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労働新聞 2019年8月5日号 トピックス

世界のできごと

(7月20日〜7月29日)

英ジョンソン首相誕生
 英国のジョンソン新首相が七月二十四日、就任演説を行った。首相は、欧州連合(EU)からの離脱について「何が何でも十月末」と期限を明示し、「合意なき離脱」の「可能性は低い」としつつ、選択肢から排除しない姿勢を示した。閣僚人事では、EUとの関係を重視する人物や、保守党党首選で決選投票の相手だったハント前外相支持者も入閣させなかった。事実上、求心力を高めて「強硬離脱」に突き進むシフト。国内の分断は加速し、EU側との合意はきわめて困難。「合意なき離脱」は英国、さらに欧州や世界経済、甚大への影響が必至だ。

米、ファーウェイ問題で再度揺さぶり
 トランプ米大統領は二十二日、中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)と朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の関係を「調査する」と表明した。マスコミ報道を受けてのもので、米国製部材やソフトウェアを使用した製品の朝鮮への輸出が、輸出管理法に違反するというもの。ファーウェイは「朝鮮では何も事業をしていない」と否定した。六月の米中首脳会談で、トランプ大統領はファーウェイへの制裁を一部緩和する方針を示した。だが、米国は「あの手この手」でファーウェイを揺さぶり、台湾問題なども絡めて中国への包囲とけん制を強めている。

中国、4年ぶりの国防白書
 中国は二十四日、「新時代の中国の国防」と題する国防白書を四年ぶりに発表した。トランプ米政権を「単独主義政策で大国間の(軍拡)競争を激しく」しているなどと批判、中国は「世界一流の軍隊」をめざした軍改革を進めるとした。トランプ政権の台湾問題への介入を意識し、台湾への武器売却に「絶対に反対」と強調、統一に向けた「武力の使用を放棄しない」と改めて明記した。南シナ海問題でも、米国に対抗してのパトロール強化の方針を示した。米中対抗が長期化の様相を見せるなか、中国は大国としての自信を示している。


ウクライナ議会選で新党躍進
 ウクライナで二十一日、最高会議(議会)選挙が投開票され、五月に就任したゼレンスキー大統領の与党「国民の奉仕者」が過半数を得た。新ロシア派とされる「生活党」が第二党となり、ポロシェンコ前大統領派は議席を大きく減らした。五月以降の政変は、前政権がインフレや汚職対策などで成果がなかったこと、とくに「ロシア文化の排除」などの対ロシア強硬策に対して、東部や南部を中心に不満が高まったことが背景。米国はクリミア問題を口実にロシアへの制裁を主導したが、肝心のウクライナ国民はロシアとの融和を選択した格好だ。

人民のたたかい

(7月20日〜7月29日)


  米国自治領プエルトリコのサンフアンで二十二日、腐敗や差別発言が顕在化したロセジョ知事の辞任を求めるデモが、過去最大の数十万人に達した。デモには、プエルトリコ出身の有名歌手も参加した。
 コロンビア全土で二十六日、国内で相次ぐ暗殺事件に抗議するデモが行われた。ボゴタでは一万五千人が参加した。同国では一六年に反政府組織「コロンビア革命軍」との和平合意が発効したが、元メンバーや人権活動家への暗殺が相次いでいる。
 フィリピンのマニラで二十二日、ドゥテルテ大統領の施政方針演説に合わせ、農漁民の営業保護を求めるデモが行われ、数千人が参加した。
 韓国のソウルで二十七日、安倍政権による制裁措置を糾弾する「ろうそく集会」が開かれ、約五千人が参加した。六百近い市民団体や労組が結集、「強制労働謝罪せよ」などのスローガンを叫んだ。主催者は、光復節(日本の植民地支配から解放された八月十五日)に大規模な集会を予定している。

日本のできごと

(7月20日〜7月29日)

参議院選、安倍政権への批判鮮明に
 第二十五回参議院議員選挙が七月二十一日、投開票された。投票率は四四・八〇%(選挙区)と前回から六ポイント近く下落し、戦後二番目に低い水準となった。自公与党は非改選と合わせて六議席後退、比例で自民党は約二百四十万票、公明党は百万票票も減らすなど、安倍政権と与党への批判が如実に示された結果となった。

国民の玉木代表、改憲論議に前向き
 国民民主党の玉木代表は二十五日、インターネット番組で改憲議論について「私は生まれ変わった」「安倍首相と考えは違うが憲法改正議論はしっかり進めていきたい」との趣旨の発言をした。安倍政権は二十一日の参院選で「改憲勢力」が三分の二を割ったことから、同党などへ「切り崩し」を強め、緊急事態条項などを含んだ憲法改悪を実現させようと躍起になっている。これに応えることは、有権者に対する裏切りだ。

米軍機事故新指針、主権はむしろ後退
 日米両政府は二十五日、日米合同委員会で基地外での米軍機の墜落事故に関するガイドライン(指針)改定で合意した。基地外で米軍機事故が発生した場合、現場に「外周規制線」「内周規制線」の二重の規制線を張り、外周は見物人などを規制するため日本の警察が管理するが、機体に近い内周は機体の機密保持などのため米軍が独占的に管理し警察も立ち入ることができない。今回の改定では、消防や汚染物質の調査などの必要性に応じて日本側当局者による「迅速かつ早期の立ち入りが行われる」と明記されたが、米側の同意次第である文言は残され、状況を変えるものではない。また新指針では、米軍の一方的な現場封鎖や日本の警察権放棄も明確化されるなど、一部では現状より主権が後退した。安倍政権下で米国の属国としての性格が強められている。

経財白書、雇用慣行見直し強調
 茂木経済再生担当相は二十三日、二〇一九年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を閣議に提出した。白書では、少子高齢化と人口減少が進む日本で企業が収益や生産性を高めるためには、働き手の多様化を進める必要があると分析、多様な人材を活用していくために、年功的な人事や長時間労働など「日本的な雇用慣行の見直し」が欠かせないと強調した。雇用流動化と労働条件引き下げにつながる内容はわが国財界の要求と歩調を合わせてたもので、安倍政権による労働者攻撃の加速にいっそうの警戒が必要だ。

労基本新規定、長時間労働助長へ
 労働者の副業や兼業をする際の労働時間について、厚生労働省の検討会は二十五日、これまで「複数職場の労働時間は通算する」としてきた労働基準法の規定を削除する案を盛り込んだ報告書をまとめた。副業先を含めた労働時間の管理の煩雑さを嫌う企業側の声に応えたものだが、これにより複数職場の労働時間は通算せず事業所ごとに管理されることになり、今年四月から定めた残業の上限規制が骨抜きにされる危険な内容だ。


日産が大リストラ計画、九州・栃木も
 日産自動車は二十五日、二二年度までにグループ従業員の約一割に当たる一万二千五百人超の人員削減を実施する方針を明らかにした。カルロス・ゴーン前会長が二十年前に断行したリストラ以来の規模で、米国やメキシコ、インドの海外工場が中心だが、九州や栃木など国内拠点も対象となる。世界経済停滞の反映でもあり、また自動車産業の大変革期に備えた動きでもあるが、労働者へのしわ寄せは許されない。

福島第2廃炉へ、県民世論の勝利
 東京電力ホールディングスは二十四日、福島第二原子力発電所(同県楢葉町、富岡町)の全四基を廃炉にすると正式に福島県に伝えた。一一年三月十一日の東日本大震災で大事故を起こした第一原発を含め十基あった県内の原発はすべて廃炉となる。東電は第二原発の再稼働を画策し続け、原発を「重要なベースロード(基幹)電源」と位置付ける安倍政権も事実上これを後押ししてきたが、原発事故で多大な犠牲を負った福島県民の全基廃炉を求める声は根強く、県民世論に国や東電のもくろみが打ち砕かれた格好だ。


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