ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

労働新聞 2019年12月5日号 トピックス

世界のできごと

(11月20日〜11月29日)

トランプ、アフガン米軍縮小表明
 トランプ米大統領は十一月二十八日、アフガニスタン東部の米軍基地を訪問、同国のガニ大統領と会談し、反政府勢力タリバンとの和平交渉を再開する意向を表明した。併せて、駐留米軍一万二千人を八千六百人程度に縮小させる考えも示した。トランプ政権は九月に和平交渉を一方的に打ち切ったが、二〇二〇年の大統領選に向けた「成果」として経費を浮かせたい思惑が込められている。劣勢の米国が「一歩後退」しつつ、支配を維持する狙い。だが、タリバンが米国の要求に応じるかは不透明な上、ロシアが和平会議を組織するなど、米国の策動が成功する保障はない。

米、またも華為技術狙い撃ち
 米商務省は二十六日、中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)などを狙い、米企業に製品調達を禁じる規制案を公表した。規制案は「敵対勢力」による通信機器が通信網や安全保障に危険を及ぼすと判断すれば、米企業に取引停止を求める内容。政権が民間商取引に介入するもので、米IT(情報技術)業界が修正を求めるほど。世界で5G(第五世代通信規格)の整備が進むなか、先進企業ファーウェイの排除に否定的な国も多い。米中貿易交渉が大詰めを迎えるなか、米国は中国への攻勢を強めている。

香港、混乱と干渉の下「民主派」勝利
 中国・香港で二十四日、区議会議員選挙が投開票され、いわゆる「民主派」が全四百五十二議席中八五%を獲得した。得票率では「民主派」が五七%、「親中派」が四一%。小選挙区制を生かし、「民主派」が多くの議席を得た格好。区議選は激しい街頭行動の中で行われ、全米民主主義基金(NED)やペンス米国務長官などが積極的に「民主派」を応援するなど、外国の干渉と混乱のなかで行われた。当選した「民主派」区議らは「香港人権法」に署名したトランプ政権に「助けて」と叫ぶなど、その本性をあらわにした。


朝・ロが初の戦略対話
 朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の崔善姫第一外務次官とロシアのチトフ第一外務次官による初の「戦略対話」が二十日、モスクワで開かれた。両国は戦略的パートナー関係を新たなレベルに引き上げることで一致した。崔次官は米国が敵対関係を止め、対話を提案することが必要との考えを示し、米国を強くけん制した。ロシアのラブロフ外相は二十一日、中国との間で朝鮮への経済制裁解除などを内容とした新たな行動計画を作成、朝鮮に伝えたと述べた。米国をよそに、朝鮮、ロシア、そして中国は朝鮮半島情勢の打開に向けて攻勢に出ている。

人民のたたかい

(11月20日〜11月29日)


 英国で二十五日、教職員組合の呼びかけにより全国の約六十の大学で八日間のストライキに入った。四万三千人の講師や図書館職員などが参加、賃上げや安定雇用、労働条件の改善などを訴えた。全国学生連合(NUS)も連帯を表明した。
 コロンビア全土で二十一日、ドゥケ政権による最賃引き下げなどの経済政策に反対するゼネストが実施された。首都ボコタでは学生が警察に虐殺される事態も起き、二十六日には同市内で大規模な抗議集会が開かれた。
 国連による「女性に対する暴力の撤退デー」に合わせて、欧州各国などで呼応するデモが行われた。ベルギーのブリュッセルで二十四日、一万人以上がデモを行い、女性の権利獲得・保護を訴えた。フランス全土でも二十三日、十五万人がデモ行進、イタリアのローマやスペイン各地でも大規模なデモが行われた。
 ドイツのベルリンで二十六日、一万人もの農家がトラクターで道路を占拠、「環境政策」の名の下で、畜産など一方的な農業規制を打ち出した政府に怒りの声を上げた。フランスのパリでも二十七日、農民らが適正な卸売り価格を政府に求めた。

日本のできごと

(11月20日〜11月29日)

GSOMIA失効延期も同盟に打撃
 韓国の国家安全保障会議(NSC)は十一月二十二日、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効を停止する方針を発表した。日本による輸出管理措置については、世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを停止し、両国の政府間協議を開く。元徴用工問題での韓国大法院(最高裁)判決を機に、安倍政権は韓国への輸出規制など排外主義を強め、韓国はGSOMIA破棄を通告していた。米国は、中国や朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への対応を理由に、在韓米軍の駐留経費問題を絡め、韓国に破棄撤回の圧力をかけていた。ただ、日本は「優遇国すぐには戻さず」強硬姿勢をやめておらず、韓国内には停止措置への反発も強い。韓国が妥協した格好だが、米日韓同盟の亀裂の修復は困難だ。

日中会談、来日めぐり中国敵視も
 安倍首相と来日した王毅・中国外相が二十五日、会談した。両者は、来春に予定される習近平国家主席の国賓としての来日に向け、連携することを確認した。王毅外相は「日中間の協力を深めたい」と述べた。ただ安倍首相は「自由で開かれた香港が繁栄することが重要」と、香港問題への干渉も忘れなかった。香港問題などを口実に、自民党からは国賓扱いに反対する声が上がっている。安倍政権・与党が言う「日中新時代」は「かけ声倒れ」のものだ。

政権の腐敗きわまる「桜を見る会」
 菅官房長官は二十六日、首相主催の「桜を見る会」に反社会勢力が参加していたことを、事実上認めた。「桜を見る会」をめぐっては、安倍政権下の規模拡大、「前夜祭」会費をめぐる公選法違反疑惑、首相夫人による「招待枠」、マルチ商法会社代表の参加、名簿の廃棄など、疑惑のオンパレード。野党は「追及本部」で追及を強化、自民党内からさえ批判の声が噴出している。閣僚が公選法違反疑惑で相次いで辞職、元法相の妻である河井参議院議員にも同様の疑惑が噴出している。安倍政権の腐敗はきわまっている。

政府が馬毛島を買収へ
 政府は二十九日、鹿児島県の馬毛島の地権者と約百六十億円の売買契約を結んだ。陸上滑走路を整備し、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)を硫黄島(東京都)から移転するため。二〇一一年の日米合意に基づくもので、自衛隊施設も整備する。当初の評価額は約四十五億円で、政府は約三・五倍もの血税を支出することになる。米軍のためと同時に、中国に対抗するための自衛隊の南西諸島重点配備の一環である。

「富裕層」の申告漏れ最多
 国税庁は二十八日、一八年度の所得税調査結果を発表した。それによると、富裕層の約五千三百件中、八五%で申告漏れなどがあり、所得総額は約七百六十三億円で追徴税額は二百億円を超えた。いずれも〇九年度以降で最多。とくに、海外投資での利益を申告しなかった者が多いが、発覚したのは「氷山の一角」。租税回避地(タックスヘイブン)の悪用例も多い。庶民が納税に苦しむなか、富裕層は所得隠しに熱中して肥え太っている。


JCM、7年連続のベア要求
 金属労協(JCM)は二十五日、二〇春闘でベースアップ(ベア)三千円以上を統一要求とする方針を固めた。ベア要求は七年連続だが、要求水準は昨年と同水準にとどまる。世界経済の低成長、米国による貿易戦争などで、上場製造業の一九年四〜九月期決算の純利益合計額は三一%も減った。この程度の低水準の要求さえ、経営側は渋っている。ストライキを構えての闘いなしに、わずかな要求さえ勝ち取れない。


在特会元幹部に軽微な有罪判決
 京都地裁は二十九日、一七年に朝鮮学校へのヘイトスピーチを行ってインターネットで配信した「在特会」元幹部に、罰金五十万円の判決を下した。判決は被告の名誉毀損行為を認めつつ、拉致問題への「公益を図る目的だった」などと、懲役一年六カ月の求刑に比して罰金刑だけにとどめた。在特会の行動は排外主義で画期をなす悪質なもので、子どもたちをはじめとする在日朝鮮人に多大な恐怖を与えた。学校側弁護団が「全くの不当判決」と述べたのは当然で、厳罰こそ必要だ。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2019