20000625


宮城・仙台市 45日間のストを闘い抜く
悪らつな組合つぶしを許さない

全自交稲荷支部 甲山 和男委員長に聞く


 全国自動車交通労働組合連合会(全自交)稲荷支部(宮城県仙台市)は、今春闘において四十五日間のストライキを闘い抜いた。支部の要求は、すでに県内では当たり前になっている勤務時間の短縮であった。しかし、会社は組合つぶしを狙い、労資交渉でも誠意ある態度を取っていない。この闘争に対し、全自交はもちろん連合宮城も支援した。まだ闘争は、継続しているが、支部は最後まで闘い抜く決意である。甲山和男・支部委員長に聞いた。


 春闘においてわれわれは、週四十時間制の導入から、「十二出番の一公休」(十二回勤務して一日休み)から「十一出番の一公休」へ変更することを要求した。全自交・宮城では、どこでも「十一出番の一公休」になっている。わが支部だけが十二出番だ。
 この勤務変更を春闘の柱とした。これを解決しないと、週四十時間労働制にともなう人員増も解決しないし、賃上げも進まない。だから、われわれはしつこく闘った。
 ストライキに入るまで、六回の労資交渉を行った。会社の回答は、週四十時間制にともなう労働時間について、拘束時間は同じで、休憩時間を一時間増やすというものでしかなかった。それでは、またっく週四十時間にならない。われわれは、絶対に認められないと拒否した。ところが、会社側は「組合は信用できない」などの暴論を言い出す始末で、まるで誠意をもって交渉に臨んでいない。きわめてふまじめな対応だった。
 そこで四月二十六日から七十二時間ストに入った。だが、解決しないので二十四時間の反復ストを繰り返し、合計すると四十五日間のストライキとなった。
 なぜ、ここまでストをやったかだが、本来ならこの勤務時間変更は九七春闘で解決すべき課題だった。だが、九六春闘で組合員に知らされないで、当時の執行部がこの問題で裏取り引きした。組合員は、九七春闘の四十八時間ストの最中に、裏取り引きを知らされた。われわれは寝耳に水で、びっくりした。この九七年から、解決を迫られていた。

余りにもひどい組合敵視

 また、われわれのストライキに対し、会社は業務妨害だと裁判を起こした。これは裁判所も労資協議で解決すべきだとの和解提案を行った。そこで会社は提案に応じて交渉を拒否してはいないが、まったく解決しようとはしていない。
 その上、会社は昨年十一月から突然、労働協約を破棄し、それまでの賃金体系を破棄した。いまでは全額歩合制にすると言い出した。それに対し、われわれは三六協定(時間外労働を認める協定)を結ばず、残業を拒否した。それに対しても賃金カット攻撃をかけてきた。この賃金カットについては、裁判で争っている。
 今回の闘争で、社民党の濱田健一衆議院議員などの国会調査団が入った。これは会社のあまりの横暴に対抗したものだ。それは、次のような例でも明らかだ。
 会社は事務所を改築したが、その際に休憩室をつぶした。また、室内にあった水飲み場もはずしてしまった。さらに、組合員を監視するために、ビデオカメラを設置するなど、余りにも非常識な行動を続けてきた。
 だから、会社は調査が入るその日にあわてて会議室に畳を入れて仮の「休憩室」だと、とりつくろった。水にしても建物の外にはあるからと言っている。こんな調子で、まるで誠意をもっていない。

連合などの支援が力発揮

 こうした闘争だったが、全自交だけでなく、連合宮城も支援カンパを取り組んでくれた。また、各種の決起集会などへは、連合の多くの組合が参加するなど支援をいただいた。こうした連帯は、非常に激励されるし、それにこたえるためにもがんばりたい。
 今後だが、労資交渉で解決するということでストライキを解いた。だから、交渉をきちんとつめていく。どう考えても、われわれの要求は当たり前なので、実現するまで交渉していく。
 賃金カット問題は、会社は裁判を取り下げてから交渉したい、と遠回しに言ってきている。だが、賃金カットという不当なものを許すわけにはいかない。この問題は団交でも要求していくし、会社が解決しないなら、裁判でも徹底して争っていく。
 また、会社は組合つぶしを狙っている。そして劣悪な労働条件でだまって働く労働者をつくりだそうとしている。だから、どうしても組合が邪魔になる。
 しかし、われわれのささやか要求さえ無視するなら、とことん闘う。そのためには、団結を固めることを大事にし、会社の悪らつな攻撃をもっとアピールしていく。


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