規制緩和で生活、雇用の破壊が進む中、ますます労働組合の役割が問われている。九月十二日から大会を開く、全日本港湾労働組合の伊藤彰信書記長に聞いた。

　春闘が非常に難しい状況になっているのは事実だ。だが、労働者の労働条件、雇用そして権利を守っていくためには、労働者が一体となって闘う春闘は、これからも必要だ。
　特に雇用構造が大きく変化しようとしているし、規制緩和によって労働条件の引き下げや雇用不安が起きており、これらと闘う春闘として位置づけをきちんとしなければならない。
　雇用を守るためには、中小企業や労働法制の規制緩和で雇用構造が大きく変わった派遣労働者、パート労働者などにも焦点を当てた春闘にしなくてはならない。特に、中小企業労働運動を闘っているわれわれからすれば、そこを重点にしながら二〇〇一春闘も闘っていかなくてはならない、と考えている。
　もちろん賃上げを掲げなくては春闘にはならないが、高度成長時代のように賃上げだけで春闘がうまくいくのかといえば、そうでない状況であることはきちんと認識しておかなければならない。だからといって、賃上げは無理だという春闘不要論などに陥ってはならない。労働者の生活向上にとって、賃上げは不可欠であるからだ。
　全港湾では三月二十四日の回答指定日の翌日にストライキを設定した。回答指定日に有額回答を引き出した分会は少ないが、ストを設定しなければもっと少なくなっただろう。
　四月にもストを構えた闘争ゾーンを設定し、東北、日本海、沖縄地本で解決を図ったように、闘わなくては成果はかち取れない。だからこそ統一行動の強化などを、もっと追求しなくてはならない。

規制緩和反対の広い連携を

　港湾運送事業の規制緩和については、九六年から反対し闘ってきた。結果的には港湾運送事業法、港湾労働法の改悪によって、規制緩和が強行された。このため事業参入が免許制から許可制に変わり、運賃料金が認可制から届出制に変わった。そのために、ダンピングや悪質業者の参入問題、港湾労働の不安定化などの問題が予想される。
　われわれの運動によって、いくらかは歯止めをかけることができたが、政府に押し切られた。だが、規制緩和、大きくいえば行政改革に対して、八〇年代から運動を闘ってきた。日本の労働運動の中で、われわれが闘ってきたことはきちんと評価している。
　同時にわれわれの要求は、法改正の中では達成されなかたが、これから規制緩和が実施される中で、どうやって要求を実現させるのかが、大きな課題だ。
　つまり、規制緩和の法改悪は行われたが、これからは現場段階で出てくる。労資でどうやって制度化するのか。地域で最低レベルの要求をどうやって実現するかだ。そのためには、できるだけ広範な労働者の結集が必要になる。港湾でいえば、港湾関係の労働組合の連携を強めたい。そうした運動を積み重ねながら、行政に要求していきたい。
　さらに規制緩和で打撃を受けている交通運輸をはじめ多くの労組などとの連携も地域でつくり出していきたい。
　また、港湾という仕事の性格上からも国際的な連帯が大事であるので、この点をこれまで以上に大事にしていきたい。
　そのためにそうした闘いができる主体、全港湾の組織力量を高めなければならない。これまでは規制緩和については、制度についての論争だった。これからは現場で具体的な問題が出てくる。だから、地域での運動、国際連帯といっても、闘う側であるわれわれが主体的に闘える力量をもたなければ、それらは絵にかいた餅（もち）になる。そこで組織の拡大強化を重点にしていく。それがなければ闘えない。

「周辺事態」には非協力で闘う

　新たな日米防衛協力の指針（ガイドライン）によって周辺事態法がすでに施行された。また、それに続いて有事法制化の動きが急速に進んでいる。
　全港湾としては、新ガイドラインの発動を阻止しようと訴え、学習会やさまざまな行動に参加してきた。
　そして、港湾管理者に対しては、①周辺事態法にもとづく艦船に対して港湾施設の利用を認めないこと、②平和港湾宣言または非核平和条例などの制定を求めてきた。
　また、港湾運送事業者に対しても、周辺事態法にもとづく米軍またはその支援のための物資については荷役や運送を請け負わないように要求してきた。
　われわれ全港湾は、周辺事態法の発動による荷役や輸送については、それを拒否して非協力を貫き闘っていく。
　また、陸・海・空・港湾の二十労組による新ガイドライン反対の運動を行ってきた。こうした闘いを継続していく。さらに地域でも運動を強めて、反戦、平和の課題で闘っていきたい。

20000825

組織強化が前進のカギ 労働条件・雇用守るため

さらに春闘を強化しよう

全港湾・伊藤彰信書記長に聞く

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