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労働新聞 2021年7月15日号 トピックス

世界のできごと

(6月30日〜7月9日)

中国共産党創立百周年
 中国共産党は七月一日、北京・天安門広場で創立百周年の記念式典を開き、約七万人が参加した。一九二一年の結党から抗日戦争、国共内戦などを闘い、四九年の中華人民共和国成立後も多くの困難を経てこんにちに至った。習近平総書記は演説で「『小康社会』を全面的に築き上げ、絶対的な貧困問題を歴史的に解決し、社会主義現代化強国の全面的な実現という次の目標に向けて奮闘する」と宣言した。また「台湾問題を解決し、祖国の完全な統一を実現する」「外部勢力が私たちをいじめ、圧迫することも決して許さない」と、米国に対抗する姿勢を鮮明にした。

習氏、独仏首脳と電話サミット
 中国の習近平国家主席と独メルケル首相、仏マクロン大統領が五日、オンラインサミットを行なった。独仏の対中貿易額が急回復する中、習氏は欧州連合(EU)側との経済連携の強化、気候変動対策での対話などをを呼びかけた。米国はG7などを足掛かりに中国への対抗を強めようとしているが、独仏は貿易面でつながりが深く、マクロン氏が「G7は中国に敵対するクラブではない」と語るなど、米バイデン政権や米国の先棒をかつぐ菅政権との温度差も浮き彫りになっている。

米墨国境の越境逮捕百万人超える
 メキシコから米国へ「不法」に越境し逮捕された移住希望者らが昨年十月月以降、百万人以上に達したと米国土安全保障省が六日、明らかにした。これは、二〇一九年の移民殺到時の水準を上回る事態となっている。中南米でのコロナ拡大なども影響、逮捕者の多くは何度も越境を試みている。バイデン政権は送還する政策だが、越境行為は連日六千人以上。ハリス副大統領が初外遊で中米諸国を訪問したが、財政支援策なども不十分で、民主党内部でも移民に対する強硬派と寛容派が対立している。バイデン政権は内政だけでなく、押し寄せる移民問題も大きな難題となっている。

米軍アフガン撤退、8月末完了へ
 バイデン米大統領は八日、二十年にわたった米軍のアフガニスタン駐留を八月三十一日に終了すると発表した。バイデン氏は「米国最長の戦争を終わらせる。駐留維持は選択肢にはない」と断言。また「国家建設のためにアフガニスタンに行ったわけではない」と、侵略と国土を荒廃させた責任には触れない米国の身勝手な態度を示した。反政府勢力タリバンは今年に入ってから各地で勢力を拡大しており、内戦激化するのは避けられない。

東南アジア諸国でコロナ拡大
 新型コロナウイルス感染の再拡大で九日、タイはバンコクのロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。ベトナムもホーチミンで外出禁止措置や移動制限を導入、マレーシアも全土ロックダウンに入り、インドネシアは完全在宅勤務と商業施設の営業停止を義務づけた。東南アジアはワクチン接種が遅れ、変異株がまん延している。東南アジア諸国への中国の積極的なワクチン提供に比べて日米欧の提供は少なく、諸国は不満を高めている。

人民のたたかい

(6月30日〜7月9日)

 ブラジルで三日、五月以降三度目となるボルソナロ大統領に抗議する大規模デモが行われた。デモはインド製のコロナワクチンをめぐる不正に大統領が関与した疑惑が浮上し、急きょ予定より早められた。デモは全国の州都など三百十四市で行われた。
 スペインで五日、LGBT(性的少数者)を標的にした憎悪犯罪に抗議する集会やデモが全国百カ所以上で行なわれた。
 トルコのエルドアン政権が一日、大統領令で女性を暴力から守る国際条約「イスタンブール条約」から離脱したことに対して首都アンカラやイスタンブールなどで女性たちが抗議デモを行った。


日本のできごと

(6月30日〜7月9日)

都議選で自公過半数以下、菅政権打撃
 東京都議会議員選挙が六月四日に投開票された。今秋に想定される衆院選の前哨戦として臨んだ国政与党の自民党は、前回二〇一七年の選挙での史上最低の議席から大幅な上積みを狙ったものの、過去二番目に少ない三十三議席にとどまり、公明党と合わせて目標だった過半数の六十四議席に届かなかった。また小池都知事を支える都民ファーストの会も各党派で最も議席と絶対得票率を減らし第二党に転落した。公明党や共産党は前回選挙時と同議席を維持したものの、絶対得票率は減らした。投票率は四二・三九%で前回を約九ポイント下回る過去二番目の低投票率となった。菅政権や小池都政の新型コロナウイルス感染対策や東京五輪強行開催などに対する都民の批判が反映した形となった。

都に4度目の緊急事態、沖縄も延長
 菅政権は八日、コロナ感染の再拡大が深刻化している東京都に十二日から八月二十二日まで緊急事態宣言を発令することを決めた。沖縄県で適用されていた宣言も同期間まで延長する。東京に緊急事態宣言が出されるのは四度目。五輪開催で人流が増加することを見越した施策だが、再び酒類提供の停止を求められた飲食店などからは怒りと不満の声が相次ぎ、また県の専門家会議の提言に基づいて宣言解除と重点措置への移行を国に要請していた沖縄からは怒りの声が噴出した。十分な補償もなく科学的根拠にも乏しい「自粛」を強要する暴挙が繰り返されているが、悪政・失政のきわみだ。

政府挙げた飲食店たたきの蛮行
 西村経済再生担当相は八日、宣言の発令・延長に関連し、休業要請に応じない飲食店に対し「金融機関からも働きかけを」と取引金融機関に監視役を迫る発言をした。批判を浴びて翌日に撤回したが、同日には内閣官房が金融庁や財務・経産両省に対し所管する金融機関に政府方針への協力を求めるよう指示する文書を送付、また酒造メーカーや販売組合を束ねる団体にも国税庁と連名で要請していた。これも後日撤回されたが、こうした一連の国を挙げての飲食店たたきには何の法的根拠もない。しかし、政府与党が切望する改憲によって緊急事態条項が導入されればこのような不条理蛮行が横行することになり、警戒が必要だ。

五輪無観客、直前決定で打撃拡大
 東京五輪の観客上限をめぐる政府や五輪組織委ら五者協議が八日に行われ、一都三県の競技会場は一律無観客開催となった。その後、北海道や福島など他地域でも無観客が決まった。大会の観客については、有観客に固執する菅首相の意を受けた五者協議で六月二十一日に観客上限を最大一万人などと決めたが、感染拡大やワクチン接種の遅れ、また都議選での苦戦などから方針を一転させた。感染リスクは減少するが、開幕直前の方針転換は運営混乱や無駄な支出拡大を招き、飲食・宿泊業界に与えた打撃も大きい。政権の責任が問われるべきだ。

南西諸島の日米軍事訓練で中国挑発
 陸上自衛隊と米陸軍は一日、鹿児島県・奄美大島で対空戦闘の訓練を実施した。十一日まで全国で日米三千人が参加して実施される日米共同訓練「オリエント・シールド」の一環で、射程や特性が異なるミサイルを駆使し、戦闘機やミサイルを地上から撃ち落とす訓練を合同で行った。同日には中国共産党が創立百年の記念式典を開催していた。これに合わせて中国・台湾に近い南西諸島で日米軍事訓練を行うことは挑発にほかならず、東アジアの軍事的緊張を高める危険な蛮行だ。

サンゴ訴訟で県敗訴確定、結論ありき
 沖縄県名護市辺野古の新基地建設をめぐり、埋め立て海域に生息するサンゴの移植を農相が許可するよう指示したのは違法だとして県が取り消しを求めた訴訟の判決で、最高裁の小法廷は六日、県の上告を棄却、敗訴が確定した。小法廷の五人の裁判官のうち二人が反対意見を述べ、「軟弱地盤の存在で仲井真元知事による埋め立て承認の際の要件適合性の判断は実質的に無意味に。防衛局は県から設計変更承認を受ける必要がある」などと指摘したが、県の請求を棄却した福岡高裁判決が是認された。辺野古新基地をめぐる国と県の裁判はこれまでに九件行われているが、国の勝訴ありきの判決ばかりが続いている。


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