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労働新聞 2019年4月25日号 トピックス

世界のできごと

(4月10日〜4月19日)

ブレグジット再延期、混迷続く
 欧州連合(EU)は四月十日、ベルギーのブリュッセルで臨時首脳会議を開いた。英国のEU離脱期限が十二日に迫るなか、期限を十月末まで再延期した上で、六月に進展を検証することで合意した。メイ英首相は五月末に行われる欧州議会選挙について、議会で五月前半に離脱案の承認を得ることで、選挙に参加しない方向を描いている。離脱案承認のため、首相は野党・労働党との協議を進めているが溝は深く、可決のあてはない。さらに十八日には、国境問題を抱える北アイルランドで暴動が起きるなど、英国情勢は混迷を深め、世界を揺さぶっている。

米、中南米への干渉強化公言
 
ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は十七日、フロリダ州で演説し、ベネズエラ、キューバ、ニカラグアを名指しし「圧政のトロイカの崩壊が始まる」などと述べた。演説の柱は、オバマ前政権が廃止したキューバへの送金制限の復活や、同国に投資する欧州やカナダ企業への制裁措置。反米的政権に対する干渉強化を公言するもので、中南米で影響力を増している中国やロシアをけん制する狙いもある。EUとカナダは反対声明を出しており、対立は国際的広がりを見せている。

ロシア疑惑の報告書公開
 米司法省は十八日、二〇一六年の大統領選に関する「ロシア疑惑」に関する捜査報告書全文を公表した。トランプ大統領による「捜査妨害」疑惑について、モラー特別検察官の解任を図ったなどの具体例を挙げ、「大統領が罪を犯したとは結論づけないが、完全に無罪としたわけでもない」とした。また、ロシアによる選挙干渉を認定しつつ、トランプ陣営とロシアの共謀についても「証拠が不十分」とした。民主党はモラー氏の議会証言を要求するなど批判を強め、調査継続の方向を示した。トランプ政権の内政は、綱渡り状態が続く。


右派政権継続、中東混乱必至
 イスラエルのリブリン大統領は十七日、総選挙の結果を受け、右派政党リクードを率いるネタニヤフ首相に組閣を要請した。総選挙では、リクードと中道「青と白連合」が同数だったが、大統領は、エルサレムの「首都」認定などトランプ米政権の強力な後押しを受ける首相に組閣を委ねた。首相は、極右やユダヤ教原理主義政党と連立協議に入る。リクードは、パレスチナ自治区・ガザ地区への強硬策やヨルダン川西岸への入植継続、イランへの強硬策を掲げており、アラブ諸国・人民の反発激化は避けがたい。

人民のたたかい

(4月10日〜4月19日)


  オーストラリアのメルボルンで十日、数万人の労働組合員が、労働条件の改善と賃金引き上げを求めてデモ行進した。
 英国ロンドンで十五日、地球温暖化対策を求めるデモが行われた。数千人が道路を占拠して政府に訴えたが、五百人以上が不当逮捕された。闘いは以降も続いている。イタリアのローマでも十九日、数千人の高校生が政府の温暖化対策を求めてデモを行った。
 韓国の空港で働く非正規労働者の労組支部が十七日、組合つぶしに抗議し、元請けの大韓航空本社前で集会を行った。
 アルゼンチンのブエノスアイレスなど主要都市で十日、マクリ政権による緊縮政策に反対し、学者・教員らがデモ行進を行った。国立研究院が二千人以上の研究者を解雇するなど、緊縮策は労働者だけでなくインテリ層にも衝撃を与えている。
 スーダンのハルツームで十八、十九日、バシル政権の打倒を訴えて数十万人がデモ行進を行った。


日本のできごと

(4月10日〜4月19日)

日米貿易協定で初会合、高い米要求
 日本と米国の貿易協定協議の初会合が四月十五〜十六日、ワシントンで開かれた。同協議は昨年九月の日米首脳会談で合意したもので、日本側は物品貿易協定(TAG)交渉とごまかしてきたが、米側は繰り返し自由貿易協定(FTA)交渉だと明言、今回の茂木経済再生担当相とライトハイザー米通商代表による初会合でも米側は交渉対象に農産物や自動車だけでなくサービスや為替も含めることを強く主張した。米トランプ政権が昨年末公表した「対日貿易交渉目的」では「環太平洋経済連携協定(TPP)を下回らない水準」での成果を出すと明言しており、政府は国益を売り渡す協議を拒否するべきだ。

日米2プラス2、協力拡大・強化へ
 日米両政府は十九日、ワシントンで外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開いた。発表された共同文書では、宇宙、サイバーに加え、通信妨害が心配される電磁波の領域での急速な技術進歩を指摘、三領域を優先分野と位置付けた。また、日本へのサイバー攻撃は、米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用対象とも確認した。沖縄県名護市辺野古の新基地建設を「唯一の方法」として引き続き推進を確認、米国から輸入した航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Aの墜落事故の機体捜索と原因究明に向けた協力で一致、日本が計百四十七機を導入する計画も変更しない。安倍政権が昨年末に閣議決定した新たな防衛計画大綱に沿い、日米同盟強化をいっそう進める姿勢だ。

日中経済対話、両国の苦境にじむ
 日中両政府は十四日、北京市で関係閣僚による日中ハイレベル経済対話を開いた。同会合は二〇〇七年に始まったが、その後の約八年間中断、昨年再開されて今回が五回目。貿易・投資を促進し、経済関係を強化する方向で一致した。BSE(牛海綿状脳症)の発生を受けて停止されている日本産牛肉の輸出の再開に向けて協定の締結をめざすことで実質合意、また日本は中国に進出した日本企業のハイテク技術などが中国に強制的に移転される問題を是正するように求め、中国側は次世代通信規格「5G」をめぐり特定の企業を排除しないように求めた。安倍政権は、短期的な景気対策だけなく、米国の目も気にしながら中国との経済関係強化を進めようとしている。

韓国の水産物禁輸、WTOで逆転敗訴
 韓国による福島など八県産の水産物の輸入禁止は不当として一五年から日本が提訴している問題で、世界貿易機関(WTO)の上級委員会は十一日、韓国の措置を妥当とする最終判決を下した。一審では日本の主張を認め韓国に是正を求めていたが、日本の逆転敗訴が確定した。現在、日本産水産物への輸入制限をかけている国は二十二カ国あり、米国も韓国とほぼ同範囲の輸入規制をかけている。韓国だけを狙い打ちにした提訴は政権浮揚を狙った敵視政策の一種で、国内向けに福島原発事故の被害を過少に見せるためのキャンペーンでもある。

米兵が沖縄女性殺害、「規制」働かず
 沖縄県北谷町で十三日未明、海兵隊キャンプ・シュワブ所属の米海軍兵(三等兵曹)が沖縄女性を殺害後に自殺した。現行の米軍の勤務外行動指針であるリバティー制度に基づく外出規制措置では三等軍曹以下の兵士は午前一時〜五時まで外出が禁止されている。また米兵は司令官からDVやストーカー行為を理由に被害女性への接触を禁止する軍事保護命令(MPO)を受けていたが、事件当日に外泊許可を取って犯行に及んだ。米軍の命令は形だけで、県民の安全が軽んじられていることをあらためて示した。


熊本地震3年、仮設からの追い出しも
 熊本地震から十一日で三年となった。応急仮設住宅や民間住宅を借り上げたみなし仮設住宅などに暮らす被災者は最大で四万七千八百人いたが、三月末時点でも約一万六千五百人が避難生活を強いられている。熊本県は「入居可能な物件数は相当増えた」として、民間賃貸住宅を探していることを理由とする延長を認めない新要件を初適用、仮設住宅に入居し四〜五月に入居期限を迎える二千六百二十三世帯のうち、二一・八%の五百七十二世帯にしか延長を認めなかった。行政による仮設からの追い出しが強まっている。


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