20000615


「グローバリゼーションの正体」
全港湾、関生などが学習会
規制緩和反対の運動を


 全港湾大阪支部、建設支部や全日本建設運輸連帯労組関西生コン支部など二十五団体は五月十八日、規制緩和に反対する労働者サミット・関西実行委員会を結成した。これは、労基法、労働者派遣法改悪反対など、ここ数年間取り組んできた規制緩和反対の運動を国際的なレベルの闘いにつなげるために、労働者サミットを開催する目的でつくられた。すでに五月二十四日には「沖縄サミットを撃つ」講演集会、六月八日には「グローバリゼーションの正体―WTO・沖縄サミットと規制緩和」と題する学習討論会が開催された。


 労働者サミット・関西実行委員会は六月八日、大阪で学習討論集会「グローバリゼーションの正体―WTO・沖縄サミットを撃つ」を開催した。
 会場には全港湾、連帯労組や全労協などの組合員を中心に約百人が参加した。
 実行委員会は沖縄サミットに合わせ、六月三十日大阪集会、七月一日に沖縄で労働者サミットを開催する。同サミットにはフィリピン、ニュージーランド、ロシアなど海外ナショナルセンター代表が参加する予定となっている。また、七月四日には東京でも集会を準備している。
 経済がグローバル化しことを錦のみ旗にして、多国籍企業などは世界各国・地域で市場開放・投資拡大のために規制緩和を求めている。だが、規制緩和は従来あった福祉、環境保護政策の転換を強いるものとなっている。そして、労働基準法や労働者保護政策も、規制緩和の対象として攻撃されている。
 実行委員会は、こうしたグローバリゼーションの正体を見抜き、規制緩和に反対する運動を発展させるために学習討論会を開催した。
 講師をつとめた中尾繁夫・大阪市立大学経済研究所教授は「米国では、ヘッジファンドなど『ハイリスクハイリターン』などがもてはやされている。だが、産業界では、以前は自動車産業などで大量の雇用があったが、いまはハイテク産業で少数雇用になっている。そのために労働者の賃金はますます低く抑えられている」と米国での規制緩和が労働者の雇用を抑え、低賃金をつくり出していると述べた。
 さらに「日本ではバブル崩壊後、経済機能がマヒしている。だが、大企業は対外純資産を、八九年には四十二兆円だったものを九八年には百三十三兆円と、ドンドン増やしている。その一方で、累積債務がぼう大に膨らんでいる。また、貿易で得た大量のドルは米国債の購入で、米国を支えている。しかし、為替の変動で債券が価値を失うなど失敗している」と政府を批判した。
 その上で「英国は欧州と米国の両方にリンクしている。ユーロがうまくいけば、ユーロに参加するし、もし失敗するなら米国との協調でユーロには参加しないだろう。こうしたしたたかさを日本は学ぶべきだ」と述べた。
 最後に日本社会について「ゼロ金利の束縛から自由になるべきだ。米国のための日米金利差維持は景気を刺激しない。最近は株価が上がったなどといわれるが、投資にしても情報関連以外は不振である。規制緩和による年金や福祉の切り捨ては、公共料金の引き上げや増税をまねくだけである。しかも個人の不安は消費低迷を続けるだけだ。こうした問題を解決しないと日本経済は発展しない」とまとめた。
 規制緩和がバラ色の未来を開くとする支配層のもくろみを鋭く批判する学習会となった。


Copyright(C) The Workers' Press 1996-2000