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労働新聞 2020年4月25日号 トピックス

世界のできごと

(4月10日〜4月19日)

米失業者1カ月で2千万人以上
 米労働省は四月十六日、十一日までの新規失業保険申請数が五百二十四万五千件であったと発表した。前週の六百六十一万五千件からは減ったが、三月中旬以降のわずか一カ月の申請件数は合計二千二百万件に達した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動停止を理由に、企業が膨大な解雇を強行していることが示されている。この合計は、米国で過去十年間に創出された雇用増分とほぼ等しく、度重なる景気対策や金融緩和でようやく積み上げてきたもの。雇用保険の継続受給者も一千二百万人を超え、失業率は約一五%と推察される。大統領選を前に、階級矛盾は一気に激化している。

空母で感染、米軍に打撃
 米海軍は十三日、原子力空母セオドア・ルーズベルトの乗組員一人が、新型コロナ肺炎で死亡したと発表した。同空母では三月末に約六百人の集団感染が発覚、グアムでの停留を強いられた上に、艦長も解任された。このほか、横須賀基地(神奈川県)を拠点とするロナルド・レーガン、カール・ビンソン、ニミッツでも感染者が見つかり、海軍全体では一千人以上の感染が発覚している。一方、ロシアが衛星攻撃兵器(ASAT)ミサイルの発射実験を行うなど、「コロナ禍」のなかで米軍事力の相対的地盤低下が進んでいる。

マクロン大統領、EU共同債に意欲
 フランスのマクロン大統領は十七日までに、新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けたイタリアやスペインなどを支援するため、欧州連合(EU)加盟国による「共同債」以外に「選択肢はない」と述べた。大統領は「(イタリアなどに緊縮政策を)要求したのは誰か」と、感染拡大の背景に、ソブリン(国家債務)危機以降の緊縮財政政策があることを認めざるを得なかった。併せて大統領は、共同債で「ポピュリストが勝利する」ことを防ぐ狙いがあることにも言及した。共同債をめぐっては、調達コストが高くなるドイツやオランダが抵抗、欧州安定化メカニズム(ESM)による救援を主張していたが、危機の深刻化を前に歩み寄った形だ。

韓国総選挙で与党大勝
 韓国で十五日、総選挙(三百議席)が行われ、文在寅政権与党の「共に民主党」と比例政党「共に市民党」が、単独で百八十席を確保して圧勝した。野党、未来統合党・未来韓国党は百三席にとどまった。このほか、民主労総系が二議席を得た。与党は、コロナ対策を迅速に行ったとして支持率が上昇、一九八七年の「民主化」以降で初めて、単独で五分の三以上の議席を得た。文政権は求心力を高め、対朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)関係や対米関係などで独自姿勢を貫く条件が強化された。

人民のたたかい

(4月10日〜4月19日)

 米国コロラド州のデンバーで十九日、トランプ政権支持者が「自宅待機反対」デモを行ったことに対し、医療労働者が、車の前に立ち塞がるなどして抗議した。
 イスラエルのテルアビブで十九日、野党連合「青と白」が加わった、ネタニヤフ大連立政権発足の観測が強まったことに抗議し、二千人が「民主主義に勝利を」と叫んでデモ行進した。デモは、ソーシャル・ディスタンスを維持して行なわれた。
 韓国の金属労組が十三日、サムスンビルの前で、同社による労組破壊攻撃を批判、損害賠償を求めた。
 二〇一四年、韓国の旅客船セウォル号沈没事件から六年目となる十六日、ソウルで民主労総や全教組、公務員労組などが、真相究明と責任者処罰を要求する声明を発表、一年を切った時効の延長も求めた。

日本のできごと

(4月10日〜4月19日)

緊急事態宣言を全国拡大も補償否定
 政府は四月十六日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の対象を、これまでの七都府県から全国に広げた。期限は五月六日まで。新たに四十道府県で法律に基づいた外出自粛などの要請が可能となった。これを受けて全国知事会は十七日、国に対し営業自粛による損失補償などを改めて求める緊急提言をまとめた。自粛に対する補償としては、財政に余裕がある東京都が独自に中小事業者への「協力金」支給を決めたが、知事会は国の責任の下での補償を求めた。政府は新設する地方自治体への臨時交付金を事業者への支援金に使うことを認める方針を示したが、補償は否定、責任を取らない姿勢に始終した。

国民の怒りで一人10万円給付へ
 安倍首相は十六日、緊急経済対策として国民一人あたり十万円の現金給付を実施するための二〇二〇年度補正予算案の組み替えを与党に指示した。当初、収入が急減した世帯に三十万円を給付するとしていた案は、支給対象が狭く手続きが複雑だとの批判が集中したことを受け、とりやめるとした。安倍政権の看板政策が国会の審議入り直前に抜本的に変更される異例の事態で、国民の怒りに変更を迫られた格好。しかしこれだけでは営業と生活の維持には程遠く、休業補償や医療支援を抜本的に拡充する補正予算の組み替えが必要だ。

遅すぎるドライブスルー検査容認
 厚労省は十五日、コロナ感染の有無を調べるPCR検査を拡充するよう各都道府県に通知、車に乗ったまま受診するドライブスルー方式を初めて容認し、各医師会などによる検査センターの設置も促した。これまで厚労省は同方式に導入に消極的で、結果として検査の網を広げるのが遅れ市中感染を広げたことは否定できない。厚労省の消極的姿勢には東京五輪の今夏開催に固執した安倍政権の意も反映しており、五輪にかまけて状況を悪化させた国の罪はきわめて重い。

コロナ禍の影で悪法成立にまい進
 コロナ禍に隠れて安倍政権と与党は悪法成立へまい進している。十四日には公的年金制度の受け取り開始時期を七十五歳まで広げる年金制度改定案の、十六日には検察人事への政治介入を強める検察庁法改定案と農家の自家増殖を原則的に禁止する種苗法改定の審議入りを強行した。さらに自民党は十日、党憲法改正推進本部で緊急事態条項を創設する改憲議論を国会で始めるよう与野党に働きかけることを決めた。最重要責務であるコロナ対策を怠る一方で悪法成立には続々と手を打つ、火事場泥棒顔負けの行為に血道を上げている。

ASEAN+3、コロナで連携強化
 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓の首脳は十四日、テレビ会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ASEANがコロナ対策で新たに設置する基金に日中韓の出資を決め、検査キットや医療物資の調達などに充てることなどを確認し、連携強化などを盛り込んだ共同声明を発表した。ASEAN地域は人口が多い一方で医療体制がぜい弱であることから、世界保健機関(WHO)が「米欧に続く感染拡大の震源地になる可能性がある」と警告している。日本政府にはいっそうの支援が求められている。

人口減少率最大に、偏在も加速
 総務省は十四日、一九年十月一日現在の日本の推計人口を公表した。外国人を含む総人口は前年比二十七万六千人減の一億二千六百十六万七千人で、九年連続の減少。減少率〇・二二%は過去最大で、人数でも最も大きい落ち込みに。東京など首都圏は増加、人口や経済機能の偏在が加速しており、政治の責任は大きい。

有害消泡剤漏出、基地調査も形だけ
 米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)で十日、格納庫内の消火システムが作動して泡消火剤が放出され、人体に有害な有機フッ素化合物「PFOS(ピーホス)」を含む泡消火剤が基地外に大量に漏出した。県民の批判を受けて防衛省は十六日、基地内に立ち入り調査したが、米軍の説明を受けながらの現場確認にとどまり、土壌や水などのサンプル採取も行わなかった。米軍の顔色ばかりうかがい住民を危険にさらす姿勢は許されない。


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