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労働新聞 2021年4月5日号 トピックス

世界のできごと

(3月20日〜3月29日)

中国、イランと25年に及ぶ協定
 中国の王毅外相は三月二十四日からトルコ、イラン、バーレーンなど中東六カ国を訪問、二十六日にはイランでロウハニ大統領と会談した。両国は経済や安全保障に関して二十五年間にも及ぶ協定を結んだ。中国がエネルギー分野や鉄道、G5(高速通信規格)整備など計四千億ドル(約四十四兆円)をイランに投資、イランは原油やガスを低価格で提供する。共同軍事演習や兵器開発、情報共有も盛り込まれた。米トランプ前政権が離脱した核合意についても、米国の制裁に反対する姿勢を確認した。米国の中東政策が混乱、存在感が低下したことを突いたもの。二十三日には王外相とロシアのラブロフ外相との会談が行われるなど、米国による圧迫に共同で対処する態勢が整いつつある。

バイデン米大統領、対中対抗叫ぶ
 バイデン米大統領は二十五日、就任後初の記者会見を行った。大統領は中国を「専制主義」と一方的に非難、中国の台頭に「私の監視下ではそうはならない」などと対抗心をあらわにした。オーストラリア、インド、日本との四カ国の同盟関係で中国に対峙(たいじ)する姿勢も示した。また朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の弾道ミサイル発射を「国連決議違反」と決め付けた。米インド太平洋軍の次期司令官であるアキリーノ海軍大将も上院公聴会で「最大の懸念は台湾に対する中国の軍事力」などと発言した。しかし、コロナ対策で共和党の協力を得られないなど、足元はおぼつかない。

米、NATOで中国への敵視あらわ
 北大西洋条約機構(NATO)は二十三日、ベルギーのブリュッセルで外相理事会を開催した。主席したブリンケン米国務長官は「(NATOに対する)揺るぎない忠誠心」などと、欧州と亀裂が生じたトランプ前政権からの「転換」を印象付けた。国務長官は中国を名指しし「協力すれば打ち負かすことができる」などと敵視をあおった。欧州連合(EU)は前日、新疆ウイグル自治区の「人権」問題を口実に中国当局者らへの制裁を採択した。ただ、制裁は限定的で、加盟国間・米国との温度差は解消していない。ブリンケン長官はNATO加盟国に国防予算の支出増を求めるなど、「米欧結束」も磐石ではない。

米、コロナ禍で銃犯罪急増
 米国で銃犯罪の数などを集計する「銃暴力アーカイブ」(GVA)は二十六日、事故を含む銃犯罪の犠牲者が昨年一万九千九百七十八人に上り、一昨年より四千人近く増えたと発表した。統計を取り始めた二〇一四年以降で最悪。また米連邦捜査局(FBI)も二〇年は一九年比で殺人事件が二五%増加したと発表。新型コロナウイルスの感染拡大で人びとの生活環境が悪化、階級間・人種間などの対立がいっそう激化し、それがトランプ前政権時により醸成されたことを示すもの。「分断の修復」を掲げるバイデン政権だが、有効策は打ち出せない。

人民のたたかい

(3月20日〜3月29日)

 ベルギーで二十九日、労働総同盟(FGTB)などが賃上げと職場環境の改善を要求して二十四時間ストライキを実施した。労組側は〇・四%に賃上げを抑制するという経営側方針に抗議、コロナ禍でも株主に手厚い配当が行われていることを告発している。
 ドイツで二十九日、アマゾン配送センターの労働者二千人が公正な賃金と労働条件の改善などを求めストを行った。同社経営は労組の承認や産別労働協約の締結を頑なに拒んでいる。イタリアでも二十二日、アマゾンの労働者が二十四時間ストを行った。
 米国ワシントンで二十七日、アジア系住民への差別と暴力に抗議するデモが行われた。トランプ前大統領は新型コロナウイルスを「中国ウイルス」などと言い中国敵視に利用、アジア系女性の殺害事件などが起きている。行動は六十都市以上で行われた。


日本のできごと

(3月20日〜3月29日)

緊急事態全面解除、早くも「第4波」
 菅政権は三月二十二日、首都圏一都三県に発令していた新型コロナウイルスに関する「緊急事態宣言」を全面解除した。だが、変異株への対応が遅れ感染拡大が続くなかでの解除で、政府の無責任ぶりを証明するもの。ワクチン接種でも閣内が混乱、検査体制の充実も進んでいない。事実、解除後一週間で全国二十七都府県で移動平均が前週を上回り、大阪府に「まん延防止等重点措置」の適用を余儀なくされるなど、「第四波」が襲来しつつある。悪政が感染を拡大させている。

聖火リレー、コロナ禍の中で強行
 東京五輪の聖火リレーが二十五日、福島県をスタートした。政府は東京五輪を「復興五輪」と銘打ち、聖火リレーを象徴として強行した。だが、森前会長らによる差別発言、国際五輪委員会(IOC)への贈賄疑惑など、組織委員会は体をなしておらず、ランナーの安全対策も「自治体任せ」。ランナーやボランティアにも辞退者が続出、海外の一般客受け入れも断念するなど「中止」を求める世論が高まっている。そもそも五輪は、安倍前首相が福島原発事故を「アンダーコントロール」とのデタラメで誘致した。もはや中止以外にない。

21年度予算案が成立
 二〇二一年度予算(一般会計総額・百六兆六千九十七億円)が二十六日、参議院本会議で自民、公明などの賛成多数で可決・成立した。総額は九年連続で過去最大。軍事費に過去最大の五兆三千四百二十二億円を投入、一方で社会保障費の自然増を千三百億円削減、国民への現金再支給は盛り込まれていない。コロナ対策がこの体たらくでは、国民の命と健康は守れない。

自民党大会、菅総裁があいさつ
 自民党は二十一日、二年ぶりに党大会を開いた。菅総裁(首相)はコロナ対策で「ピンポイントの対策を効果を上げた」、失業率も「先進国の中で極めて低い水準」などと打ち上げた。併せて「グリーン」「デジタル」による「力強い成長」を掲げた。外交では、バイデン米大統領と直接会談する最初の首脳であることを誇った。感染拡大が続き、国民生活が困難を増すなか、悪政の継続・強化を宣言したものだ。

重要土地等調査法案を閣議決定
 菅政権は二十六日、重要土地等調査法案を閣議決定した。同案は、安全保障上重要な土地取引を調査・規制するもので、自衛隊施設周辺や離島が対象。取得には、氏名や国籍、利用目的の届け出が必要となる。同案は、中国・韓国資本による北海道などでの土地取得を機に自民党が主導した。両国を標的とし敵視と排外主義に満ちた法案。私権に関わる問題でもあり、反基地運動への監視と弾圧にもつながる危険性があるものだ。

朝鮮「ミサイル」口実に敵視あおる
 朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)が二発の短距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射したことを口実に、菅政権は二十五日、国家安全保障会議(NSC)四大臣会合を開いた。首相は「厳重に抗議し、強く非難する」と述べた。だが、ミサイルはわが国の排他的経済水域(EEZ)にさえ届かないもの。朝鮮の狙いは米新政権へのけん制と思われる。米国でさえ「状況を監視する」(インド太平洋軍)なか、菅政権は敵視で突出している。

原発永続化へ特措法延長
 原発立地地域振興特措法改定案が二十六日、参院本会議で自民、公明、維新らの賛成で可決・成立した。同法は、原発立地・隣接自治体の公共事業への補助率を上積みするもので、期限を十年延長する。「安全神話」が崩壊、東電などの対策もデタラメさが発覚するなか、原発再稼働を自治体に受け入れさせるため「アメ」。自主・安全なエネルギー開発に反するものだ。

大阪で一元化条例可決
 大阪市議会は二十六日、大阪府と市の広域行政を一元化するための条例案を府議会に続いて可決した。市による成長戦略策定や都市計画に関する権限の一部が府に移る。公明党も「知事と市長が台頭」との規定と引き換えに、またも裏切った。住民投票が否決されてからわずか五カ月、維新と追随勢力は、民意を無視してしゃにむに「大阪都構想」に突き進もうとしている。


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