ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

労働新聞 2019年3月5日号 トピックス

世界のできごと

(2月20日〜2月28日)

2度目の米朝首脳会談、合意ならず
 トランプ米大統領と朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の金正恩委員長は二月二十七、二十八日、二度目の首脳会談をベトナム・ハノイで行った。会談は昨年六月のシンガポール以来。トランプ大統領は、「寧辺以外」を含む朝鮮の一方的「非核化」を強いようとした。また、朝鮮の求めた、国民生活に支障を与える項目の制裁解除要求を一顧だにしなかった。この結果、合意文書への署名は見送られた。米国では会談当日に、トランプ大統領の元側近の弁護士が下院の公聴会に招致されたことも、会談に影響したという見方もある。朝鮮は不当な要求に屈せず、闘いを堅持した。

米、対中追加関税延期したが…
 米トランプ政権は二十四日、三月二日に予定していた中国製品二千億ドル分の追加関税引き上げ(一〇%から二五%へ)の延期を表明した。三月下旬に予定されている習近平国家主席との首脳会談で決着をめざす考えを示した。中国は大豆や液化天然ガス(LNG)など今後六年で一兆ドル(約百十兆円)の輸入拡大案などを明言、一定の合意に達した。トランプ大統領にとって、対中制裁が自国経済にはね返ることを避けたい思惑を見える。協議では米国が執拗(しつよう)に「構造改革」を要求、合意には至らなかった。米国による対中攻勢は一時的「休戦」とも見える状況となったが、米国は中国の「体制転覆」までも狙っており、要求は止むことがない。

メイ英首相、EU離脱延期示唆
 英国のメイ首相は二十六日、下院での演説で三月十二日までに欧州連合(EU)との合意内容が議会で承認されなかった場合、三月末の離脱期限を延期する考えを示した。離脱期限が約一カ月後に迫るなか、ホンダなどの企業の撤退や生産計画見直しが相次ぐなど、混乱が必至な「合意なき離脱」を回避するため方針変更を強いられたもの。一方、労働党のコービン党首もEU離脱を問う二度目の国民投票への支持を表明するなど、離脱に向けた道筋は未だ見通せない。世界で五位の経済規模の英国で続く動揺は、欧州、世界経済への波及が不安視されている。


ロ大統領、米のINF離脱へ対抗策、
 ロシアのプーチン大統領は二十日、年次教書演説を行った。貧困や福祉、環境対策の拡充やハイテク産業の育成など、昨年発表した年金受給年齢引き上げを機に高まっていた国民の不満に応えた。外交面では中国との関係強化をうたうと同時に、インドなど東南アジア諸国との連携を前面に押し出すなど、アジアでの影響力拡大に踏み出す姿勢を示した。対米関係では、中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を批判、米国のミサイル防衛(MD)網を突破する最新兵器で対抗すると警告するなど、対抗を明言した。

人民のたたかい

(2月20日〜2月28日)


  フランス全土で二月二十三日、「黄色いベスト」運動によるマクロン政権に対する抗議行動が行われ、全土で約五万人が参加した。この行動は連続十五週目。
 米国西部オークランドで二十一日、公立学校で働く教育労働者が賃上げと教育環境の改善を求めてストライキを行った。保護者や生徒なども合流、市民にストへの支持を呼びかけた。教育労働者でつくるオークランド教育協会(OEA)は「毎年五人に一人が退職」「養護教員は生徒百人に対し、一人しか配置されていない」と訴えている。
 ベルギーで二十一日、地球温暖化対策への根本的対策を求める高校生らのデモが、各地で行われた。一万人超の若者が「気候変動で正義を求める」などと訴えた。ブリュッセルでのデモには約七千五百人が参加した。


日本のできごと

(2月20日〜2月28日)

沖縄県民投票で「反対」が7割超
 米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐる県民投票が二月二十四日、投開票された。結果、埋め立て「反対」が四十三万四千二百七十三人(七一・七四%)を占め、「賛成」の一八・九九%を大きく上回った。投票率は五二・四八%で、「反対」は絶対得票率でも三七%を超えた。玉城知事は、結果を安倍首相とトランプ米大統領に通知した。だが、安倍首相は結果を「真摯(しんし)に受け止める」などと述べたが、投票日翌日も埋め立て工事を強行、米国も同様の態度だ。県民の意思を踏みにじる姿勢は許しがたい。

勤労統計追加調査、隠ぺいを否定
 毎月勤労統計の不正をめぐり、厚生労働省の特別監察委員会は二十七日、追加調査結果を公表した。報告では組織的隠ぺいを否定したが、そもそも、厚労省幹部が関係者への聴取に同席していたことから「再調査」に追い込まれたものだが、内容は同じでまさに「結論ありき」のもの。また、厚労省の賃金構造基本統計の不正でも統計法違反の調査が二十五年にもわたって続いていたことが明らかになるなど、まさに不正は「底なし」。調査方法の変更をめぐる首相官邸の関与疑惑と併せ、アベノミクスはズタズタだ。

在位30年式典、代替わり演出強化
 天皇在位三十年記念式典が二十四日、政府主催で開かれた。安倍首相は「国民に常に寄り添ってこられた両陛下のお姿を忘れることはない」などと、天皇制の美化と政治利用を公言した。また二十六日には、衆議院で「賀詞」が全会一致で議決された。共産党は式典、本会議の両方を欠席したが、「今の政府」に限定しての批判にとどめるなど、腰砕けの態度は鮮明。政府、支配層は、今年に予定される天皇代替わりと改元を活用して国民統合を強化しようとしている。

政権の反動的性格示す報道妨害
 菅官房長官は二十六日、「東京新聞」記者の質問に「あなたに応える必要はありません」などと答えた。以前から、首相がマスコミ上層部と食事会を開くなど、安倍政権はマスコミへの圧迫と懐柔を強めていた。昨年末には、同社が辺野古での埋め立てをめぐって質問したことに対し、官邸報道室長名で「度重なる問題行為」などと決めつけるなど、マスコミへの圧迫はさらに強まっている。マスコミ文化情報労組会議が「全ての国民・市民の『知る権利』を奪うもの」と批判しており、当然の声だ。

諮問会議、地方を外資に差し出す策動
 政府の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)が二十六日に開かれ、地方活性化策を議論した。今夏までに、民間議員を中心に、海外から地方に直接投資を呼び込む具体策を検討することで合意した。対日直接投資の拡大で地方活性化を進めるという口実で、法人設立のための審査簡素化などが想定されている。安倍首相は「元気な地方なくして日本の再生なし」などと述べたが、国の責任を放棄し、外資による地方収奪を許すもので、認められない。


福島原発訴訟、急がれる賠償
 横浜地裁は二十日、東京電力福島第一原発事故を機に神奈川県に避難した住民が、国と東電に対して損害賠償を求めた訴訟で国と東電の法的責任を認め、賠償を命じる判決を言い渡した。津波を「予見できなかった」との国の主張を退け、東電に対する規制権限を行使しなかったことを違法だとする、当然の判決。全国の訴訟中、東電と国の責任を認めた判決は五件目。だが、東電は「裁判外紛争解決手続き(ADR)」による和解を拒否するなど、不誠実な態度をとり続けている。政府・東電は賠償に誠実に応じるべきだ。


大阪都構想でダブル選挙濃厚に
 大阪都構想案を作成するための大阪府と大阪市による法定協議会が二十二日に開かれた。政治家による委員間協議では、大阪維新の会と公明党が特別区の名称や議員定数について協議した。維新は公明に対し、構想案の早期とりまとめに応じるか、今秋の知事・市長の任期切れに合わせた住民投票を行うかの「二択」を迫っている。だが、公明が時期の確約に応じず、知事と市長の辞職によるダブル選挙の可能性が高まっている。都構想にしがみつく維新勢力の悪あがきだ。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2019