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労働新聞 2018年3月25日号 トピックス

世界のできごと

(3月10日〜3月19日)

トランプ大統領、突如国務長官解任
 トランプ米大統領は三月十三日、突如ティラーソン国務長官の解任を発表した。「米国第一」を掲げ、「パリ協定」からの離脱やイラン核合意の破棄を求めるなど、欧州などの同盟国とさえ摩擦を強めるトランプ大統領と、従来の「国際協調」を重視するティラーソン氏との間での確執が取りざたされていた。すでに同政権ではコーン国家経済会議(NEC)委員長など主要幹部が相次いで辞任、幹部人事の空白も目立つなど政権基盤に不透明感が広がり、その後、マクマスター安保補佐官も辞任、ケリー首席補佐官の更迭もささやかれている。後任の国務長官に指名されたポンペオ中央情報局(CIA)長官はイラン核合意を批判、移民排斥を支持しており、米国の主張を各国に押し付けるトランプ政権の姿勢に拍車がかかる可能性がある。

ロ大統領選、プーチン圧勝
 ロシア大統領選が十八日、行われ、プーチン大統領が七割を超す得票率で再選を決めた。政権の目標であった「投票率七〇%、得票率七〇%」を達成した格好。一方、反対派は選挙の不正を指摘、抗議運動が盛り上がる可能性もある。この間、プーチン政権は一四年三月にウクライナのクリミア半島の併合や米トランプ政権の核体制の見直し(NPR)への対抗策、また英国ロンドンでの元スパイ暗殺未遂事件をめぐる英の対ロ制裁への報復を発表、国民の求心力を高めてきた。

南北首脳会談へ期待高まる
 韓国大統領府報道官は十五日、四月末に板門店で開催される文在寅大統領と朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の金正恩・朝鮮労働党委員長との首脳会談に向けた準備委員会を設置したと発表した。また韓国と朝鮮が開いた実務協議では韓国の芸術団約百六十人が三十一日から平壌を訪問することで合意するなど、首脳会談を控え、南北間で友好的な接触が続けられている。また、文大統領の支持率も六〇%以上に上り、首脳会談についても同様の数字が出ているなど南北対話に対する支持の根強さが改めて示されている。


独メルケル政権4期目スタート
 ドイツ連邦議会(下院)で十四日、首相指名選が行われ、メルケル首相の四選が決まった。これで、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社民党(SPD)による三期目の大連立政権が発足した。昨年九月の議会選以来の政権発足だが、首相指名選ではCDU・CSUとSPD両党から大量の造反が出るなど、メルケル政権の求心力は急減した。極右の「ドイツのための選択肢」(AfD)の台頭を生み出した国民に広がる貧富の拡大、移民問題への有効な打開策も打ち出せていない。欧州連合(EU)の中心国であるドイツにおける政治の流動化は、欧州全体の政治リスクを高めるものだ。

人民のたたかい

(3月10日〜3月19日)


  スペイン全土で三月十七日、ラホイ政権の年金抑制策に抗議するデモ行進が行われた。年金生活者など参加者は年金増額を政府に迫った。
 インド西部のムンバイで十二日、約三万人の農家が政府が昨年約束した債務免除の履行や農産物価格の引き上げなどを求めデモを行った。デモには子供や女性、高齢者も参加。参加者は「私たちの土地のために闘っている」と訴えた。
 イタリア中部のフェレンツェで十日、セネガル出身の移民の射殺に抗議し、人種差別や移民排斥に反対するデモが行われ、約一万人が参加した。フェレンツェのナルデッラ市長も「人種差別に対しては団結して反対しなければならない」と訴えた。
 スロベニアで十四日、教育労働者が賃上げを要求して今年二回目となるストライキを行った。約四万人がストに参加、全国各地でデモなど抗議行動が展開された。

日本のできごと

(3月10日〜3月19日)

森友「改ざん」発覚、不敗極まる
 学校法人・森友学園(大阪市)の国有地取引に関し、財務省は三月十二日、改ざんされた文書を国会に提出していたことを認めた。同法人への異例の値引きが表面化した後、理財局が十四の文書、具体的には、首相夫人や右翼団体「日本会議」との関係や「本件の特殊性に鑑み」などの文言を削除していた。首相が、自身や夫人が関わっていれば「議員辞職する」と答弁したことが影響したことは明白。安倍政権は「理財局の一部職員」に責任を転嫁しているが、南スーダン派遣自衛隊の日報隠し、働き方改革関連法案でのデータ改ざんなど、安倍政権の腐敗は極まっている。即時退陣以外にない。

文科省が講演に不当な介入
 前川前文科省事務次官が名古屋市内の中学校で講演したことについて、文科省が十六日までに、市教育委員会に経緯報告と録音データの提供を求めたことが明らかになった。市教委はデータの提供は拒否したという。これに先立ち、自民党文科部会の衆議院議員二人が質問状の内容に介入していた。前川氏が加計学園の獣医学部新設への内閣府の強要を証言したことが理由と思われるが、河村・名古屋市長でさえ、「ちょっとやり過ぎ」というほど。教育への不当な介入で、安倍政権の下での教育の反動化を象徴するものだ。

政権支持率急落、安倍政権窮地に
 マスコミ各社による世論調査の結果が、十九日までに揃った。森友学園問題での文書改ざん発覚などを受け、政権支持率は「朝日新聞」の三一%(一三ポイント減)を最低に、各社とも九〜一四ポイントも急落、「危険水域」とされる三〇%割れに迫った。不支持率は「日本テレビ」で五三%(一五・七ポイント増)と半数を超えた。他方、野党第一党の立憲民主党の支持率は、最大の「毎日」でも一三%(増減なし)と、ほぼ横ばい。野党が政権批判の受け皿になれていないことが、またも示される結果となっている。

安倍政権、スリランカの取り込み狙う
 安倍首相と来日したシリセナ・スリランカ大統領が十四日、会談した。両者は「インド太平洋戦略」推進、海洋安全保障分野の連携強化で一致した。首相は、スリランカのインフラ整備や保健・医療支援に約百六億円の円借款を供与することを表明した。スリランカはインド洋と太平洋をつなぐシーレーンの要衝で、中国も「一帯一路」で重視している。大統領は自国港の中国への貸与に反対する閣僚を解任するなど、「全方位外交」を志向している。スリランカの取り込みを策する安倍政権の思惑が成功する保証はない。

民泊届け出開始、不安は当然
 一般住宅での有料宿泊(民泊)を解禁する住宅宿泊事業法(民泊法)に基づく届け出が十五日、始まった。政府の「未来投資戦略」の目玉の一つで、東京五輪に向けた訪日外国人の受け入れ拡大を狙い、企業参入が相次いでいる。ただ、大阪での殺人事件などを理由に、「ヤミ民泊」が多いとされる東京では七割以上、全国では四割以上の自治体が地域などを制限する条例を制定、または予定している。観光庁は「制限は不適切」としているが、旅館業者の不満や住民の不安は当然で、野放図な規制緩和は行うべきでない。

辺野古埋め立てで不当判決
 那覇地裁は十三日、名護市辺野古の新基地建設をめぐり、県知事の許可がないままの岩礁破砕を違法とした、沖縄県の訴えを退ける不当判決を下した。工事の一時禁止を求めた仮処分申し立ても却下した。判決は「自治体が条例や規則に従うよう求める訴訟は起こせない」などと、事実上の門前払い。政府による違法行為を追認し、沖縄における米軍基地の存在を一顧だにしないもので、県民の反撃は必至だ。


大手一斉回答、3%はわずか
 一八春闘における大手企業の一斉回答が十四日、行われた。自動車などは五年連続でベースアップ(ベア)を実施し、昨年を上回る回答もあったが、安倍政権が求めた「三%」を超えたのはわずか二割程度。また、トヨタ自動車がベアの具体額を非公表とするなど、相原・連合事務局長(トヨタ労連出身)ら連合中央の指導力欠如も顕著。大企業でさえこの状況で、労働者の大多数が働く中小企業での賃上げを実現するには闘いが不可欠だ。


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