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労働新聞 2020年3月25日号 トピックス

世界のできごと

(3月10日〜3月19日)

米、「非常事態宣言」発す
 トランプ米大統領は三月十三日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国家非常事態を宣言、最大五百億ドル(約五兆四千億円)を投じる方針を発表した。十七日には、一人当たり千ドルを目安に三月中に現金給付することを含む、一兆ドル(約百八兆円)規模の経済対策案の検討を開始した。十五日には米連邦準備理事会(FRB)も政策金利の誘導目標をほぼ〇%まで切り下げる決定を行うとともに、量的緩和政策も復活させたが、効果は未知数。財政赤字がすでに年一兆ドルに悪化する中、債務がいちだんと膨らみ、米経済の足かせとなる可能性もはらんでいる。

EU、「3%」ルール棚上げへ
 欧州連合(EU)は十七日、新型コロナウイルスへの対応を協議するため臨時のテレビ首脳会議を開いた。会議では第三国から域内への入域を原則三十日間禁止する措置を行うことで合意した。また加盟国に課している財政赤字を国内総生産(GDP)の三%以内に抑えるルールを一時停止することでも一致した。ドイツのメルケル首相は「第二次大戦以来の最大の危機」と、危機感を表明した。経済的には欧州の自動車メーカーの新車販売台数が急減するなど、欧州経済の落ち込むへ深刻だ。

「国際協調」実現険し
 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は十六日、加盟国に対し、一兆ドル(約百八兆円)の融資能力を活用する用意があると呼びかけた。また、金融と財政、規制面での世界的な協調支援の必要性を強調した。その上で、リーマン・ショック時の二〇〇九年に二十カ国・地域(G20)がGDPの二%に相当する刺激策を実施したことに言及、現在の価値にして約九千億ドルに相当するため、「なすべきことは多く残っている」と述べた。だが、トランプ米大統領が「中国ウイルス」などと中国を非難、一方的入国規制でEUの批判を招くなど、「自国優先主義」で、国際協調は望むべくもない。

ロシア、プーチン路線継続へ
 ロシア上下両院で十一日、二四年に任期を終えるプーチン大統領の再選に道を開く憲法改正案が通過した。憲法裁判所の判断と四月に行われる全国投票を受けて、発効する見通し。ただ、投票は延期される可能性もある。いずれにせよ、中国、ロシアへの敵視を強化する米トランプ政権に対して、強国化を進めてきたプーチン政権の基本的路線が続くことになる。

米軍、野蛮なイラク空爆
 米軍は十二日、イラクにあるイランの影響力下にあるとされている武装組織を空爆した。前日に米軍施設を狙ったロケット弾攻撃があり、トランプ大統領は報復を示唆(しさ)していた。イランでは新型コロナウイルスによって感染者数が一万人を超えるなか、米国は揺さぶりを強めるとともに、強硬姿勢を強めることで、新型コロナウイルスへの対応の遅れに対する批判をかわす狙いもある。

人民のたたかい

(3月10日〜3月19日)

 韓国のソウルで十一日、サービス連盟学校非正規職労組が新型コロナウイルスの感染拡大を口実とした賃金未払いに抗議する記者会見を行った。同労組は同日、集会を開催しようとしたが、警察権力の介入にとって阻止されたため記者会見に臨んだ。全国の幼稚園と初中高等学校の休業措置が三週間延期され、給食調理員などの非正規労働者が無賃金状態に置かれている。
 ブラジル全土で十七日、新型コロナウイルスの感染拡大への初動が遅れたボルソナロ大統領に対して、家の窓から鍋を叩く抗議行動が行われた。人びとは、「ボルソナロ出て行け」「民兵の頭領出て行け」と声を上げた。

日本のできごと

(3月10日〜3月19日)

コロナ特措法成立、野党も追随
 衆参両院は三月十三日、新型コロナウイルス感染症を「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に加える改定法案を可決・成立させた。自民・公明の与党に加え、維新、さらに立憲・国民・社民の共同会派が賛成した。首相に「緊急事態宣言」を行う権限を与え、全国民に外出自粛要請、催物などの制限要請・指示、学校や映画館などの使用制限・停止を行え、強制も可能。物資の売り渡しや収用も可能となるが、国民への救済措置や補償はない。感染症を口実に、政府に人民弾圧の手段を与えるもので、断じて許せぬ法律だ。

コロナ対策第2弾、遅く、少額
 安倍政権は十日、新型コロナ緊急対策第二弾を発表した。内容は、「一斉休校」に伴う助成と給食費の返還、中小企業向け特別貸付制度の創設、雇用調整助成金の対象拡大など。だが、総額は四千三百億円で、一兆円以上を支出する韓国に比しても少額。二〇一九年度予算の予備費から二千二百九十五億円、残りは同予算の未執行分を回すという「付け焼き刃」。しかも、給食費返還では、国の負担は一部だけで、残りは各自治体に要請する姑息(こそく)なもの。政府は新年度の補正予算編成も検討しているが、編成は四月以降であまりに遅い。

日銀が3年半ぶりの緩和も効果なし
 日銀は十六日、金融政策決定会合を前倒しして開いた。繰り上げ開催は現日銀法下で初めて。上場投資信託(ETF)買い入れを年十二兆円に倍増させ、コマーシャルペーパー(CP)と社債も新たに二兆円の買い入れ枠を設ける。ゼロ金利で金融機関に貸し付ける制度も新設する。新型コロナによる金融市場の混乱より、米の緊急利下げなどとの協調をめざし、約三年半ぶりの追加緩和を強いられた。だが、すでに日銀が多くの企業の筆頭株主になっているなど緩和政策はすでに限界。対策は大銀行・大企業に奉仕するもので、国民生活の改善に効果はない。

森友問題、遺書公開で強制あらわに
 自殺した財務省近畿財務局元職員の遺族が十八日、国と佐川元財務省理財局長に損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。遺族が公開した元職員の手記には、森友学園に国有地を不当に安い価格で売却した件で財務省が文書を改ざんした問題で、佐川元局長の指示があったと明記されている。安倍首相による「国会議員も辞める」答弁がきっかけであることは明らかで、決定的とも言える告発。だが、首相は再調査を拒否、疑惑にフタをする姿勢だ。

海自の最新イージス艦が就航
 海上自衛隊のイージス艦「まや」が十九日、就役し、神奈川県横須賀基地に配備された。ミサイルの位置情報を海自と米軍で共有する「共同交戦能力(CEC)システム」を初搭載し、日米共同開発の迎撃ミサイルSM3の発射も可能。陸上イージス、誘導弾パトリオットとともに、米主導の弾道ミサイル防衛(BMD)構想の一環。安倍政権は、中国を口実に軍備増強を進めているが、アジア諸国の警戒を高めるだけだ。

20春闘、低水準回答続く
 二〇春闘は十一日、経営側が一斉回答を行った。トヨタ自動車は七年ぶりに「ベアゼロ」、定期昇給などを含めて月八千六百円(前年比二千百円減)。マツダも前年から三千円、日産も二千円、それぞれ減った。鉄鋼大手三社は、ベアを二一年度まで見送るとした。電機は、パナソニックが賃上げと確定拠出年金拠出額の引き上げ分を含めて一千円など、「賃上げ」以外を含む「改善」で妥結した。相次ぐ低額回答は、中小への影響を含め、国民生活をさらに厳しくさせる。「最大限の回答」(高倉・自動車総連会長)とはたわ言で、連合中央幹部の責任は重大だ。

東日本大震災から9年
 東日本大震災から十一日で九年目を迎えた。インフラ復旧などはかなり進んだが、いまだ四万七千人もが避難生活を強いられ、応急仮設住宅の入居者は六千人に達する。福島第一原子力発電所の廃炉は目が立たず、汚染水は蓄積する一方。安倍政権は復興交付金の廃止と、税制優遇措置対象地域の絞り込みを行うなど、被災者置き去りの政策をとっている。


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