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労働新聞 2019年2月25日号 トピックス

世界のできごと

(2月10日〜2月19日)

トランプ非常事態、「壁」ゴリ押し
 トランプ米大統領は二月十五日、非常事態を宣言した。同時に大統領は、メキシコとの国境への「壁」建設費として十四億ドルを支出することを含む予算案に署名した。宣言は、議会が認めた十四億ドル分を超える建設費、総額約八十一億ドル(約九千億円)を確保するためのもの。民主党はこれに強く反発、カリフォルニア州など十六州も、宣言を憲法違反として提訴した。一般教書演説で「協調」を呼びかけたトランプ大統領だが、三月に期限が切れる債務上限問題などにも影響を与えることが必至。来年の大統領選挙を念頭に、しゃにむに「公約」実現に突っ走るトランプ政権によって、米国内の矛盾はいちだんと激化している。

ペンス欧州歴訪、中国対抗あらわに
 ペンス米副大統領は十六日、ドイツで行われた「ミュンヘン安全保障会議」における演説で、中国、ロシアに譲歩しない姿勢を鮮明にさせた。両国を「修正主義勢力」と位置づけた国家安全保障戦略に基づき、中国へのハイテク分野での制裁を正当化、ロシアにも「中距離核戦力(INF)廃棄条約に違反」と決めつけ、さらにイランも非難した。また、「(米国は)史上最強の軍事力を構築している」と、核戦力増強の意思を強調した。副大統領は会議に先立ち、訪問したポーランドでも、欧州諸国に中国やイラン制裁への同調を求めた。「米国第一」の全面開花が、米欧同盟を揺さぶっている。

英など、華為めぐり米国と一線画す
 ミュンヘン安全保障会議に参加した英国情報局秘密情報部(MI6)のヤンガー長官は十五日、英国が中国通信大手・華為技術(ファーウェイ)製品を採用することについて、「リスクは管理可能」と述べた。根拠の一つに、英国で第五世代通信規格(5G)設備の提要会社が不足していることを挙げた。米国が同盟国に制裁への同調を迫るなか、ドイツも「禁止する法的根拠はない」とし、同社による欧州研究所の新設を歓迎している。英国が米国と一線を画する姿勢を見せたことで、米国主導の「スパイ同盟」である「ファイブアイズ」も結束が揺らいでいる。


米中協議、溝埋まらず
 米中両国が北京で開いていた閣僚級貿易協議が十五日、閉会した。中国は、従来の米国産農産物やエネルギーに加え、工業製品の輸入拡大案などを提示したものの、米国が要求する国内産業への補助金廃止や技術移転問題では溝が埋まらず、継続協議となった。両国の声明では「協議期限の三月一日までにすべての未解決の課題に取り組む」とされたが、期限内に折り合うのは容易ではない。一部には「六十日間の交渉延長」という報道もあるが、中国を抑え込もうとする米国の意図は変わらず、手を変え品を変え圧迫を続けるだろう。

人民のたたかい

(2月10日〜2月19日)


  中国・台湾の中華航空のパイロット九百人が行っていたストライキは十四日、会社側が一部ルートにおける増員を認めたことで、勝利的に終結した。同社は、十二日で六十三時間という過酷なフライトを強いていた。
 スペインのバルセロナで十六日、カタルーニャ自治州独立運動の指導者への公判が始まったことに抗議し、五十万人がデモ行進した。
 米国コロラド州デンバーで十二日、教員労組が賃上げや少人数学級化などを求めてストライキを行った。
 イラクで十七日、初中等学校の教員が賃上げと施設改善を求めてストライキを行った。
 韓国のソウルで十一日、政府が在韓米軍の分担金を増額させたことに抗議し、民主労総などでつくる「戦争反対平和実現国民行動」が会見を行い、撤回のための闘いを宣言した。
 韓国のソウルで十二日、全国公務員労組の解職者が職場復帰を求め、大統領府前で集会を開き、その後、集団ハンストに突入した。


日本のできごと

(2月10日〜2月19日)

政権の危機感にじむ自民党大会
 自民党は二月十日、党大会を開いた。党総裁である安倍首相は演説で憲法第九条の改悪について、自衛隊の新規隊員募集に対して「都道府県の六割以上が協力を拒否している」などと必要性を強調した。だが、党大会で採択した運動方針では改憲については前文で触れるだけにとどめた。また四月の統一地方選と夏の参議院選が重なる十二年に一度の「亥年選挙」に向けて、「十二年前の亥年の参院選ではわが党が惨敗を喫した」「敗北によって政治は安定を失い、あの悪夢のような民主党政権が誕生した」と声を荒げて選挙戦に向けた結束を訴えた。安倍政権への不満や怒りが国民に広がっていることへの危機感がにじむ大会となった。

GDP2四半期ぶりのプラスも低迷
 内閣府は十四日、二〇一八年十〜十二月期の国内総生産(GDP)速報値を発表した。実質の季節調整値で前期比〇・三%、年率で一・四%増加し、2四半期ぶりのプラスとなった。しかしそのほとんどが西日本豪雨や台風、北海道地震などの災害で前期比〇・七%減となった七〜九月期の反動で、落ち込んだ分の穴埋めはできていない。また、GDPの約六割を占める個人消費は〇・三%の伸びにとどまり、消費の低迷は依然深刻。国民経済の低迷が如実に示された格好で、安倍政権がもくろむ消費税再増税によって国民生活がいっそう追い込まれることは避けがたい。

統計不正、アベノミクス偽装鮮明に
 賃金が高く出るよう統計調査方法を変更していた問題で、財務省の中江関税局長は十五日、国会で安倍首相の秘書官在任時の二〇一五年に厚生労働省の毎月勤労統計の調査方法に関する「問題意識」を伝えるなど圧力をかけていた問題について問われた。中江局長は「政府に都合のいいデータが出るように不適切な方法をとらせる意図はなかった」と、はぐらかした。首相補佐官があえて厚労省を訪問し「安倍首相の意向」という形で圧力を加えたことは明白。だが、こうした追及に対して安倍首相は自ら「選挙に五回勝ってる」とヤジを飛ばすなど、のらりくらりと逃げに始終した。「アベノミクス偽装」は鮮明で、統計まで私物化する安倍政権は到底許されない。

日韓外相会談、許せぬ排外主義
 河野外相と康京和・韓国外相が十五日、ドイツのミュンヘンで会談した。会談は一月二十三日のスイスでの会談に続くもの。両外相は、元徴用工訴訟での新日鉄住金の資産売却問題や、文喜相・韓国国会議長が従軍慰安婦問題で首相または天皇の謝罪を求めた問題、韓国駆逐艦によるレーダー照射問題などについて協議した。だが、問題解決への合意はできなかった。安倍政権は、元徴用工問題を第三国を交えた仲裁に持ち出すことを策動、検討、国際司法裁判所(ICJ)への提訴さえ策動している。植民地支配への反省のない排外主義扇動は、わが国の孤立を招くだけだ。

日英首脳会談、成果乏しく
 安倍首相は十一日、オランダと英国への訪問を終えて帰国した。オランダのルッテ首相との会談では今年日本で開催される二十カ国・地域(G20)首脳会議での協力を呼びかけた。メイ英首相との会談では、三月末に迫る英国の欧州連合(EU)離脱に伴う対応を協議したほか、台頭する中国を念頭に置いた「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、海洋安保や通信インフラを含む質の高いインフラ整備でいっそう協力を強化することで一致した。米国の意も受けて日英同盟強化を推し進めたい安倍政権だが、メイ政権はEU離脱で身動きがとれず、成果の乏しい訪欧となった。


トランプ氏ノーベル賞推薦の愚行
 米国のトランプ大統領は十五日、会見で「安倍首相がノーベル賞の選考者らに送った手紙」として「あなたにノーベル平和賞を授与してほしいとお願いした」と書かれた手紙を紹介した。真偽をただされた首相は十八日、「事実ではないと言っているのではない」と歯切れの悪い答弁に始終、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の「核・ミサイル」問題などをあげ、「米国は日本にとって唯一の同盟国であり、一定の敬意は払うべき」などと「大統領愛」を強調、内外に米国の忠犬であることをあらためて示した。


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