20000805


果敢に闘えば成果あり

春闘は組織労働者の責務

全国一般・田島恵一書記長に聞く


 現在、労働組合の大会シーズンの真っ最中である。春闘総括や総選挙総括など、今後の労働運動を発展させる上で重要な課題が多くある。特に連合内の電機連合など一部組合には、春闘不要論や隔年春闘論など、労働者の雇用と労働条件を引き上げる闘いさえ否定する動きがある。闘いこそ雇用、労働条件を守る武器であり、リストラ攻撃が強まる中、ますます闘いが求められている。八月二十七日から大会を開く全国一般の田島恵一書記長に聞いた。


 春闘については、企業や産業別組織の枠を越えて統一的に闘うもので、賃上げ闘争は組織労働者の社会的な責務である。連合がいっているように「社会的所得配分機能の実践」であるし、連合総研もわざわざ「春闘は公共財」だと規定している。組織労働者にとっては、重要な闘いの柱であるし、未組織労働者を含めた労働者の賃金や労働条件の向上を規定する欠かせないものだ。
 春闘改革論がいわれているが、それはここ数年春闘で表れた弱さだ。その弱さとは、企業内組合主義の弱さであり、企業内的な自己完結の弱さ、企業を超えた共闘の弱さである。だからこそ、企業の壁を超えた共闘態勢をいかに構築していくのかが、改革論の柱に据えられるべきだ。
 また、水準の設定か、上げ幅の問題かという議論があるが、三十五歳の労働者の水準を示していくことは大事だ。だが、中小労働者や非正規雇用労働者にとっては、その水準をかち取るためにも、上げ幅をしっかりかち取らなくてはならない。水準と上げ幅は対立したものとしてではなく、一体のものとして取り組んでいかなくてはならない。
 今の労働運動から、春闘がなくなってしまえば、労働組合は求心力も存在意義も急速に失ってしまうだろう。 職場を基礎にしながら、職場から地域に運動を広げることや産別を超えた運動が必要だ。全国一般でも果敢に闘う職場では、一定の成果を上げている。時間外拒否、全員参加の決起集会、ストライキや支援交流活動などは、回答促進と賃金引き上げに効果を発揮した。
 経営者団体は、業績や経常収益を賃金決定の大きな要素にしようとしているが、労働者にとっては生活向上をきちんと対置していくべきだ。だから、春闘改革というなら春闘の原点に立ち返ることが絶対に必要である。

非正規雇用労働者の組織化を

 中小企業労働者は大手と大きな格差があり、時間外労働をしなくては生活できない実態がある。底上げをはかる運動が必要である。
 また、急速なリストラによって、パート、派遣など非正規雇用労働者が急増している。それは有期雇用であるが、その人びとを労働組合が本気になって組織化することが必要だ。だが、こうした仲間を組織するにあたっては企業内労働組合では限界があり、「一人でも入れる労働組合・合同労組」としての全国一般の役割はこれまで以上に増している。
 例えば国際労働機関(ILO)一七五号条約があるが、それは、どのような雇用形態であれ、同一労働には同一賃金を支払うというものだ。わが国政府は、これを批准していないが、その精神を生かして同一労働、同一賃金を求める運動を進めたい。組織労働者がそういう運動を進めることが、経営者のリストラによる収益拡大路線に対抗することになる。だから、非正規雇用労働者の雇用と権利向上を重視する。
 今年も主張したが、反失業の闘いを引き続き重視する。リストラによって大量の失業者が出たり、争議が増えている。リストラに反対し、雇用と労働条件や権利を守る闘いがますます重要だ。個別の合理化に対して、争議労組を全体で支援する運動が求められている。


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