20000605


関生支部結成35周年
闘いの中で組織は10倍
労組は政治変革の先頭に

全日建運輸連帯労組・関生支部・武 健一委員長


 全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部は、今年結成三十五周年を迎えた。関生支部は、その戦闘性で労働条件向上など大きな成果を上げてきた。また、大手セメント企業の大競争による中小つぶし、労働者への犠牲の押しつけに対し、全港湾や生コン産労など五労組と共同闘争を進め、中小企業が多い生コン業界と協議体をつくり、中小労働運動の一つの典型をつくり上げてきた。最近では、失業者ユニオンを立ちあげるなど奮闘している。武健一・支部執行委員長に聞いた。


 支部は、三十五年前に五職場・百八十人でスタートした。現在は、百七十を超える職場、千七百人に拡大した。組合員は約十倍になったが、まだ物足りない。しかし、百七十を超える職場、つまり分会は大きな力となっている。多くの拠点が増えたことが、影響力を拡大している。これは、大きな成果だと自負している。
 では、なぜ組織がここまで拡大したかだが、当時、関西の生コン職場では、極めて奴隷的な労働条件だった。
 一年のうち正月三日間だけしか休みがなく、日曜祭日も出勤で、一年のうち三百六十二日が出勤という状態だった。それに加えて、長時間労働で、所定労働時間以外に二百五十時間ぐらいの残業があった。さらに「タコ部屋」と呼ばれる寮では四畳半に二人、六畳では三人が詰め込まれていた。しかも寮長は会社側の人間で、ものも言えない。このようなひどい労働条件を、大きく改善してきた。
 大阪、兵庫、奈良などでは、年間休日百二十五日、年間労働時間は千七百九十九時間となった。賃金は三十五年前は歩合給だったが、現在は大阪の平均では年収七百五十万円になった。さらに退職金の改善など、これらの労働条件は目を見張るものがある。 これは、支部誕生、その後のいくたの闘いの中でかち取ってきた重要な成果だった。こうした労働条件の改善が組合への加入を増やし、さらに力をつける中で、また闘いを広げた。こうした三十五年間の闘いの歴史が、組織を増やしてきたと考えている。

大企業に中小労資で対抗

 また、われわれは労働運動においては、企業別的な運動から産業別的な運動に発展させていく方針を掲げてきた。
 たとえば集団的な労資関係をめざし、個別企業での労資交渉だけでなく、生コン産業のあり方をめぐって、中小企業集団とも協議してきた。これは経済・産業民主主義ともいうべきものである。生コン産業では、大企業が大量販売をめざして安売り競争を行うが、そのツケは中小企業に押しつけられる。さらにそれは、そこに働く労働者の犠牲となる。こうしたことから、大企業との取引の改善、秩序ある産業をつくりだす努力をしてきた。
 さらに産別的な雇用制度、産別的な福利厚生などを協議してきた。そこから生コン職場の他産別である全港湾、生コン産労、CSGなど五労組の共同取り組みに発展している。これは、規制緩和の中で大手労働組合が競争に巻き込まれているのとは、対照的に中小労働運動の中で、過当競争に対し、労組の団結を背景としながら中小企業と一体となって、大企業の横暴を認めない流れをつくり出すことに成功している。
 こうした中小労組での運動をさらに発展させるために、昨年十二月に二万五千人の組合員が参加する「中小労組政策ネットワーク」をつくった。このネットワークは労働法制、企業法制などの規制緩和によって、労働者の雇用や労働条件を切り捨てる法案に反対する運動などを推し進めている。

失業者の自立した闘いを

 失業者ユニオン(別掲)を今年の三月につくった。もちろん失業相談件数ははるかに多く、現在で毎日十件以上ある。そうした中で七十人がユニオンに定着している。
 これは、失業者が自立して闘っていける機能を提供するようにしている。支部の会館に「フリースペース」として開放し、コンピュータを入れて、職安とネットワークを組んでいる。そこで職探しができるようにしている。
 また、自らの知識や知恵を出して、自立できることを考えている。間もなく会館内に「大衆食堂」を開店する。これは、雇用創出もできるし、安い食事を多くの人に提供できるようにしたい。
 次に多くの出資者を募って、会社をつくろうと考えている。
 また、現在ある百七十分会事務所もすべて開放することを検討している。そうすれば、かなり拠点が広がるだろうと思っている。
 支部には百七十人の日々雇用の仲間がいる。二十八年前に優先雇用協定を結び、組合員を優先的に雇用させてきた。この結果、不当解雇されても、組合員であれば雇用が確保できるということで、仲間が増えてきた。
 現在、日々雇用の労働者は二カ月を通じて二十六日の出勤を保証するように生コン業界に求めている。これは、二カ月で二十六日働けば、雇用保険が適用されるからだ。また、政府には、二カ月で二十日働けば雇用保険が適用されるように要求している。
 支部としては、年休の完全取得によって日々雇用労働者の仕事を確保することをまず進めている。年収九百万円以上のところでは、ワークシェアリングも考えてみる必要がある。もちろん、日経連がいうような労働条件の悪化を容認するものではないが、いくらか日々雇用労働者に仕事をまわしたい。
 われわれは、こうした労働条件の改善だけでなく結成直後から、反戦・平和、国際連帯の課題などにも取り組んできた。特に一九六六年の国際反戦デーは、米国のベトナム戦争に抗議するものとして「ベトナム連帯スト」を行った。会社側はこれに対して、私を含めて組合役員三人を解雇してきた。ただちに解雇撤回闘争を取り組み、これは完全に勝利した。

悪政の転換こそ生活守る

 生コン産業は、全国で五千工場があり、十三万人が働いている。だが、ほとんどが未組織である。だから、関西でやっている組織拡大の闘いを強め、全国に波及させたい。そうして、全国で労働者の組織化を図りたい。
 そして、重要なこととして、政治の変革がある。森自公保の連立政権は、私たちの認識では、新ガイドラインなどにみられるように安保強化―戦争の道を歩む内閣である。
 そして、連立政権に反対する者に対しては、盗聴法などにみられるように民衆弾圧内閣である。
 そして規制緩和は、大企業のために弱肉強食社会をつくり、労働者や中小企業を犠牲にしている。政治の枠組みを変えなくては、労働者の暮らしもよくならないことが、今ほどはっきりしている時はない。だから、支部としても政治の変革のために奮闘していきたい。


リストラ・失業者のための
失業者ユニオン


  関生支部では、失業者ユニオン「フリースペース」を立ち上げた。失業者が自立できるようにユニオン会館内に失業者のための相談コーナー、求職検索コーナー、研修・資料閲覧コーナーなどを設けた。失業者ユニオンの趣旨を紹介する。

 「新たな出会いと出発点を自らでつくろう」とリストラや倒産など で職を失った人たちで失業者ユニオン「フリースペース」として発 足。関西は特に失業者数が全国レベルでもはるかに高く、より深刻な 状況にあります。失業者の人たちは、失業したショックから当然悩 み、失望の境地から挙げ句の果てはノイローゼになったり、自殺ま で考える人もいます。特に家でこもっていると、その傾向はますま す強くなっていきます。
  だから、家にいないで同じ境遇を持った仲間と前向きに今後のこと を考えていきませんか。
 失業者ユニオンでは、合計10台のパソコンが設置されています。 パソコンを使ってインターネット上での求職情報の閲覧や仲間同士 との意見交換、また支援する労働組合などからアルバイトのあっせんもあります。
 また、今後は雇用創出のための施策を求めて運動を起こし、自らで 職を創り出す事も考えています。 一人で家にいて悩んでいないで、どうぞ失業者ユニオン「フリースペース」にあなたも参加してみませんか?

連絡先  06-4393-6660
大阪市西区川口2-4-28


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