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労働新聞 2019年11月25日号 トピックス

世界のできごと

(11月10日〜11月19日)

米「香港人権法案」で中国に干渉強化
 米上院は十一月十九日、中国・香港で続くデモを擁護する「香港人権・民主主義法案」を可決した。下院では十月に可決済み。同法は、年次報告書によって香港の自治を検証することを議会に義務付け、これに基づき、金融やビザ発給など香港の優遇措置を見直すというもの。米大統領が、中国や香港当局関係者への制裁措置を科す手順も定めている。中国への敵視をいちだんと強化するもので、中国が激しく反発したのは当然。米中は通商問題で十一月中の協定署名に向けて調整中だが、米国による対中攻勢には際限がない。

米、イスラエルの入植を容認
 ポンペオ米国務長官は十八日、イスラエルによるヨルダン川西岸での入植活動について「国際法に違反しない」と、容認する考えを示した。入植は国際法さえに反するもので、米国ではカーター政権が一九七八年に「違法」と判断、公式にはその後も態度を維持していたが、公然と認める姿勢に転じた。トランプ政権は、米大使館をエルサレムに移転させ、シリアから奪ったゴラン高原への主権も認めるなど「親イスラエル」政策を打ち出していた。大統領選を前に「ユダヤ票」を取り込む狙いもある。「中東和平の仲介者」という建前さえ投げ捨て、中東情勢をさらに不安定化させるものだ。

米議会、「ウクライナ疑惑」で公聴会
 
米下院の情報特別委員会は十三日、ウクライナをめぐるトランプ大統領の不正疑惑に関する公聴会を始めた。テーラー駐ウクライナ代理大使は、ソンドランド駐欧州連合(EU)大使の話として、大統領がバイデン前副大統領の不正調査を優先していたと証言した。ケント国務次官補代理も、大統領の顧問弁護士がウクライナ政府に働きかけていたことを証言した。大統領は「いかさま」などと非難している。民主党は大統領の弾劾訴追を検討しており、大統領選が始まるなか、政治闘争が激化している。


BRICS首脳会議、経済協力を強調
 ブラジルのブラジリアで行われていた新興五カ国(BRICS)首脳会議が十四日、首脳宣言を採択して閉幕した。宣言は、米国を念頭に保護主義を「懸念」、経済協力を広げることで一致した。プーチン・ロシア大統領は、石油やガスの共同探索に取り組む枠組みをめざすと明言した。議長国のボルソナロ・ブラジル大統領は「単独主義や保護主義的な手法を避ける」と述べた。トランプ米大統領と親しく「中国警戒論」を公言する同大統領でさえ、米国と一線を画さざるを得ない。

人民のたたかい

(11月10日〜11月19日)


 フランスのパリで十六日、燃料増税に抗議する「黄色いベスト運動」の開始から一年となることを機に、全国で二万八千人がデモ行進を行った。
 フランスのパリで十日、政府と右翼によるイスラム教へのヘイトに抗議し、一万人がデモ行進を行った。
 チェコのプラハで十六日、汚職疑惑が持たれているバビシュ首相の辞任を求めて約二十五万人がデモを行った。
 チリのサンティアゴで十二日、運輸労組などが高速道路を封鎖し、緊縮財政策に抗議した。
 タイのパッタヤーで十八日、配車アプリ「グラブ」に待遇改善を求める労働者百五十人がストライキに入った。労働者は集会を開いて気勢を上げた。
 英国ロンドンにあるマクドナルド六店舗の労働者が十二日、約三割の賃上げと労組の認知などを求めてストライキを行った。
 南アフリカ航空で十五、十六日、客室乗務員組合と全国金属労働者組合に加盟する労働者がストライキに入り、すべてのフライトがキャンセルされた。労働者は九百人以上の首切りに反対し、賃上げを求めているた。

日本のできごと

(11月10日〜11月19日)

天皇即位関連行事、国民統制強化狙う
 天皇の代替わりに伴う国事行為である即位パレードが十一月十日、また皇室行事である大嘗祭が十四、十五日に行われ、即位関連の一連の行事が終わった。即位の儀やパレードなどの国事行為に三十六億七百万円の予算が手当てされたほか、皇室行事にすぎない大嘗祭にも二十四億四千万円が支出された。大嘗祭はまぎれもない宗教儀式であり、政教分離の原則に反する。一連の行事は天皇の権威を高めて国民統合を強化することが目的である。悪政への目くらましの手段としての天皇制の利用には、今後いっそうの警戒が必要だ。

安倍首相が在任歴代最長に
 安倍首相の通算在職日数が十九日、歴代最長の桂太郎氏に並び、翌日最長となった。異次元金融緩和や大型財政出動、規制緩和で大企業に奉仕し、安保法制や秘密保護法などで日米同盟強化と軍事大国化を進めるなど、悪政を強力に進めた。森友・加計学園疑惑などの「政治の私物化」に対する批判も高まる一方だ。安倍首相の「桜を見る会」の私物化批判と関連の公選法違反疑惑に対しては来年の開催中止を決め早々に幕引きを図るなど、政権運営に弱気な姿勢も見せている。腐敗した長期政権は、末期症状もあらわれ始めている。

日米貿易協定の承認案が衆院通過
 日米貿易協定の承認案が十九日の衆議院本会議で自公与党などの賛成多数で可決、参議院に送付された。電子商取引などのルールを定める日米デジタル貿易協定の承認案も可決した。協定は憲法の衆院優越規定により参院が議決しなくても衆院通過後三十日経てば自然承認されるため、二〇二〇年一月一日に発効する見込みとなった。国内経済や農畜産業への影響を示す正式な試算を一度も示さず、また政府の出した「暫定試算」では交渉開始も約束されていない日本から米国に輸出する自動車や部品の関税撤廃を前提にした架空の計算をするなど、米大統領を念頭にトランプ大統領の実績づくり支援を最優先した格好で、日本の農や食を売り渡す蛮行だ。

日米防衛相会談、海自派兵に米が謝意
 河野防衛相は十八日、エスパー米国防長官と会談した。日本は七日に始動した米軍主導の有志連合による「センチネル(番人)作戦」には不参加を表明しているが、河野氏は会談で海上自衛隊の中東派遣に関する検討状況を説明、米英豪など有志連合参加各国の軍と緊密に連携を取りながら情報共有する姿勢を表明し、エスパー氏は謝意を示した。今回の自衛隊派兵は実質的には有志連合参加と変わらず、「イラン核合意」から一方的に離脱し中東の緊張をあおる米国を援護するもので、到底許されない。

米国の駐留経費の大幅増額要求を隠す
 米外交誌「フォーリン・ポリシー」は十五日、トランプ米政権のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当、当時)らが七月に訪日した際、二一年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)について、現状の約四・五倍に当たる年約八十億ドル(約八千六百四十億円)への増額を要求していたと報じた。米国は「公平な負担」の名の下、同時期に韓国に対して駐留費負担の大幅増を要求、韓国側が反発していた。当時、安倍首相は米側から増額要求がないと明言、トランプ政権をかばう姿勢に始終していた。安倍首相の徹底した属国根性ぶりを示すものだ。


GDP大減速、次期はマイナスも
 内閣府が十四日、一九年七〜九月期の国内総生産(GDP)速報値を発表した。実質で前期比〇・一%増と4四半期連続のプラス成長となったが、前期からは大きく減速、消費税増税前の駆け込み需要が個人消費を押し上げるには至らなかった。駆け込みの反動減が生じる十〜十二月期は五期ぶりのマイナスに転じるとの見方が根強い。実際、十一日に発表した十月の「景気ウォッチャー調査」でも判断指数が大幅に下落、駆け込み購入のあった家電量販店や百貨店などで悪化が目立ち、東日本大震災の影響があった一一年五月以来の水準に落ち込んだ。米国による対中追加関税などによる世界景気の減速や台風被害が原因とされるが、安倍政権下で国民経済が悪化し続けていることが根本原因だ。


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