20000705


愛知県豊田 自動車労働者などが集会
トヨタ、日産、三菱

リストラに連携し反撃を


 昨年の日産大リストラは大きな衝撃を与えたが、三菱、マツダでもリストラ攻撃がかけられている。それは労働者はもちろん、下請け企業をはじめ地域経済に深刻な打撃を与えている。多国籍化した大企業は世界的な大競争に生き残るために、労働者、中小商工業者に多大な犠牲を押しつけ、政府はそれを後押しする産業再生法などをつくりあげてきた。リストラ攻撃に立ち向かう労働運動を模索し、集会が開かれた。


 トヨタ自動車の城下町、愛知県豊田市で七月一日、講演と討論の集い「本格化する自動車産業のリストラ、トヨタはどうなる!」が開催された。
 この集会は昨年秋、村山工場の閉鎖と二万一千人の労働者の首切りが発表された日産自動車で、これに反対して闘う労働者を励まそうと準備してきたもの。資本のリストラ攻撃に対抗できる強固な階級的労働運動の構築をめざそうと、トヨタ自動車、三菱自動車、下請け工場の労働者、自治体労働者などが集会実行委員会を結成して準備を進めてきた。当日は約百人の労働者などが参加した。また、集会の呼びかけ人には地区労議長、前県議、社民党支部長、カトリックのシスター、真宗大谷派僧侶が名を連ねた。  集会に先立ち、鈴木利三・安城地区労議長がこの集会の意義と地区労運動の復権を訴える開会あいさつを行った。 そして、「自動車絶望工場」などでトヨタにもなじみの深いルポライターの鎌田慧氏の記念講演「自動車産業のリストラをあばく」が行われた。氏は、自身がトヨタ自動車で期間工として本社工場で働いたころの体験話を混じえながら講演した。
 今日の多国化籍化した日本の自動車産業が日本的労資慣行を破棄して、より利潤を追求するための労務政策を計画的に推し進めてきていること、現在の労働組合がそれにまったく対応できていないこと、人員整理を始めた日産でも優良企業といわれるトヨタでも労働者の賃金にはほとんど差がないことを指摘し、今後はナンバーワンを目指すのではなく、ナンバーテンでも構わないという考え方をもつべきと述べた。       続いて、日産自動車村山工場で働いている中村ヒロシ氏から工場の現状報告があった。氏は労働者全員がある日突然集められて社内連絡用のテレビで工場閉鎖を告げられあ然としたこと、労働組合の抵抗も説明もなく、人事からは一方的に単身赴任か退職かの決断を迫られたことへの怒りを訴えた。すでに数百人が退職して残された労働者も生活を破壊され、将来への大きな不安をもっていること、労働組合がまったく役に立たないばかりか、会社とグルになってリストラを推し進めている現状などを報告した。
 続いて会場よりトヨタ、三菱の労働者、行政改革の名のもとにリストラが進む公務員現業労働者からの意見が述べられた。
 トヨタの労働者からは、好況といわれるトヨタでは徹底した人減らしが日常的に進められており、賃金体系と福利厚生制度の改悪で労働条件が悪化するなど、この一年間の具体的な事例が報告された。三菱では、名古屋工場の一部閉鎖が決まり遠隔地への配転も含めたリストラ計画が発表され、そうした配転人事でも数百人が余剰人員となることへの不安が高まっていることが述べられた。さらに女性の公務員現業労働者からは、民間委託が急速に進み、人減らしと労働強化に職場の不満が高まっていることが述べられた。
 いずれの発言も、日産労働者への励ましと労働者としての強い連帯と連携を求める力強いもので、参加者からは発言のたびに大きな拍手が送られた。
 また、在日外国人労働者の生活支援活動に取り組んでいる西尾地区労の谷田部議長とカトリック労働者同盟の長谷川貴子氏からは、自動車産業のリストラで多くの在日外国人労働者が生活苦に追いやられている現状が報告され、そうした外国人労働者への具体的な支援の訴えがあった。  閉会あいさつでは前県会議員の小林収氏が、自分さえよければいいという風潮がはびこる中で、労働者として連帯しようとする人たちの運動を支援することを呼びかけ、閉会となった。
 会場受付には、檄「がんばれ日産労働者」と書かれた赤旗が置かれ、参加者が次々と署名し、日産労働者へのカンパを申し出る人も現れるなど、会場の雰囲気は盛り上がった。檄「がんばれ日産労働者」の赤旗は、トヨタ労働者より日産労働者中村氏に渡され、二人は固く握手を交わし参加者はひときわ大きな拍手でこれを包み、労働者の連帯をたたえた。


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