20000515


AFL―CIOが講演
昨年は26万5千人拡大

全組織をあげ、組織拡大で成果


 連合は五月九日、セミナー「AFL―CIOの組織拡大に学ぶ」を開催した。これは、連合が一月にアメリカ労働総同盟産別会議(AFL―CIO)の組織化調査団を派遣した報告もあわせて、AFL―CIOのアンディ・バンクス氏(ジョージ・ミニーセンター主任研究員)を招いての講演会として行われた。以下は、拡大に傾注したアンディ・バンクス氏の講演趣旨。


 AFL―CIOは、一九五五年にアメリカ労働総同盟(AFL)と産別会議(CIO)が合体して誕生した。それから現在に至るまで、民間での組織率は四五%から九%に低落した。
 こういう時にスウィニーが会長になり、すぐにAFL―CIOのすべての部局に一カ月以内に組織化の計画を提出するように求めた。これまで組織化などと無縁だった国際局なども組織化の役割を認識し、任務を果たさなくてはいけなくなった。AFL―CIOの歴史では、それほどオルグ活動をしたことがなかったので、スウィニーの指示は抜本的な改革であった。

AFLーCIOの役割
 そこで組織化にAFLーCIOがどような役割を果たせるかだが、具体的な役割の一つは調整役である。事業所で組織化を行う場合に使用者は一つだが、労働組合は複数、つまり五から七つなどということがある。例えば、フロリダで老人ホームを組織している組合が二つある。そこで、AFL―CIOが調整し、二つの組合がいっしょにオルグした。そして組織化が終了した後、それぞれの組合に参加してもらった。
 また複数の組合が組織化のキャンペーンをはる場合でも、AFL―CIOが資金援助をして、より大規模なキャンペーンを行うようにする。そうして、あまり組織化に熱心でない組合もこの運動に巻き込んでいく。
 AFL―CIOでは、特別資金として二千万ドルを集めて、オルグ養成資金としている。この資金の半分は、組織化のキャンペーンを行っている組合への支援とする。残りの半分は、広く国民に労働組合を紹介するキャンペーン費用に使っている。
 大多数の国民の抱いている労働組合のイメージは、デブちょの白人がたばこを吸っているというものである。したがって、若い労働者、女性、移民などに芳しくないイメージができあがっているた。
 そこで、このイメージを取り除くため、活発な活動が行われている。それは広告はもちろんだが、重要な公民権運動や人権団体、社会正義のための宗教団体、公民権運動、女性団体、特に移民の人権を守る運動などの団体と接し、組合の理解を深めてもらっている。
 次に全国(産別)組織についてだが、AFL―CIOは組織化のサポートであり、組織化の中心は全国組織の任務である。多くの全国組織は、自らの組合に組織化が重要な任務だということを説得することだった。だが、これが困難であった。
 そこで多くの労組が組合員教育を打ち出した。そこで労働協約、賃金が未組織労働者の存在によって、よい条件にならないことを教育した。例えば、組織化されている場合の賃金は、未組織より四〇%高いことなどを教育している。
 具体的な組織化の実例を紹介する。
 組織化の第一段階は、委員会設置である。事業所の各分野の主な人びとを集め、それぞれの部署でリストをつくる。この段階は微妙な時期なので、中心人物だけを組織する。そうでないと、会社の圧力が加わり、計画が妨害されるからだ。
 第二段階は、労組への支持・勧誘である。労組を立ち上げ、企業に対し労組についてイエスかノーかを問う。たいていは、ノーである。
 第三段階では、労組認定のキャンペーンの時期になる。米国では、法律で二カ月間の労組加盟のための選挙運動がある。われわれも必死に選挙運動を行うが、会社側も反対運動を行う。ある企業では、給料を渡すとき二つの封筒を出し、一つには九〇%がもう一つには一〇%の賃金が入っている。そして、会社は労組が出来ると一〇%が、組合費として取られるという。九〇%の方の封筒を開けると「組合に入らなければ、賃金を上げる」などのメッセージが入っている。
 この会社での組織化は成功しなかったが。しかし、スウィニー体制になってから、こうした組織化でも五割以上は成功している。だが、労働協約を結ぶのはそのうちの三五%程度だ。
 そして、現在は第四段階というものを設定している。それは労働協約を結ぶことを目的にしたものだ。当然、組合づくりとはオルグも変わってくる。短期間の大量のオルグを投入しての組合づくりから、そこで働く人びとが中心になり、内部の力に目を向けることだ。そして、地元の社会運動の諸団体との連携を強化する。同じ企業の他の事業所の組合にも支援を要請する。
 こうした運動は時間がかかるが、組織化の成功率も八割以上になっている。このように組合員を基盤にしたモデルが最近の特徴であり、最近では十二年間かかって在宅介護で働く人びとの組織化に成功したり、一万人以上組織した産業もある。


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