20000125


国労 ILO勧告に従い、1047人の復職を

緊急請願署名、ILO勧告アピール運動を開始


 国際労働機関(ILO)理事会は一九九九年十一月十八日、国鉄分割・民営化に伴い、国労組合員ら千四十七人がJRに不採用となった問題で、日本政府にJRと労組間の交渉を積極的に推進することを求める勧告を行った。これはJRの当事者責任を認めたものでもあり、JR復帰を求める国労の闘いの武器となるものである。国労は、ILO理事会が三月に正式勧告を出すことに向け、政府・JRがILO勧告に従うことを求める緊急請願署名とアピールへの賛同を呼びかけている(要旨)。


 ILO理事会は、九九年十一月十八日、日本政府に対する勧告を行いました。この勧告は、九八年五月二十八日の東京地裁による中労委命令の全面取り消し判決に関するものでした。
 しかし、JRは、採用候補者の名簿作成にあたって不当労働行為があったとしても、それは国鉄のしたことであって、新会社であるJRにはいっさい責任がないとする責任逃れの態度を一貫してとり続けました。そして、労働委員会が否定し続けたこの責任逃れの言い分を東京地裁は、「法解釈」の名のもとに認め、中労委命令が法の解釈を誤っているという理由で取り消したのです。
 勧告は、リストラや民営化のためであっても団結権侵害は許されないとする基本原則を述べた上で、JRが七千六百人を超える労働者を採用しなかった理由について、政府に対して追加情報を求めています。
 その上で労働行政に責任を負う政府が、当該の労働者の満足のいく公正な解決のために、JRと申立組合の交渉を積極的に推進するよう要請しています。また司法判断だから政府は口出しできないという政府の責任回避についても、自由意思で批准した条約を守ることは国家の義務であり、裁判所を含む国家機関は、この義務を履行しなければならないと述べて、現在東京高裁に継続中のこの事件についての判決が、ILO九八号条約に適合したものとなることを「確信している」と強く釘をさしています。
 勧告はまた、経済情勢を口実に、労働者に対して理不尽で過酷な犠牲を強要している現代日本の状況が、国際的にも許されないものであることも明らかにしています。
 私たちは、三月のILO理事会までに千四十七人の復職をはじめとする公正な補償を実現するため、政府がこの勧告にただちに誠実に従うよう強く求めます。

呼びかけ人
赤川 次郎(作家)
佐高  信(評論家)
中野 麻美(弁護士)
稲葉三千男(東京大学名誉教授)
嶋田 一夫(中労委労働者側委員)
中山 和久(早稲田大学名誉教授)
片岡  日舛(京都大学名誉教授)
新藤 宗幸(立教大学教授)
西谷  敏(大阪市立大学教授)
鎌田  慧(ルポライター)
隅谷三喜男(東京大学名誉教授)
山本  博(日本労働弁護団会長)

緊急請願署名集約期限
第一次・一月三十一日、第二次・二月十五日、第三次・二月二十九日


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