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労働新聞 2019年4月15日号 トピックス

世界のできごと

(3月30日〜4月9日)

IMF見通し、3回連続で下方修正
 国際通貨基金(IMF)は四月九日、世界経済見通しを発表した。二〇一九年の世界経済全体の実質成長率は三・三%、一月時点から〇・二ポイント下方修正した。引き下げは昨年十月以降三回連続で、減速がさらに鮮明になった。最大の理由として、米トランプ政権による「貿易戦争」を指摘した。なかでも、財政出動の息切れが予測される米国の成長率は二・三%と前回予想から〇・二ポイント下方修正。欧州連合(EU)離脱問題で揺れる英国は一・二%、ユーロ圏は一・三%とそれぞれ〇・三ポイント引き下げた。さらに「先行きリスクは下方に傾斜」と強い危機感をにじませた。米国による中国への貿易戦争は長期化が予想され、矛先は欧州など各国に及び始めている。「国際協調」も望めず、世界経済の危機はますます深い。

米国が貿易戦争の矛先を欧州に
 トランプ米大統領は九日、欧州航空機大手エアバスに対する補助金が米国産業に打撃を与えていると、米国が輸入する百十億ドル(約一兆二千億円)相当の欧州製品への報復関税を表明した。欧州車を念頭におく関税も表明済み。EU側は米国がボーイングへ補助金を支出していることなどを挙げ「対抗措置を出さざるを得ない」(マルムストローム欧州委員)と述べた。トランプ政権による貿易戦争は中国だけでなく、欧州などの「同盟国」にも矛先を向けている。

EU・中国が対米摩擦で足並み
 EUと中国の首脳会談が九日、ベルギーのブリュッセルで開かれた。共同声明では、双方の投資環境を整備し、二〇二〇年までの妥結をめざすことなどが明記された。これまでEUは中国による国有企業への優遇策などを問題視し、共同声明の採択は見送られるとの見方が強かった。しかし、米トランプ政権によるEUへの報復関税などの動きを受け、「一国主義に対抗」すると明記し、対米貿易摩擦などをめぐり、歩調を合わせた。


トルコ、ロシア製ミサイル導入へ
 トルコのエルドアン大統領は八日、ロシアを訪問し、プーチン大統領と会談した。両大統領の会談は一九年に入り三回目。エルドアン大統領はロシアのミサイル防衛システム「S400」の購入を再度表明、米国が求めていた撤回要求を拒否した。プーチン大統領も、軍事面での協力拡大を表明した。両国間で建設が進められている天然ガスのパイプラインや、ロシアが協力しているトルコ初の原子力発電所建設についても再確認した。米欧矛盾の拡大に加え、トルコとロシアの関係強化によって、北大西洋条約機構(NATO)内の亀裂は拡大しようとしている。

人民のたたかい

(3月30日〜4月9日)


  ドイツ各地で六日、大手不動産業者の再開発による家賃の高騰に抗議するデモが行われた。ベルリンでは約四万人の住民がデモ行進、「住める家を取り壊すな」と声を上げた。ベルリンでは八五%もの市民が賃貸住宅で生活しているが、〇八年以降、家賃は二倍以上に上がり、公営による住宅建設を望む声が高まっていた。
 パラグアイの各地で三日、政府に教員や教材不足の早期解決を求め、全国高校生連合(FENAES)が呼びかけたストライキが行われた。同国は授業を受けられない生徒が四万人以上に達している。
 アルゼンチンのブエノスアイレスで三日、マクリ政権による緊縮政策に抗議するデモが行われ、労組組合員や中小企業経営者ら数千人が参加した。IMFの要求で公共料金などが高騰、国民生活が窮乏化している。
 アルジェリアのアルジェで四月五日、市民数万人が上院議長や首相の辞任など体制変革を求める抗議行動を行った。同国ではブーテフリカ大統領への反発が広がり、大統領は辞任に追い込まれていた。


日本のできごと

(3月30日〜4月9日)

統一地方選前半、有権者に選択肢なし
 第十九回統一地方選挙の前半戦(十一道府県知事、四十一道府県議、十七政令市議)が四月七日、投開票された。知事選では与党系候補が十勝、大阪府・市長選では大阪維新の会が大勝、道府県議では自民党が過半数を得た。知事選で与野党対決となったのは北海道のみで、道県議選では選挙区の三九%が無投票であるなど、有権者の選択肢はあらかじめ奪われていた。道府県議の投票率は四四・〇八%で史上最低、知事選も史上二番目の低さとなったのも当然。地方政治での「敵なし論」に乗り、選択肢を示せない野党の弱さが際立った。

新元号、国民統合の意図あらわ
 政府は一日、五月一日からの新元号を「令和」と決めた。皇位継承前の公表は憲政史上初めて。第一次政権時代の「美しい国」、第二次政権発足時に掲げた「強い日本」を引き継ぎ、天皇の「代替わり」と併せ、対米従属下での政治軍事大国化のために国民統合を強化する狙いは明らか。マスコミも大騒ぎで策動に加担、政府は省庁での元号使用を強制する方針を示している。支配層による思想攻撃であり許せない。

地方経済の疲弊、深刻に
 日銀は八日、四月の地域経済報告(さくらリポート)を発表した。全国九地域のうち三地域(東北、北陸、九州・沖縄)で景気の総括判断を引き下げ、とくに工作機械や電子部品関連の外需が減っていることを認めた。判断を引き上げたのは、昨年秋の大地震で観光需要が落ち込んだ北海道のみ。三地域もの引き下げは、二〇一三年一月に欧州債務危機の影響で引き下げて以来。一月の同レポートは全国七地域での生産判断を引き下げており、世界経済の低迷や米中「貿易戦争」が地域経済に深刻な影響を与え始めている。

塚田国交副大臣が辞任
 塚田国交副大臣は五日、下関北九州道路の整備をめぐり、安倍首相や麻生副総理に「忖度(そんたく)した」と発言したことをめぐって辞任した。塚田氏は「事実と異なる発言」としたが、公共事業をめぐる政治家の「本音」が露呈したものだ。

国交相、辺野古承認撤回を取り消し
 沖縄県名護市辺野古への新基地建設をめぐり、石井国土交通相は五日、軟弱地盤の発見などを理由とする、沖縄県による沿岸部の埋め立て承認撤回の処分を取り消した。防衛省沖縄防衛局からの請求を認めたもので、「取り消しありき」の不当な決定。玉城知事は「取り消されるいわれは全くない」と反論、闘いを堅持している。


オスプレイ着陸、自治体が抗議
 米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属の輸送機オスプレイが一日、大阪空港(兵庫県伊丹市)に緊急着陸した。岩国基地(山口県)から厚木基地(神奈川県)に向けて飛行中、警告灯が点灯したためとされるが、米軍による民間空港活用の「予行演習」でもある。着陸で滑走路は一時閉鎖、同空港発着の民間機計七便に遅れが出た。周辺自治体の大阪国際空港周辺都市対策協議会(十市協)は、国土交通省と防衛省、運営会社の関西エアポートに抗議文を提出したが、当然の措置だ。


F35墜落、中ロへの対抗を意識
 防衛省は九日、航空自衛隊のステルス戦闘機F35Aが三沢基地(青森県三沢市)東の太平洋上空で行方不明になったと発表した。その後、海上で機体の一部が発見され、操縦士は行方不明となっている。最新鋭で、追加購入も決まっている戦闘機の事故に防衛省はあわてているが、米国も爆撃機までかり出して捜索にあたるなど、公海上での墜落で中国やロシアに機体情報が漏れることを恐れている。


経団連、原発再稼働に固執
 経団連は八日、電力システムの再構築に向けた提言を発表した。電源の八割を火力発電に頼るなか、「温暖化ガス削減」を口実に、原子力発電所の再稼働や新増設、再生可能エネルギーを増やすための送電網の整備を提言した。中西会長(日立製作所会長)は、原発輸出がとん挫していることから国内での需要確保を求めており、スマートグリッド(次世代送電網)導入でも国の財政支援を求めた。身勝手きわまりない提言だ。


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