20000405


学者 弁護士 議員 労組が共同 連携してリストラはね返せ

「リストラ攻撃にどう闘うか」講演と討論会を開催


 失業率が五・一%と過去最高を記録し、リストラは続いている。昨年の日産リストラは大きな衝撃を与え、日産では第三次面接が行われている。そうした中、二月には武蔵村山工場の労働者が自殺した。そうした中東京で、講演と討論「日産・リストラとどう闘うか」が三月二十三日行われた。自動車労働者の報告、労働弁護団からの問題提起や元三池労組労働者の記念講演など広くリストラに抗して闘う上で重要な提起もあった。


 講演と討論「日産・リストラとどう闘うか」が三月二十三日、日産村山工場に近い立川市で開催された。主催は、「三多摩働く者のつどい実行委員会」で、代表は隅谷三喜男氏(東大名誉教授)。
 主催者を代表して大日向宏氏(八王子ユニオン委員長)が「企業は労働者に犠牲を押しつけている。だが、不景気だからリストラは仕方がない、などという世論が操作されてつくられているのではないか。今日は、どういう視点で闘っていくのかを考える機会にし、元気が出る集会にしよう」とあいさつした。
 武田浩一氏(トヨタ関連工場労働者)が特別報告として、トヨタの現場でどのような攻撃が行われているかを語った(別掲)。
 続いて宮里邦雄氏(日本労働弁護団副会長)が「労働弁護団では年に二回『リストラ一一〇番』を行っているが、だいたい五百件以上の相談がある。多いのは退職強要とリストラに伴ういじめである。今、労働裁判は戦後最高の数字になっている。それほどリストラにからむ裁判が増えている。しかし、それは一部に過ぎず、職場ではもっともっと多くの攻撃が行われているだろう。リストラにさらされている人びとを受け止める相談窓口をつくることが大事だ。そうして、リストラに『ノー』といえる労働者をつくり、また、それを支える人びとをつくるためにがんばりたい。また、政府は商法改正など、さらに労働条件の切り捨てを狙っている。それに対して労働者保護法制定の要求がある。労組などの広い連携をつくり世論を盛り上げていくことが重要だ」と指摘した。
 特別講演として三池闘争を闘った藤沢孝雄氏(元三池労組執行委員)が、三池闘争の経験を踏まえて、労働運動を発展させる観点などを熱っぽく訴えた。
 また、日産村山工場の労働者は、リバイバルプラン発表以降の職場の動きや、労働者が栃木か横須賀工場へ異動することに迷っていることなどを報告した。
 閉会のあいさ行った実行委員会の代表である隅谷三喜男氏が「皆さんの話を聞いて、労働運動について研究者として行ってきたことを思い出した。そこで、こんにち研究者は何をしなくてはならないかを考えていきたい。弁護士の方々はリストラに対し、もっと法的に労働者の権利を守るためにがんばっていただきたい。そして労働者はどう労働運動を発展させるのか、今日の集いはそうした点で議論する場ができたのではないか。今後ともこうした場をつくりたいし、議論を続けていこう。そして労働運動を前進させたい」と語った。


特別報告
戦略をもつことでやれそうだ
トヨタ関連労働者  武田 浩一

 トヨタのリストラの現状だが、賃金ではすでに十三年前に職能給を導入し、段階的に年齢給を下げてきた。そして、今年になって事務、技術系は完全な職能給賃金を完成させた。現場では一部年齢給が残っているが、トヨタは狙い通りの賃金体系ができたといっている。
 事務部門では正社員を減らし、ほとんどが派遣労働者でまかなわれている。また、最近は安上がりな労働力ということでラインに女性労働者を入れてきた。
 私たちは、相つぐリストラに対してなんとかしなくてはと、まず日産労働者への激励宣伝活動を始めている。そしてトヨタ労働者には、日産労働者と連携して闘おうと宣伝活動を行っている。
 トヨタは世界的な戦略をもっており、それと闘おうとするわれわれは戦略的観点をもたなければ闘えない。戦略というと大変だと思うかも知れないが、どこに拠点をつくりどういう勢力と連携するのかが、何となく分かってきた。闘う上での陣形が浮かんできたのである。
 リバイバルプラン直後に宣伝を始めたが、当初はトヨタだけではなかなか闘えない気分があった。だが、この宣伝がきっかけとなった。また、三菱自動車や日産の活動家と話し合う機会もあり、連携して活動することが大事だと思った。そうすればもっと力がわいてくる。地域でも本工だけでなく期間工や下請け、失業者と連携してやれそうだと気分が広がった。
 こうした考え方をトヨタの活動家などに広めているが、やろうという仲間が増えている。そのための大衆組織をつくろうと、六月にはトヨタの牙城である豊田市で集会を準備している。
 労働者に不満は強まっているが、立ち上がれない要因もある。その要因を打ち破る活動家を組織しなければだめだ。実際そのために、労働相談、労働学校もできる大衆組織をつくりたいと考えている。
 豊田市議補選では、私たちも推した市民グループの仲間が保守との一騎打ちで五万票以上の差をつけて勝利した。運動をした私たちが信じられないくらいだが、やはりトヨタに好き勝手にさせないという市民の声が出てきたことも、やれると感じさせるものだった。


呼びかけ人
隅谷三喜男(東大名誉教授 )、 山本博(弁護士)、師岡武男(評論家)、矢倉久泰(ジャーナリスト)、山本治史(多摩市議)、今村吉則(東京マイコープ労組委員長)、大井恒行氏(弘栄堂書店労組書記長)、大日向宏(八王子ユニオン委員長)
皆川友和(オリジン電機瑞穂労組委員長)

賛同人
浅野大三(横田基地飛行差止訴訟団団長)
足立和巳(東京都ユニバーサルホッケー協会副会長)、 近藤浩(瑞穂町議)、三宮克己(府中市議)、 渋谷信喜(日野市在住)、 高井章博(三鷹市議会副議長)、高橋勝(青梅市議)、 伊達則雄(中野区職労委員長)、 富山庄衛(前三鷹市議)、名児耶幸雄(国分寺市職労書記長)、 西村昭(全労協全国一般)、西山勳(広範な国民連合・東京世話人)、 堀秀夫(自治体職員)、山田朗(現代史研究会)、 山中明(労働運動研究者)

賛同団体

国労闘争団全国連絡会議
全労連生協労連・全労協全国一般東京労組・東京マイコープ労組


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