20000215


2000年春闘 もうガマンできぬ生活破壊

要求実現へ断固たる大衆的闘いを


 いよいよ二〇〇〇年春闘がスタートした。資本の側は、国際競争にうちかつコストダウンのために「総人件費抑制」を掲げ、ベアゼロどころか賃下げを打ち出している。「ワークシェアリング」も言い出し、「雇用も賃金も」労働者に犠牲を押しつけようとしている。雇用不安と生活危機が深刻化・長期化している。切実な要求実現のためには、一部にある「春闘不要論」を打ち破り、労働組合の団結とストライキを含む大衆的な実力闘争、地域での強力な共闘体制などの構築が求められている。厳しい状況下の中小労組は、特に闘いの意気込みが強い。二月八日に行われた中小共闘センターの二〇〇〇年春季生活闘争「格差是正フォーラム」での服部光朗代表のあいさつなど、闘いの決意を紹介する。


妥結基準を死守する闘いを
連合・中小共闘センター 服部 光朗(JAM会長)代表

 中小共闘センターは六年目になるが、連合傘下の七十数組織のうち三十一組織が参加している。中小が千人以上の組合に比べ、どの位の水準にあるのか。過去五年の動きをみると、賃上げの妥結水準でみれば、二千三百円くらいの差がある。センター登録組合で大手の八割、連合全体の中小は大手の七割くらいの賃上げしかない。
 したがって、格差是正に取り組んでいるが、実際は格差が拡大している。格差問題の要因にはいろいろあるが、大きな問題が二つある。一つは、労働市場の二重構造。もう一つは、下請け構造、親企業と下請け企業の賃金格差である。しかもそれは規模別にも格差がある。これらは春闘でいくらがんばっても是正はむずかしい。社会的な構造、産業政策の変更なしには困難である。
 だから、われわれの春闘における格差是正は、単年度の格差を開かないようにすることだ。そのために努力してきたし、各構成組機が努力している。しかし、最終段階にきて中小では二千円から四千円という低額で妥結する組合が多い。九五年から中小共闘センターとしての妥結基準をつくってきた。九八年は前年実績を上回る、そして九九年は五千五百円以上という線を引いた。だが、そこに到達する組合が三〜四割しかない。妥結基準を決めたなら、各組合が何としても基準を死守し、かち取る運動にしなくてはならない。
 そこで今年は、妥結基準を守りきる闘いをしていただきたい。ある面ではナショナルミニマム(全国最低賃金)としての意味をもつ。
 特に中小の場合は、交渉が非常に少ない。大手の回答が出て、その水準を確保できればよいが、日がたつにつれてその水準が下がっていく。今年の連合春闘は二%の定期昇給分は前段でかち取れという方針だから、中小といえどもそれに参加していく。三月前段で、そういう闘いを行う。
 最大の山場は三月十五日ごろになるだろうが、中小センターとしても相場形成にそれに参加していく。また、三月末には回答促進デーが設定されている。中小共闘センターとして、今年は三月末の集会を行い、四月にもう一度山場を設定し、決起集会を行う。その時には妥結基準が出されているので、それを守るようにし、翌週には最大の山場をつくるようにしたい。すべての組合が四月末には終結させる。
 また九九春闘では、要求未提出や無回答が二〇%を超えた。雇用問題が暗礁に乗り上げ、賃上げができなかったところがあった。これは、個別企業の労資関係だけではなくて、中央から地方から支援をしていくようにしたい。


地域での連帯で闘う
連合福島・田村地区 佐久間 通事務局長

 繊維労連に属しているが、会社は昨年八月に倒産、工場閉鎖・全員解雇の攻撃を受けている。組合としては、労働債権の確保の闘いを地域共闘の支援のもとで取り組んでいる。未払い賃金などは約五〇%を回収できた。残りは不動産の売却などによって、確保したい。また、再就職状況は年齢や地域問題もあり四割以下にすぎない。
 地区連合は約二千四百人の組織で、ここ数年の春闘では二十四組合のうち三月に妥結した組合は年々減少し、昨年は二割程度になった。また、事業所の配転で、地区連合内の四組合が消えかけている。配転できない人は失業を意味するし、町が死んでしまうという不安が大きくなっている。
 これまでも未解決組合への激励行動を積み重ねてきたが、日常的な交流で連帯感が強まってきた。こうした連帯によって二〇〇〇年春闘を闘っていきたい。連合組合員一人ひとりの奮闘で、賃上げをかち取り消費拡大・景気回復に努めていきたい。(連合春闘開始宣言集会から)


反失業・賃上げ春闘を
全国一般労働組合 田島 恵一書記長

 全国一般の二〇〇〇年春闘は、なんといっても反失業闘争だ。大手のリストラ策で下請けが再編・整理され閉鎖提案が出ているので、これにはっきり「ノー!」と言って闘う。その場合には、直接下請けの経営者と闘うだけでなく、背景資本、親企業に対して交渉を求め、闘うことを重視する。
 ここ一、二年の全国一般の経験から言っても「闘ってこそ首が守れる」というのが結論だ。職場の団結を強めることを第一にしながら、闘いを企業の枠に閉じこめるのではなく、地域に広げたい。そして同じように悩む労働者へ運動を広げ、全国の仲間と団結を強めていくようにしたい。
 賃上げでは、労働組合として「要求する権利」を放棄するのではなく、要求を出すこと自身を重要な運動として取り組む。組合員の生活実態、実感を大切にした、みんなが団結できる要求こそ力になり、闘いの基本だ。厳しいからといって要求を出すことをちゅうちょしたら、組合の存在が問われることになる。
 要求は定昇込みで一万二千円が基準で、個別賃金要求基準は三十五歳の到達水準で三十万三千円。最近のアンケートでは、ここ数年賃上げ要求額が落ちる一方だったが、今回は反転して高くなった。ここ数年連続した実質賃金の減少に限界がきており、もう黙っていられないという表れだろう。この怒りとエネルギーに依拠して闘いたい。
 一部に「ワークシェアリング論」が出ているが、形を変えた賃下げ容認ではないだろうか。雇用の確保・維持というならサービス残業をやめ、年休の完全取得で約百万人の雇用が創出されるはずだ。そうした方向を追究すべきだと思う。
 闘いの具体的な展開だが、中小のわれわれとしては産別での決着はありえず、地域共闘の強化こそカギになる。だが、この地域共闘は十分ではなく、中小共闘センターなどで積極的に提起して、強めるようにしたい。(談)


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