20000405


ホームヘルパーを組織 20万人組織をめざす

ゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン 菅井 義夫会長に聞く


 介護保険が四月一日からスタートしたが、ゼンセン同盟は一月二十四日、ヘルパーなど日本で初の介護従事者を結集した「ゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン」を結成した。その後、組織拡大を図り、二月二十七日には一万人が組織された躍進大会を開催した。職業別労働組合(クラフトユニオン)の結成は、新しい産業創出の中で全国的に統一された労働条件、環境を確保するだけでなく、労働組合の組織化という点でも新たな一石を投じたものとして注目されている。初代会長に選出された菅井義夫氏(ゼンセン同盟副書記長)に、経過や今後の決意などを聞いた。


 介護保険は、ビジネスチャンスということで、これまでの病院関係だけでなく、商社、生命保険会社、建設会社などが参入してきている。そして、そこでの働く人びとが増えてくる。
 また、過渡的には過当競争になるだろう。介護するヘルパーは足りないし、また全体がはっきりしないので、混乱するだろう。そうなると、利用者である高齢者に適切なサービスが提供できるのかという問題がある。
 そこで働く人びとは「二十一世紀の福祉の担い手」などともてはやされているが、本当に生活をかけて仕事ができるのか、夢と希望をもって働けるのか、不安をもったスタートだ。
 早くきちんと良質なサービスを提供できる状況、安心して働ける状況をつくらなくてはならない。そのためには、そこに働く人たちの労働条件、環境を整備する必要がある。それは、労働組合をつくることで可能になるし、またそうしなければならない。
 幸いなことに業界側には日本在宅サービス事業者協会があって二百社以上が加盟している。そこに加盟しているところで組織を拡大しながら、ユニオンと事業者協会との窓口をつくり、統一的な労働条件・環境などを話し合い実現していきたい。

労組組織化で壮大な実験
 今回のユニオンは、全国横断の組合をつくり、大枠の労働条件、環境をつくろうという目的だ。
 これまでは企業ごとに組合をつくってきたが、景気が悪くなれば、労資一体で他と競争するようになる。それでは秩序ある安定した業界にはならない。そこでクラフトユニオンにした。
 これは、現在の労組の組織率低下の中では、一つの壮大な実験にもなる。よい意味で一石を投じて波紋が広がっている。労働組合が企業の枠に閉じこもっている現状があるので、できるところから企業の枠を超えた連帯を広げていきたいと思っている。もちろん介護だけでなく、他の業界にも広げていければと思う。
 
大規模な実態調査を実施
 ヘルパーは八割以上はパートである。パートには直接雇用と派遣や委託などがある。まだ状況はつかみ切れていない面もある。スタート後はもっとはっきりするだろう。ユニオンとしても実態についてはきちんと把握するために大規模な調査を行う。
 ヘルパーは全体で、三十万から四十万人といわれる。まだ一万人しか組織していないので、わずかな数であり、大きな影響力をもってはいない。当面は四十万人の半分である二十万人を組織する。そしてユニオンの影響力を拡大することで、公正な労働条件を実現できるだろう。また、そうなればユニオンに参加していない労働者にも影響していく。
 八月までは三万人を超えると思っている。組織化には、企業ごとの団体加盟がある。ただし、企業ごとに単組をつくらず、クラフトユニオンに全員加盟してもらい、クラフトユニオンとその企業でユニオンショップを結ぶようにしていく。
 一方で、個人でしか参加できないところもあるだろう。ただし、個人で参加する場合でもその職場には同じ仲間がいると思うので、そうした仲間を誘って加盟するように呼びかける。ユニオンとしては当然、個人加盟でも応援するが、ユニオンにも限界があるので、できるだけ多数で参加してもらうようにしたい。どうしても多数でないと企業に対する影響力が発揮できない面があるからだ。
 実際に介護保険がスタートすれば、労働条件が違うなど組合員から苦情が上がってくるだろう。また利用者からも来るだろう。そうした問題では、業者、自治体などとも協議し改善させる努力をしていく。迅速に処理できる組織機能が求められていると思っている。
 また当然、組合員への共済事業も大切なので準備していく。

問い合わせなどは
ゼンセン同盟
日本介護クラフトユニオン
電 話03ー3291ー9381
FAX03ー3291ー3791


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