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労働新聞 2018年4月15日号 トピックス

世界のできごと

(3月30日〜4月9日)

米またもシリア攻撃へ準備
 トランプ米大統領は四月九日、内戦が続くシリアで同国のアサド政権が一般市民に化学兵器を用いたと決め付け、昨年四月に引き続く軍事攻撃を行うことを強く示唆(しさ)した。トランプ大統領はアサド政権を支援するロシアにも矛先を向けて非難した。国連安全保障理事会でも同日、米英両国がアサド政権を批判したが、シリアは否定、化学兵器禁止機関(OPCW)の調査受け入れも表明した。米国は英仏などとともに、一方的な軍事攻撃の強行へ突き進んでいる。

中国、米の「貿易戦争」へ対抗
 中国商務省は四日、米国による中国製品への高関税を課す制裁への報復措置を発表した。内容は米国産の大豆、牛肉、自動車、飛行機など計百六品目に二五%の関税をかけるもの。関税対象額は五百億ドル(約五兆三千億円)。今回の対象は農産物が目立ち、とくに大豆は米国の輸出量のうち六割が中国向けを占めるため、米農家への影響は大きい。トランプ米政権のなりふり構わぬ通商政策は、全世界を貿易戦争に引きずり込んだ。

南北首脳会談成功へ融和強まる
 朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)と韓国は五日、板門店で二十七日に開かれる金正恩朝鮮労働党委員長と文在寅大統領との首脳会談に向け、実務協議を開始した。これに先立つ一日、韓国の芸術団が平壌で公演を行い、金委員長をはじめ、妹の与正・党第一副部長、金永南・最高人民会議委員長らが観覧、秋には朝鮮の芸術団によるソウル公演を提案した。米韓演習が始まるなど米国などの干渉が続くなか、あくまで首脳会談の成功に向けた南北融和の流れが南北の努力で強まっている。


朝鮮半島全体の非核化へ関係国動く
 中国の王毅外相は五日、ロシアを訪問し、プーチン大統領やラブロフ外相と相次いで会談した。会談では両国関係のさらなる発展に向けた努力を確認するとともに、朝鮮半島情勢についても話し合われた。両国は、朝鮮半島全体の非核化とともに「(朝鮮の)安全保障上の懸念を解決することは合理的な要求」(王外相)との認識で一致した。三月三十日には中国の楊潔チ・共産党政治局員と文在寅・韓国大統領がソウルで会談、文大統領は中朝首脳会談について「積極的に評価する」と明言した。米朝首脳会談が決まったものの、あくまで朝鮮に一方的武装解除を求める米国に対し、平和的に朝鮮半島の非核化に向けた関係国の動きが続いている。

人民のたたかい

(3月30日〜4月9日)


  パレスチナ自治区ガザ地区のイスラエルとの境界付近で四月六日、難民の帰還を要求する行動が行われ、数万人が参加した。パレスチナ人らはイスラエル軍と対峙(たいじ)、タイヤを燃やし、投石して抗議した。三月三十日には難民帰還を求めるデモにイスラエル兵が発砲、多数の死者を出していた。
 米国各地で四日、黒人の公民権運動の指導者キング牧師の暗殺から五十年を迎えたことに併せ、人種差別の根絶を求める行動が行われた。同氏が暗殺されたテネシー州メンフィスでは約一万人がデモに参加、ワシントンのデモでは参加者が「人種差別は罪だ」とのプラカードが掲げられ、トランプ政権下で強まる白人至上主義への警戒が強く訴えられた。
 フランスで二日、国鉄の特殊法人化に反対する大規模ストライキが二日間の予定で闘われた。国鉄ストへの連0帯としてごみ収集や電気・ガスなどのエネルギー分野の労組もストを行った。マクロン政権は国鉄など公共部門の市場開放・民営化を掲げている。三月三十一日には小売大手カルフールの労働者が人員削減のリストラ策に反対するストを決行、約三百の店舗が営業停止となった。

日本のできごと

(3月30日〜4月9日)

イラク日報を1年以上隠す
 小野寺防衛相は四月二日、昨年来「存在しない」としてきた陸上自衛隊のイラク派遣日報の存在を公表した。しかも、昨年三月に文書の存在を把握しながら、一年以上公表していなかった。防衛相は「陳謝」したが、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の「日報隠し」に続く事態で、戦闘地域への海外派兵を継続・拡大させるための意図的で組織的な情報隠ぺいであることは明白。政策遂行に不都合な情報を隠す、安倍政権の腐敗体質を如実に示すものでもある。

黒田総裁再任も「出口」見通せず
 安倍政権は九日、黒田・日銀総裁を再任した。任期は二〇二三年四月まで。黒田総裁は一三年に就任、「異次元緩和」によって大企業と投資家に空前の利益をもたらす一方、国民大多数の貧困化を進めた。五年以上、総裁を務めるのは約六十年ぶり。黒田総裁は「物価目標二%程度」の目標がはっきりするまで緩和を続けると表明したが、達成は見込めず、諸国が金融緩和の「出口」を進めるなか、展望は見えない。国債の大量買入で緩和政策が限界に達するなか、政策継続以外に道のない「袋小路」を自認したものだ。

カジノ入場規制、弥縫策
 自民党、公明党のカジノを含む統合型リゾート(IR)に関するワーキングチーム(WT)は三日、カジノは国内三カ所を上限とし、入場料は六千円、週三回・月十回などの入場回数制限を課すこと、マイナンバーの利用などで合意した。政府はこれをベースに、今月中にIR実施法案を国会に提出予定。入場料を政府原案の二千円から引き上げ、安倍首相は「世界最高水準のカジノ規制」などと言うが、内外レジャー産業に奉仕し、「依存症」などの弊害を野放しにするもの。法案に積極的な日本維新の会を憲法改悪に協力させるための材料でもある。

横田にオスプレイ、首都圏で配備強化
 横田基地(東京都福生市など)に五日、米垂直離着陸機オスプレイが飛来した。今夏に予定されていた配備を前倒ししたもので、米空軍所属では、沖縄県以外では初めて。米軍は配備を三月中旬に通報していたが、防衛省が公表したのは飛来のわずか二日前。事実上、佐賀空港周辺などで高まる配備反対の声が広がることを恐れた情報隠し。陸上自衛隊が導入する同機も千葉県木更津に配備される予定で、中国を見据え、米軍と自衛隊の共同態勢づくりが全国で進んでいる。

イラク国際会議、米国の「尻拭い」
 イラク「復興」を支援する国際会議が五日、東京で開かれ、米欧、中東諸国、世界銀行など約三十カ国・地域が参加した。安倍首相とアバディ・イラク首相は、「復興」のための枠組みづくりを協議する作業部会の設置で一致した。依然として不透明なイラク情勢を「安定」させるため、武器回収などを行う計画で、三百五十億円の円借款も供与する。反米闘争の高まりと自国の危機で撤退に追い込まれた米国の「尻拭い」で、米国の中東戦略を支えると同時に、世界有数の石油埋蔵量を抱える同国への参入を狙うものだ。

新党、対抗軸なく国民の支持なし
 民進党は一日、全国幹事会を開き、立憲民主党、希望の党などに新党設立を呼びかける方針で了承を得た。大塚代表は「中道的な『新しい民主党』を結党したい」と述べたが、立憲は協議に応じず、希望は分裂が確実で、無所属の会でも参加を明言しない議員が多い。支持団体・連合の意向を受けたとされるものだが、安倍政権への対抗軸もなく、来年の統一地方選と参議院選挙を意識した「数合わせ」にすぎない。安倍政権の支持率が低下するなか、国民が「新党」に期待を抱いていないことは、一向に上昇しない野党の支持率にも明白だ。


九電玄海原発、早くも事故
 九州電力玄海原子力発電所三号機(佐賀県)で三月三十日、穴が開いた配管からの蒸気漏れが見つかった。放射性物質の漏れは「ない」というが、七年三カ月ぶりの再稼働からわずか一週間、検査中での事故発覚で、四月末の営業運転開始のズレ込みは必至。九電は原子炉の稼働を続けており、地元住民の不安と怒りは当然。原発再稼働は直ちにやめるべきである。


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