ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

労働新聞 2018年6月25日号 トピックス

世界のできごと

(6月10日〜6月19日)

初の米朝会談、「新たな関係」謳う
 トランプ米大統領と朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の金正恩委員長は六月十二日、シンガポールで初の首脳会談を行った。共同声明では、(1)新たな米朝関係の構築に向けて取り組む、(2)朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制の構築、(3)朝鮮は「板門店宣言」を再確認し、朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組む、(4)朝鮮戦争による戦争捕虜・行方不明者の遺骨返還への協力ーーの四点で合意した。周辺国は歓迎を表明したが、米国は一九九四年の朝鮮との「核合意」について約束した制裁解除を行わず反故(ほご)にした「前科」もある。米朝関係は、今後も予断を許さない。

3度めの中朝会談、共に米と対峙へ
 朝鮮の金委員長は十九日、今年三回目となる訪中を行い、習近平国家主席と会談した。習主席は、先の米朝首脳会談について「政治解決のプロセスの重要な一歩」と評価、「中国は建設的役割を果たす」と表明した。金委員長も「朝鮮半島非核化で新しい重大な局面が開かれる」と応え、中朝関係のいっそうの強化を確認した。中朝がともに米国に対峙(たいじ)していくことを改めて鮮明にさせた。

米、またも対中制裁へ
 トランプ米政権は十五日、中国に対して「知的財産侵害」を口実に制裁措置として五百億ドル分(約五兆五千億円)の中国製品に二五%の追加関税を課すと発表した。まず、産業ロボットや電子部品などハイテク製品を中心に三百四十億ドル分の制裁を課す。トランプ大統領は、中国が進める「中国二〇二五」計画を批判した。中国は直ちに農産物やエネルギーを中心に報復措置を発表した。さらに、トランプ政権は十八日、二千億ドル(約二十二兆円)の中国製品に対する追加制裁の検討を表明、なりふり構わぬ米国の「貿易戦争」は止まる気配がない。


世界の難民が過去最高へ
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は十九日、難民や避難民に関する年次報告を発表した。世界で迫害や紛争、人権侵害などで避難を強いられた人びとの数は二〇一七年で六千八百五十万人と過去最高となった。この三分の二は「国内避難民」で、国外に逃れた「難民」は二千五百四十万人でその八五%が途上国。UNHCRは「新しい包括的な対応が求められている」としているが、ドイツでは難民政策をめぐりメルケル政権内の対立が激化、移民への強硬政策を打ち出す米トランプ政権は一方的に国連人権理事会からの脱退を表明するなど、難民問題は、国際政治を揺るがす問題に発展している。

人民のたたかい

(6月10日〜6月19日)


  エルサルバドルのサンサルバドルで十六日、国会で多数を占める右派野党が提出した水資源民営化法案に反対するデモが行われた。市民・学生団体は大企業による水資源の利益追求を厳しく批判、「水を盗むな」と訴えた。
 フランスの東部リヨンで十二日、マクロン政権による国鉄解体法案の強行に抗議するストライキが行われた。労働総同盟(CGT)の組合員は駅構内で抗議の声を上げた。
 中国約二十都市で十二日、配車アプリによって受注競争が激化して運賃が低下していることに抗議するトラック運転手のストライキが一週間目に入った。ストには、タクシー配車アプリで働く労働者も合流、全国的動きに発展している。
 英国全土で十日、女性参政権の施行から百周年を祝い、女性たちがデモ行進を行った。英国の女性参政権運動は、実力行使を伴う激しい闘いの歴史を持っている。
 ベトナムのホーチミン市で十日、外資優遇の経済特区に反対し、受託製造企業の労働者千人がストライキに入った。

日本のできごと

(6月10日〜6月19日)

首相、日朝首脳会談を画策
 安倍首相は六月十八日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)との首脳会談で拉致問題の解決を図ると力説した。首相は「相互不信という殻を破って一歩踏み出したい」などと述べたが、自らがあおってきた敵視と排外主義の転換は示さなかった。米朝首脳会談の開催などアジア情勢が激変するなか、安倍政権による朝鮮敵視政策は完全に「はしごを外され」た。だが、朝鮮は「世界の嘲笑の種にしかならない」(朝鮮中央通信)と、安倍政権の足元を見ている。安倍政権による朝鮮敵視政策は破綻し、孤立した。

カジノ法案を強行可決
 衆議院本会議で十九日、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案が自公と維新などの賛成多数で可決された。カジノ参入を狙う内外大企業、とくにトランプ政権の要求に応えるもの。カジノは当面、全国に最大三カ所まで設置できるとしている。与党は入場回数制限や入場料の徴収を力説しているが、深刻な依存症対策はなおざり。参議院での廃案が求められる。

自民、党利党略の参院改革法案
 自民党は十四日、参議院の定数を六増やす公職選挙法改正案を提出した。埼玉を二、比例代表を四、それぞれ増やす。比例代表の一部に、拘束名簿式の特定枠も導入する。現状の「徳島・高知」「鳥取・島根」の合区を維持しつつ、余った候補者を特定枠で救済する狙い。合区は地方の民意を反映しにくくするものではあるが、今回の措置は徹頭徹尾の党利党略だ。

新潟県知事選、花角候補が辛勝
 新潟県知事選挙が十日投開票され、与党の支持を受けた花角候補が、五野党推薦の池田候補を約三万七千票差でかわして当選した。有権者が重視した政策は、原発への対応(二八%)、景気・雇用(二五%)、地域活性化(一八%)の順だったが、花角候補は「景気・雇用」を選んだ人の七〇%、「地域の活性化」の六三%の支持を得た。「原発への対応」の七五%が池田候補に投票した一方、原発再稼働に反対する人の三七%は花角候補に投じていた。与党の「争点隠し」だけでなく、米山前知事の女性問題で野党への信頼が低下した上、景気対策などで対抗軸を打ち出せない弱さが影響した。

骨太方針を閣議決定
 政府は十五日、経済財政運営の基本方針(骨太の方針)を閣議決定した。基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の二〇二五年度への先送り、消費税再増税の影響を抑える対策、高齢者の医療費負担増などの社会保障制度改革、外国人労働者の受け入れ拡大などが明記された。国民にさらに犠牲を強いるものだが、これでさえ、財政再建を焦る財界は「政府の覚悟が感じられず遺憾」(経済同友会)と危機感を募らせている。

日銀、世界で孤立する緩和政策
 日銀は金融政策決定会合を十四、十五日に開いた。十年物国債金利をゼロ%程度にするなどの金融緩和策を維持することを決めた。米連邦準備理事会(FRB)に続き欧州中央銀行(ECB)も年内の量的緩和終了を決めるなか、日銀だけが緩和政策にしがみつく異常事態。緩和政策をやめれば長期金利が急上昇し、国家破綻にもつながりかねない。金融政策での孤立は、わが国の抱える危機の深さを示している。


「プルトニウム削減」要求に右往左往
 菅官房長官は十二日、日本のプルトニウム保有は国際原子力機関(IAEA)から「認められている」と述べた。米国が、日本にプルトニウムの保有量削減を求めたことに対する反応。日本では原発再稼働が進まず、プルトニウムが蓄積している。安倍政権は、保有量の上限制(キャップ制)で要求をかわす予定。米国は核独占の維持と併せ、アジア情勢が激変するなか、日本独自の核武装を警戒している。


大阪北部で大地震、マヒ広がる
 大阪府北部で十八日、震度六弱の大きな地震が発生し、四百人以上が死傷した。電気、交通機関などの社会インフラがマヒし、住民生活は甚大な影響を受けた。パナソニックの工場三カ所が終日止まったほか、シャープの堺工場、ダイキンなども一時操業を止めた。安倍政権、松井・大阪府政は迅速な復旧に努めなければならない。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2018