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労働新聞 2018年7月5日号 トピックス

世界のできごと

(6月20日〜6月29日)

EU、カナダが対米報復、対立激化
 欧州連合(EU)は六月二十二日、米国が課した鉄鋼・アルミニウムの追加関税に対する報復関税を発表した。対象は、ウイスキー、オートバイなどに二十八億ユーロ(三千六百億円)相当。カナダも、鉄鋼・アルミ、食品など百六十六億カナダドル(約一兆四千億円)相当の報復措置を発表した。ユンケル欧州委員長は、米国を「全ての論理と歴史」に反していると厳しく批判した。トランプ政権は、中国だけでなく、全世界に「貿易戦争」を仕掛け、世界に混乱をもたらしている。

EU首脳会議、難民結論出ず
 EUは二十四日、移民・難民問題を協議する緊急首脳会議をベルギーのブリュッセルで開いた。メルケル・ドイツ首相は「前向きな意思が示された」と述べたが、ポーランドなど東欧四カ国が参加を拒否したほか、コンテ・イタリア首相が難民・移民受け入れを加盟国が分担するよう要求、応じなければEU補助金削減を検討すべきと提案するなど対立した。結果、北アフリカ諸国に収容センターをつくる案が討議されたものの溝は埋まらず、共同声明の発表も見送られた。ドイツは二国間協定などでの打開を模索しているが、閣内不一致も露呈、移民・難民問題は欧州政界を揺るがしている。

韓ロ首脳会談、米国をけん制
 文在寅・韓国大統領は二十一日、ロシア下院で演説した。文大統領は南北・米朝首脳会談を経た情勢を「朝鮮半島に歴史的な大転換が起きている」と評価、「南北経済協力が本格化し、ロシアとの三者協力も拡大する」「北東アジア経済共同体の堅固な土台になる」と力説し、シベリア鉄道が韓国・釜山までつながることに「期待」した。また、中国とロシアは、国連安全保障理事会に朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に対する制裁緩和決議を提出したが、米国の反対で可決されなかった。文・韓国政権は、ロシアとの関係強化で、南北融和と統一に向けた環境づくりを進めている。


OPEC減産緩和、実行は不透明
 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟十カ国は二十三日、昨年以来の協調減産(日量百八十万バレル)を緩和することを決めた。決定の背後には、トランプ米政権が各国にイランからの原油輸入停止を要求したことや、ベネズエラの経済混乱による供給減少による原油価格高騰を抑える狙いがある。米国の意を受けたサウジアラビアは百万バレルの増産を求めたが、イランをはじめ多くの産油国は価格低下を望まず、明確な数値目標は盛り込めなかった。産油国がどの程度生産量を増やすかは不透明で、増産量はこの半分程度にとどまるという観測もある。世界経済は、需給ひっ迫と価格上昇のリスクに直面する可能性がある。

人民のたたかい

(6月20日〜6月29日)


  アルゼンチン労働総同盟(CGT)が二十五日、二五%ものインフレに見合う賃上げと、国際通貨基金(IMF)からの融資に伴う緊縮財政への反対をう訴えてゼネラルストライキを行った。ストには百万人以上が参加、交通機関や港湾などがマヒした。
 パレスチナ自治区で二十九日、三月から続いている「大帰還の行進」が続けられた。イスラエル軍の弾圧による死者は計百三十人、負傷者は一万五千人以上に達している。
 米国のワシントンで二十八日、トランプ政権による不法移民拘束施設での「親子引き離し」などの劣悪な待遇に抗議し、数千人がデモを行った。
 ドイツで二十四日、石炭火力発電所からの脱却を求める環境団体のデモが行われた。数千人が参加したベルリンのほか、全国四十カ所で行動が行われた。

日本のできごと

(6月20日〜6月29日)

党利党略の国会大幅延長
 国会は六月二十日、衆議院本会議で会期を七月二十二日まで三十二日間延長することを自公与党などの賛成多数で議決した。通常国会の延長は三年ぶり。「残業代ゼロ」の高度プロフェッショナル制度(高プロ制)などを含む「働き方改革」関連法案や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案、参議院の議員定数を増やす参議院改革法案の成立をもくろむ。当初は森友・加計学園疑惑を追及されることを嫌い大幅延長に後ろ向きだったが、新潟県知事選での勝利や内閣支持率の下げ止まりで方向転換した。米国や多国籍大企業のための手先としての役割を果たして政権を延命させる思惑だ。

稀代の悪法「働き方改革」法成立
 高プロ制創設などを含む働き方改革一括法が二十九日、参議院本会議で自公与党と日本維新の会などの賛成で可決され成立した。安倍首相がいみじくも「七十年ぶりの大改革」と胸を張るように、際限なく労働者にタダ働きを強いる状況に道を開く悪法。労働弁護団や過労死遺族などが反対運動を強めた一方、連合中央が断固とした闘いを組織せず、悪法成立を黙認したとも言える。安倍政権や自公与党はもちろん重罪だが、連合中央の責任も重い。

亡国のTPP11関連法が成立
 米国を除く十一カ国が署名した環太平洋経済連携協定(TPP11)の関連法が二十九日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。協定は他国の批准次第で早ければ年明けにも発効する。TPPの関税撤廃、非関税障壁の緩和水準がそのまま受け継がれ、経済主権や食料主権を侵害する内容。また米国のトランプ米大統領がTPP枠外で日本への輸出増を要求することは明白で、まさに売国・亡国以外の何物でもない。

日米防衛相会談、米国依存顕著に
 小野寺防衛相と米国のマティス国防長官は二十九日、防衛省で日米防衛相会談を行った。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への対応について、「核・ミサイル」での連携することを確認、米韓共同軍事演習は中止される一方で日米共同訓練は着実に実施することなども確認した。日米安保条約五条の沖縄県・尖閣諸島への適用も再確認した。日米防衛相会談は五月のハワイに続き三カ月以内で五度目で、朝鮮半島をめぐる動きの中で外交的孤立感を強める安倍政権が米国の足元にすがる様が顕著だ。対米従属を強めた安倍政権が惨めな姿をさらしている。

プルトニウム保有に上限設定の意
 河野外相は二十一日、会見で「利用目的のないプルトニウムは持たないが原則、しっかりと対応したい」と強調、七月に自動延長される日米原子力協定に関し、プルトニウム保有量に上限を設ける意向を示した。米国が日本のプルトニウム保有量に懸念を表明していることを受けたもの。現在の保有量は原爆六千発分に相当する約四十七トンで、使用済み核燃料の全量再処理や、プルトニウムを原発の燃料として使用する核燃料サイクルの見直しは必至。「平和利用」を盾にしながら核兵器保有もにらんだ日本の原子力政策だが、米国からさえ注文が付いた。

技能実習生めぐる法令違反、過去最多
 厚生労働省は二十日、二〇一七年に実施した外国人技能実習生が働く事業所に対する調査結果を公表した。約七割で違法残業や賃金未払いなどの法令違反を確認した。前年より五・五%増え、四年連続で過去最多を更新した。同制度は「技能移転」による「国際貢献」を名目としながら、実態は労働者使い捨ての深刻な人権侵害がまかり通っている。安倍政権は実習期間の延長、受け入れ人数枠拡大などを推進しているが、根本的見直しが必要だ。


新宿区がデモ規制、国や都の意反映
 東京都新宿区は二十日、区立公園の使用基準を変更、デモの出発地に使える公園を現在の四カ所から一カ所に減らすことを二十日に、区議会に報告した。「町会などから要望があった」との理由で、区は関係部署で協議、議会も経ずに部長決裁で基準変更を決めた。区議会への報告ではヘイトデモなども持ち出しているが、国や都政批判のデモを抑え込む策動を続けてきた安倍政権や小池都政の意を受けていることは間違いなく、言論弾圧の一手だ。


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