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労働新聞 2019年4月5日号 トピックス

世界のできごと

(3月20日〜3月29日)

米中貿易協議、米国の強硬姿勢続く
 北京で開かれていた米中閣僚級協議が三月二十九日、終了した。劉鶴副首相は双方が追加関税を即時全廃するよう主張したが、ライトハイザー通商代表部(USTR)代表らは「かなりの期間」追加関税を残す段階的措置を主張、中国に「合意履行」の圧力をかける意思を隠さなかった。中国は大豆などの輸入拡大に続き、金融市場の開放策を発表するなど譲歩を示したが、米国は強硬姿勢を崩していない。米中首脳会談の開催メドも立たず、米国の攻勢は長期化の様相を見せている。

ロシア疑惑、大統領の罪は認定せず
 バー米司法長官は三月二十四日、モラー特別検察官による、ロシア疑惑に関する捜査報告書の概要を発表した。報告書は、二〇一六年大統領選でのトランプ陣営とロシアの「共謀を立証せず」、大統領による捜査妨害も「証拠不十分」とした。ただ、大統領の「無罪を証明したものでもない」とも記された。この問題で大統領が弾劾される可能性は低まったが、民主党は女性スキャンダルなどと併せて追及を続ける構え。何より景気の先行きは不透明で、政権運営は安定にはほど遠い。

米、イスラエルの高原占領を公認
 トランプ米大統領は二十五日、ネタニヤフ・イスラエル首相と会談した。シリアのゴラン高原について、第三次中東戦争以来、同地を占領しているイスラエルの主権を認める宣言に署名した。エルサレムを「イスラエルの首都」と承認したことに続くもので、再選に向けてユダヤ票を取り込む狙いが露骨。アラブ諸国・人民は反発、国連安保理の英国、ドイツなど欧州五カ国も「認めない」との声明を発表した。米国の国際的孤立は深まり、中東情勢は不安定さを増している。


中欧が4者首脳会談
 欧州訪問中の習近平・中国国家主席は二十六日、パリでマクロン・フランス大統領、メルケル・ドイツ首相、ユンケル欧州委員長と四者会談を行った。四首脳は地球温暖化対策での協調などを確認、習主席は中国からの投資拡大への理解を求めた。マクロン大統領は「欧州の結束」を強調しつつ、中国との間で総額約四百億ユーロ(約五兆円)の商談をまとめた。また、欧州委員会は同日、次世代通信規格(5G)に関して、華為技術(ファーウェイ)など中国製品を採用する判断を加盟国に委ねるとした。「排除」で同調を求めたトランプ政権と一線を画し、米中関係にも一石を投じる動きだ。

EU離脱めぐり英国混迷深まる
 英国の欧州連合(EU)離脱をめぐり、メイ首相による協定案が二十九日、議会で否決された。否決は三回目で、「離脱案を可決したら辞任」とした首相の捨て身の策も失敗。EUは同日までに協定案を可決すれば、五月二十二日まで「延期」を認めるとしていたが、「合意なき離脱」の可能性がさらに高まった。英国は四月中旬までに今後の方針を示す予定だが、代替案が議会で支持されるメドはない。さらに再度の国民投票や総選挙を求める世論も強く、英政局は混迷を深め、世界経済にも深刻な影響を及ぼしている。

人民のたたかい

(3月20日〜3月29日)


  韓国のソウルで二十七日、民主労総の約一万人が「全国労働者大会」を行い、労働法制改悪に反対した。
 北アフリカ・モロッコの首都ラバトで二十四日、教職員など一万人が政府による公共サービス切り捨て政策に反対し、労働条件改善などを求めてデモ行進を行った。
 アルジェリアで二十二日、ブーテフリカ大統領の退陣を求めて二百万人がデモ行進を行った。
 ノルウェー全土で二十二日、地球温暖化対策を求め、四万人の生徒が登校を拒否して行動に参加した。ドイツのベルリンでも、二万人の高校生がデモ行進を行った。


日本のできごと

(3月20日〜3月29日)

過去最大の一九年度予算成立
 二〇一九年度予算案が三月二十七日、参議院本会議で自公与党などの賛成多数で可決、成立した。一般会計総額が当初予算で史上初めて百兆円を超え百一兆四千五百七十一億円となった。防衛費は七年連続で増加、五兆二千五百七十四億円で史上最高額を更新した。トランプ米政権の要求に沿いF 戦闘機やイージス・アショアを購入する一方、社会保障費の自然増の伸びを抑制、後期高齢者医療保険料の軽減措置も廃止する。また十月に予定する消費税増税対策として二兆円を投じるが、低所得者や中小零細企業への犠牲しわ寄せは必至。米国追随の軍事大国化と国民犠牲の色濃い予算にもかかわらず、天皇の代替わりを前に「混乱」を避けようと野党は徹底論争せず、年度内成立に事実上手を貸した。

3年ぶり景気判断を下方修正
 政府は二十日、三月の月例経済報告を発表した。景気判断を「緩やかに回復している」から「輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している」へ下方修正した。下方修正は一六年三月以来。中国経済の減速の影響を受け、輸出の伸びが鈍化、生産用機械や電子部品などの生産減に波及していることを反映した。茂木経済再生相は「景気回復が途切れたとは考えていない。戦後最長を更新した可能性があるとの認識は変わらない」と強弁したが、景気の悪化は鮮明で、消費税増税など許される状況ではない。

辺野古で新工区の埋め立て強行
 沖縄県名護市辺野古の新基地建設をめぐり、防衛省沖縄防衛局は二十五日、新たな区域に土砂投入を始めた。沖縄では投票総数の七割超が「反対」という圧倒的な意思を示した県民投票から一カ月しか経っておらず、軟弱地盤問題や赤土投入問題にも答えないなか、安倍政権は県民の意を踏みにじる姿勢をあらためて鮮明にした格好で、到底許し難い。

宮古島に陸自新設、復帰後2カ所目
 防衛省は二十六日、沖縄県宮古島市に整備した陸上自衛隊宮古島駐屯地に、宮古警備隊約三百八十人を新設した。沖縄の日本復帰後、自衛隊施設の新設は一六年三月の与那国町での与那国駐屯地(沿岸監視隊)に続き二カ所目。また同日陸自は鹿児島県の奄美大島でも約五百六十人の奄美警備隊を発足させた。安倍政権は、米戦略に沿った中国封じ込めを念頭に、南西諸島の軍事要塞化を進めている。

小学校教科書検定、自衛隊記述増加
 文部科学省は二十六日、一八年度に行った小学校教科書の検定結果を公表した。検定は一三年度以来五年ぶり(道徳は一六年度以来二年ぶり)で、一四年に検定基準、一七年に学習指導要領が改定されてからは初めて。四年の社会科では申請した三社すべての教科書に自衛隊の記述が登場したほか、領土問題では領土問題などで政府見解に忠実に従った記述が強要された。教育現場に政権の意を浸透させる姿勢がいっそう鮮明となっている。


既成事実化進めるカジノ施行令決定
 安倍政権は二十六日、昨年七月に強行成立させたカジノ実施法の細目を定める施行令を閣議決定した。カジノ面積は「施設全体の床面積の三%」とするだけで絶対値による規制はなく、また資金洗浄(マネーロンダリング)対策として届け出を義務付ける取引範囲を「百万円超」としたが、チップ購入は野放しとなるなど、他国と比べても不十分な内容。同法は細目三百十一項目を政令などに委ねる形で強行成立されたが、今施行令でも多くの課題が七月に発足するカジノ管理委員会による規則に先送りされた。既成事実を積み重ねる安倍政権は姑息(こそく)だ。


築地跡地に国際会議場、公約破り明確
 東京都は二十九日、築地市場跡地(中央区)を国際会議場・展示場(MICE)などの大規模集客・交流拠点として、民間主導の「築地まちづくり方針」を決めた。築地地区の将来像として「国際的な交流拠点」などと提示、国際会議場や高級ホテル、大規模集客施設などを整備する。小池知事は一七年六月に示した基本方針で「市場機能を確保する」と公約したが、一月に公表した方針素案では市場確保にふれず、今回は築地に卸売市場を整備しないことを明記した。知事の公約破りがいっそう明確になった。


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