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労働新聞 2018年9月15日号 トピックス

世界のできごと

(8月30日〜9月9日)

中国、アフリカへの支援拡大表明
 中国とアフリカ諸国による「中国アフリカ協力フォーラム」が九月三、四日、北京で開かれた。習近平国家主席は開幕演説で、三年間で六百億ドル(約六兆六千億円)の経済協力を表明した。三年前の前回フォーラムと同額の支援表明で、中国にとっては、貿易戦争に突き進む米国をけん制するとともに、台湾の影響力をそぐ狙いもある。「一帯一路」でさらなる強国化をめざす中国にとって、新興市場であり資源も豊富なアフリカ諸国は「天然の同盟軍」(王毅外相)。アフリカ諸国には、急速な開発による債務の拡大を懸念する向きもあるが、中国の国際的影響力拡大を示していることは間違いない。

ロシア、イラン、トルコが対米けん制
 プーチン・ロシア大統領、ロウハニ・イラン大統領、エルドアン・トルコ大統領が七日、イランで会談した。発表された共同声明では、シリア内戦に関して、イスラム原理主義組織などを「徹底的に排除するために協力し続ける」とした。また、金融やエネルギー分野での協力でも合意した。イラン・ロシアの首脳会談では、イランの最高指導者・ハメネイ師が「米国を抑え込む」と意気盛ん。米国から制裁を受ける三カ国は連携を強化し、シリア内戦でも北西部での反体制派への攻撃中止を求める米国を強くけん制した格好。

スウェーデン選挙で極右躍進
 スウェーデンの総選挙(定数三百四十九議席)が九日、投開票された。ロベーン首相率いる社会民主労働党と緑の党などのブロックが四〇・九%を得て第一勢力を維持したが、社民党の得票率は約百年ぶりに三割を割った。第二党は穏健党などのブロックで、四〇・三%でほぼ拮抗。次いで、「移民排斥」を掲げる極右・民主党が一七・六%を得、前回比四・七ポイントも前進した。結果、民主党の支援なしに二大勢力のどちらも過半数を得られない「ハング・パーラメント(宙ぶらりんの議会)」となる。「福祉国家」と言われる同国にも「反移民」の勢いが伸長、欧州政治は混迷の度を増してる。


米、パレスチナ機関への拠出停止
 米国務省は八月三十一日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出を全面的に停止すると発表した。米国は同機関の最大の拠出国であるにもかかわらず、ユネスコからの脱退に続き、「米国第一主義」による不誠実な対応。中間選挙での「ユダヤ票」取り込みを狙った策動の一つだが、五百万人に達する難民のさらなる生活悪化とイスラム諸国の反発は必至。すでに、米大使館の「エルサレム移転」表明によって、パレスチナでは大規模な抗議デモが続いているが、抵抗はさらに強まり、米国の孤立を深めることになろう。

人民のたたかい

(8月30日〜9月9日)


  世界の九十カ国以上で八日、地球温暖化対策の強化を求めるデモが行われた。米国サンフランシスコのデモでは、トランプ政権による協定離脱を糾弾した。フランスでは、全国で十一万人以上が参加。タイのバンコクでは、海面上昇で生活が脅かされている漁師がデモを行った。
 ロシア各地で九日、年金改革案に抗議するデモが行われ、モスクワでは数千人が参加した。
 韓国のソウルで三日、サムスンの警備会社であるエスワン労組が、賃上げと成果年俸制の廃止などを求めてストライキに突入した。
 インドのニューデリーで五日、モディ政権に抗議する十万人のデモが行われた。労働組合は賃上げを、農民は穀物の最低所得補償額の大幅引き上げを求めた。
 タイのバンコクで四日、政府による路上からの屋台撤去政策に抗議し、数百人が首相府までデモ行進した。

日本のできごと

(8月30日〜9月9日)

沖縄県、辺野古工事の承認を撤回
 沖縄県の富川、謝花両副知事は八月三十一日、故翁長知事が表明していた、名護市辺野古への新基地建設に関する、仲井真元知事による埋め立て工事承認の撤回を表明した。安倍政権は撤回の「執行停止」を裁判所に求めるなど対抗措置を繰り出たが、連日座り込む住民を暴力的に排除して強行していた新基地建設は停止に追い込まれた。撤回は基地建設に反対する県民の総意を代弁したもので、建設自身の断念は当然だ。

北海道で大地震、原発固執で全道停電
 北海道で九月六日、南西部の胆振地方を震源とする震度七を観測した大地震が起こり、土砂崩れや家屋倒壊などで数十人の死者を含む多大な人的・物的被害に見舞われた。震源地に近い苫東厚真火力発電所(厚真町)の運転停止から全道が停電、救助や復旧の大きな妨げとなり、全道民の生活と経済に大打撃を与えた、これは日本政府と北海道電力が泊原子力発電所(泊村)の再稼働を前提にして電力供給の分散化を怠った結果で、災害対策を軽視した安倍政権の責任は重大だ。

巨大台風で関空孤立、歴代政権に責任
 台風二十一号が四日、近畿や北陸地方を縦断、記録的な暴風や高潮で近畿を中心に経済や生活に多大な打撃を与えた。大阪湾ではタンカーが関西国際空港連絡橋に衝突、滑走路にも浸水し、関空は閉鎖、約八千人もの乗客らが暗闇の中で孤立した。関空の地盤沈下や津波への脆弱性は建設中から指摘されており、本来運営者は「施設閉鎖」などの対策を取るべきだった。規制緩和を進めて運営権売却と合理化を後押しした歴代政権の責任も重大だ。

中国にらみ日アフリカ賢人会議
 安倍首相は八月三十一日、日本とアフリカ諸国の元首脳らでつくる「アフリカ賢人会議」の初会合を都内で開いた。来年八月に横浜市で予定するアフリカ開発会議(TICAD)に向け、域内で発言力を持つ大統領経験者の意見を聞いて支援策を検討した。会合は九月三日から中国・北京で開かれた中国アフリカ協力フォーラムをにらんだもので、「一帯一路」構想でアフリカでも存在感を高める中国をけん制する狙い。「地域の自主性を重んじた支援」などと中国を当てこすった安倍首相だが、中国の影響力拡大をとどめる当てはない。

概算要求が過去最高102・8兆円
 財務省は九月七日、二〇一九年度予算編成に向けて各府省が提出した概算要求の一般会計総額が、過去最高の約百二兆八億円になったと発表した。総額が百兆円を超えるのは五年連続で、来年十月に予定している消費税増税の対策を含む。イージスアショア(弾道ミサイル防衛システム)の導入費用などが計上されている防衛省が約五兆三千億円と過去最高を更新した。米国や大企業のための政治に血税をつぎ込む一方、ツケを消費税増税などで国民に回そうとしており、許し難い。

大企業内部留保、6年連続増加
 財務省は三日、一七年度の法人企業統計を発表した。大企業(金融・保険業を含む、資本金十億円以上)のいわゆる「内部留保」にあたる利益剰余金は約四百二十五兆五千億円で、前年度から約二十二兆四千億円増加した。六年連続の増加で、第二次安倍政権が発足した一二年度から約一・三倍。経常利益は約五十七兆六千億円と前年度から約四兆八千億円増加した。金融緩和や法人税減税などの安倍政権の優遇政策によって大企業は利益を拡大し続けていることがあらためて示された。国民の所得が消費税増税や物価・社会保障費上昇で実質減少する中、大企業はわが世の春をおう歌している。


国民民主が玉木代表選出、前途は多難
 国民民主党は四日、臨時党大会で玉木共同代表を新代表に選出した。任期は三年間。玉木氏は参議院選挙に向けて野党の共同選対を発足させ、国会では立憲民主党などとの統一会派をめざす考えをあらためて示した。同党は、先の通常国会で働き方改革関連法などで与党との対決を避け、付帯決議を組み込むことを優先した。日米基軸では旧民進党を引き継ぎ、労働者・労組が支持すべき政党ではない。だが、支持率は低迷、綱渡り状態は今後も続く。


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