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労働新聞 2018年10月25日号 トピックス

世界のできごと

(10月10日〜10月19日)

米中国防相、対立あらわ
 マティス米国防長官と魏鳳和・中国国防相が十月十八日、シンガポールで会談した。両相は、九月末に南シナ海で起きた米中艦船のニアミスなどを踏まえ、「対話を通じた偶発的衝突の回避」で合意した。だが、国防長官は「無責任」と中国を非難するなど、「融和」にはほど遠い会談となった。米国は十一月に台湾海峡と南シナ海で演習を予定するなど、軍事挑発を激化させている。中国も十月末に南シナ海で演習を計画、緊張が高まっている。

G20、対策手詰まり明白
 インドネシアのバリ島で開かれた二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は十二日、閉幕した。会議中に世界的株価急落が発生、成長鈍化、貿易戦争、過剰債務などの難題が山積するなかだが、共同声明すら採択できずに終了した。最大の理由は、米国が「国際収支の不均衡は放置できない」(ムニューシン財務長官)と、他国への要求を正当化したこと。議長であるドゥホブネ・アルゼンチン財務相は、米中摩擦に関し「当事者同士で解決しないといけない」と、さじを投げた。G20の機能不全で、世界は危機への対処手段を失いつつある。

ASEM首脳会議、米国の孤立鮮明
 ベルギーのブリュッセルで行われていた、アジアと欧州の五十三カ国・機関が参加するアジア欧州会議(ASEM)首脳会議が十九日、議長声明を採択して閉幕した。声明は「多国間の貿易システムを守る」と明記するなど、名指しを避けつつ、米国へのけん制を確認した。また、朝鮮問題では、韓国の意向が反映し、従来あった朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に対する「圧力と制裁を維持する」との表現は削除された。ここでも、「米国第一」のトランプ政権の孤立が鮮明となった。


英、EU離脱交渉が迷走
 EU首脳会議が十七、十八日、ブリュッセルで行われた。英国の離脱に関して、EUが示した北アイルランドを関税同盟に残す案に対し、メイ英首相は英国全体が二〇二一年末まで同盟に残る案を提案し折り合えなかった。一九年三月の離脱まで半年を切るなか、北アイルランドの地域政党との連立で政権を維持するメイ政権は国内調整がままならない。合意がないままの「ハードランディング」が迫っている。英産業連盟(CBI)が「忍耐は限界に近づいている」と表明したほか、英国に進出している各国企業にも甚大な影響を与えかねない。

独地方選で与党大敗
 ドイツのバイエルン州議会選挙が十四日に投開票され、メルケル政権与党のキリスト教社会同盟(CSU)と社民党(SPD)が大敗した。CSUは得票率三七・二%で、前回の四七・七%から後退、戦後初めて過半数を割った。SPDも二〇・六%から九・七%に半減。対して、極右・ドイツのための選択肢(AfD)が一〇・二%を得、緑の党も一七・五%と倍増した。与党の大敗はメルケル政権の求心力低下を招くことが必至だ。

人民のたたかい

(10月10日〜10月19日)


  韓国のソウルで十八日、労働組合や業界団体で構成する非常対策委員会が決起大会を開き、七万人が配車サービスに抗議した。
 韓国のソウルで十三日、保育士などの労働組合が市庁舎前で集会を開き、労働者の待遇改善を要求してデモ行進を行った。
 ドイツのベルリンで十三日、人種差別と極右勢力に反対するデモ行進が行われ、二十四万二千人が参加した。
 フランスの九カ所で十四日、核兵器廃絶を求める行動が行われた。
 抗争が続いているパレスチナ自治区のガザで十二日、イスラエルに対する一万五千人規模の抗議デモが行われた。イスラエル軍の銃撃などでパレスチナ人二百人以上が死傷した。

日本のできごと

(10月10日〜10月19日)

消費税増税を正式表明、生活に大打撃
 安倍首相は十月十五日、臨時閣議で二〇一九年十月に消費税率を八%から一〇%に引き上げる増税を予定通りに実施すると正式表明し、景気悪化を防ぐために「万全の対策」を期すよう関係閣僚に指示した。政府は中小規模店舗でクレジットカードなどキャッシュレス決済で買い物をした顧客を対象に増税二%分を公費でポイント還元することを検討、また自動車や住宅への補助や減税、酒・外食を除く飲食料品の税率据え置きを行う見込みだが、安倍政権下の経済政策で国民生活が悪化するなかでの増税で、労働者をはじめ国民大多数はいっそう厳しい生活を強いられることは避けがたい。低所得者ほど負担が重く逆進性の高い消費税は廃止されるべきだ。

辺野古埋め立てで国が県に対抗措置
 防衛省沖縄防衛局は十七日、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、辺野古埋め立て承認を撤回した県の措置を不服として石井国交相に審査を請求、撤回の効力停止を申し立てた。認められれば現在停止している工事の再開が可能になる。安倍政権は一五年十月に当時の翁長知事が辺野古の埋め立て承認を取り消した際も同じ対抗措置を取っていた。十二日に沖縄県の玉城知事が安倍首相と面会し基地問題の「対話による解決」を求めていたが、国の申し立ては知事の要請を一蹴(いっしゅう)したに等しい。玉城氏は「知事選で示された反対の民意を踏みにじるもの。非常に憤りを持つ」と強く非難したように、政府の暴挙は許されるものではない。

日豪2+2、軍事的な中国包囲進める
 日豪両政府は十日、シドニーで外務・防衛担当閣僚協議(2+2)を開いた。会合では「法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋地域の維持・強化」のため協力を強化していくことを確認、日豪米および日豪米印の連携を強化していくことで一致した。また自衛隊と豪軍が共同活動する際の法的な扱いを定める訪問部隊地位協定(VFA)を早期に妥結させる方針を確認、さらに来年中に両国で初となる戦闘機訓練を行い、空自と豪空軍が訓練や演習を実施する機会を拡充する方針でも一致した。米国の中国包囲戦略に沿った軍事的な日豪連携強化を、また一歩推し進めた格好だ。

水陸機動団が国内初の日米共同訓練
 陸上自衛隊は十三、十四日、鹿児島県の種子島で水陸機動団(長崎県佐世保市)と沖縄駐留の米海兵隊による離島奪還作戦の共同訓練を行った。同団は今春創設された「日本版海兵隊」で、海兵隊との水陸両用作戦の共同訓練は米ハワイで今夏に実施して以来で、国内では初めて。またこの訓練では県が管理する旧種子島空港も使用されたが、民間地を使用した日米共同の訓練が行われるのも全国で初めて。「尖閣諸島をめぐる緊張」を口実に、米軍の先兵としての自衛隊強化と野放図な軍事訓練の恒常化が推し進められている。

安倍政権、「TPP以上」否定せず
 日米物品貿易協定(TAG)交渉で米国が一部農林水産品で環太平洋経済連携協定(TPP)の水準を超える市場開放をもくろんでいる問題で、茂木TPP担当相は十四日、テレビ番組でTPPを超える譲歩の可能性について「否定できない」と答えた。十六日の会見でも「今の段階で決まっていない」と否定しなかった。これまで安倍首相は「農産物についてはTPP以上に譲歩しない」と再三発言しているが、本格的なTAG交渉の前に早くも白旗をチラつかせる発言に農業関係者らは「明らかな約束違反」「米国をさらに勢い付けるだけ」と反発を強めている。

豊洲新市場、問題未解決のまま開場
 豊洲新市場(東京都江東区)が十一日、開場した。有害物質による土壌と地下水汚染や地盤沈下などの問題が解決されず、食の安心・安全が不安視される中で築地市場(中央区)移設・開場が強行されたことに一部仲卸業者が異議を唱えて営業を続け、同日から解体工事を強行した東京都側がこれを妨害する一幕もあった。一六年に「築地を守る」などと訴えて都知事選に勝利した小池知事だが、結局は移転ありきで「安全宣言」を出した。仲卸業者や都民の願いを裏切った小池都政は許せない。


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