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労働新聞 2019年3月15日号 トピックス

世界のできごと

(3月1日〜3月9日)

中国全人代開幕、経済対策打ち出す
 中国の第十三期全国人民代表大会(全人代)第二回会議が三月五日、北京で開幕した。李克強首相の「政府活動報告」では、二〇一九年の経済成長率の目標を「六〜六・五%」と二年ぶりに引き下げ、二兆元(約三十三兆円)規模の景気対策を打ち出した。企業の付加価値税減税と鉄道などへの投資、社会保険料の負担軽減、地方政府の債券発行枠拡大などが柱。米国からの攻勢が強まるなか、国家戦略「中国製造二〇二五」に言及しないなど対米配慮もにじませたが、国防費や台湾の「分裂反対」などで譲らない姿勢も再度示した。

OECD、成長見通しを下方修正
 経済協力開発機構(OECD)は六日、「経済見通し中間報告」を公表した。一九年の世界経済の成長率見通しを三・三%と、昨年秋から〇・二ポイント下方修正した。二〇年は同三・四%と予想した。同機構は「世界経済への逆風は強まっている」と評価、二十カ国・地域(G20)構成国のほとんどで見通しを下方修正、とくに中国と欧州経済をリスクとした。昨秋から顕著となった世界経済の冷え込みが、いちだんと厳しくなっていることを示している。

ECBとFRB、再緩和へ道
 欧州中央銀行(ECB)は七日、理事会を開き、予定していた年内の利上げの見送りを決めた。ECBは昨年末に量的緩和政策を終えたものの、三月にも再開させる観測が強まった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)も八日、昨年末に示した「一九年に二回の利上げ」計画を停止することと併せ、日銀による「異次元緩和」を参考にする可能性まで示唆(しさ)した。世界経済が変調をきたすなか、先進諸国の金融政策は手詰まりに陥り、再緩和の方向に向かいつつある。


米、キューバへの圧力強化
 トランプ米政権は四日、一九五九年のキューバ革命で接収された財産について、米国人による損害賠償請求訴訟を起こせるようにした。トランプ政権は一七年末、オバマ前政権が緩和した同国への制裁を再強化する方針を打ち出していたが、圧迫をさらに強めるもの。キューバと友好関係にあるベネズエラ、さらに中国やロシアへの圧力でもあり、大統領選挙を控えて亡命キューバ人団体の支持を獲得する狙いもある。

人民のたたかい

(3月1日〜3月9日)


  国際女性デーの八日、女性の地位向上などを求めるデモ行進が世界で行われた。ブラジルのサンパウロでは、数千人が右派政権に反対してデモ行進した。スペインでは、マドリードなど千四百カ所で五十万人以上がデモし、労働組合員六百万人が二時間ストライキに突入した。フィリピンのマニラでは、四千人がドゥテルテ政権に反対してデモ行進した。メキシコのメキシコシティーでも約八千人がデモ行進した。韓国のソウルでは、女性団体連合の千人がデモ行進した。
 韓国で六日、民主労総が変形労働時間制の拡大反対などを掲げてストライキに突入した。行動は全国で行われ、約二万人が参加した。
 フランス全土で九日、「黄色いベスト運動」が十七週目のデモ行進を行い、約三万人が参加した。今回は保育士が合流、運動は粘り強く続いている。
 米国カリフォルニア州オークランドで三日、二月からストライキに入っていた教職員組合が当局と賃上げで合意、勝利的にストを終えた。
 アルジェリアで三日、二十年にわたって政権の座にあるブーテフリカ大統領が四月の大統領選挙に出馬表明したことに抗議するデモが行われた。八日には百万人のデモに発展し、大統領は出馬断念に追い込まれた。


日本のできごと

(3月1日〜3月9日)

景気の減速鮮明も安倍政権は無策
 内閣府は三月七日、景気動向指数の一月の基調判断を従来の「足踏み」から「下方への局面変化」に引き下げた。この表現は、消費増税の影響を受けた一四年以来。景気の現状を示す「一致指数」は三カ月連続で減少し、五年七カ月ぶりの低水準となった。また財務省が一日発表した二〇一八年十〜十二月期の法人企業統計(金融業・保険業を除く)では、経常利益が十期ぶりに減益となった。帝国データバンクが五日に発表した二月の景気動向調査でも、中国向け輸出の減速やコストの上昇などにより一八年十一月から三カ月連続でマイナスとなった。半導体大手のルネサスエレクトロニクスが国内工場での生産を最大二カ月停止する方針を打ち出すなど、企業経営や国民生活に影響が広がっている。

複数税率導入で高所得者ほど恩恵
 財務省は一日、衆議院財務金融員会に消費税を一〇%に引き上げる際に食料品などにかかる税率を据え置いた場合の収入階層別の税収減の試算を提出した。最も収入の低い二割(年収二百三十八万円未満)の層での税収減が千四百三十億円となる一方、最も高い二割の層(同七百三十八万円以上)では二千八百八十億円となるとし、収入の高い層ほど複数税率導入で恩恵が及ぶことが明確になった。逆進性が強い消費税の増税中止、さらに消費税そのものを廃止すべきだ。

県民投票結果を日米両政府に通知
 沖縄県の玉城知事は一日、名護市辺野古の米軍新基地建設の埋め立てに七割以上が反対の意思を示した二月の県民投票の結果を日米両政府に通知した。知事は安倍首相と会談、「沖縄県民の思いを真正面から受け止めて工事を直ちに止めてほしい」と要請、日米・県三者の話し合いの枠組みを設けることも提案した。しかし首相は新基地建設は「先送りできない」と改めて表明、枠組みについても言及しない不誠実な態度に始終した。

文大統領、安倍政権にき然とした態度
 文・韓国大統領は一日、「三一節」(抗日独立運動記念日)で演説した。大統領は従軍慰安婦問題などに言及、「加害者が『終わった』と言ってはいけない」と、歴史に無反省な安倍政権を批判しつつ、「誠意ある反省と和解の上で共に未来に進む」ことを求めた。大統領は南北融和の動きに触れて「新韓半島体制」の構築にも言及、この方向で日本と「真の友」となることを希望した。わが国の誠実な態度が問われている。

米軍基地上空のドローン飛行禁止へ
 政府は五日、小型無人機ドローンによる自衛隊や在日米軍基地上空の飛行禁止を盛り込んだドローン規制法改定案を閣議決定した。皇居や首相官邸など現行法で禁じている施設に加える内容で、「テロ防止」が口実。九月のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会と来年の東京五輪会場も、期間中は取材メディアを除き禁止する。日本新聞協会などは「取材活動が制限される」として反対しているが、真の狙いは沖縄県名護市辺野古の新基地建設をめぐる報道規制など米国への配慮で、反対運動への制動でもある。


出生前検査拡大、障害児否定のおそれ
 胎児にダウン症など染色体の病気があるかどうかを妊婦の血液から推定する新型出生前検査について、日本産科婦人科学会は二日、検査可能な医療機関の要件を大幅に緩和する指針改定案を了承した。現行指針では臨床遺伝専門医の資格を持つ医師が在籍する病院のみを認定しているが、カウンセリングの専門家がいない医療機関も連携施設として認める。二〇一三年以降、病気が分かった約八百九十人の九割が人工妊娠中絶を選択、カウンセリング体制が不十分と指摘されてきた。新指針による生前検査拡大で、障害児を否定する風潮が強まる危険性が高い。


大阪府市長辞職でダブル選挙へ
 松井・大阪府知事と吉村・大阪市長が八日、それぞれに辞職願いを提出した。両者は松井氏が市長、吉村氏が知事に「入れ替え出馬」することで、大阪維新の会の看板である「大阪都構想」での突破をもくろんでいる。市議会は「大儀なき選挙」などと辞職願に不同意としたが、自動失職となる予定。安倍官邸の後押しを受ける維新勢力への審判が求められている。


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