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労働新聞 2017年11月15日号 トピックス

世界のできごと

(10月30日〜11月9日)

米中会談、中国のしたたかさ際立つ
 アジア五カ国を歴訪中のトランプ米大統領は十一月九日、習近平・中国国家主席と会談した。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の「核・ミサイル」問題では、大統領は朝鮮への圧力をさらに強化するよう求めた。習主席は貿易中断などの独自制裁に慎重な立場を崩さなかった。通商問題では、大統領は貿易不均衡の是正を迫ったが、中国は、米企業と二千五百三十五億ドル(約二十九兆円)の巨額契約を結ぶことで、要求をかわした。経済・安保両面で焦りに駆られた米国に対し、中国のしたたかな外交姿勢が際立った。

米韓首脳会談、通商要求かわす
 トランプ米大統領と文在寅・韓国大統領が十一月七日、会談を行った。トランプ大統領は、韓国国会での演説で「力による平和」などと朝鮮をどう喝、「監獄国家」などと侮蔑(ぶべつ)した。韓国は、米日が同意した「インド太平洋戦略」への参加を拒否、日本との違いは鮮明。通商問題では米韓自由貿易協定(FTA)の再交渉推進で合意したものの、韓国は米国からの武器購入を表明して要求をかわした。安倍政権との「協調」を踏み台に、韓国を取り込むことを狙ったトランプ大統領の思惑は成功しなかった。

英国中銀が10年ぶりに利上げ
 英中央銀行のイングランド銀行は二日、金融政策委員会を開き、政策金利を〇・二五%引き上げ〇・五%とすることを決めた。利上げは二〇〇七年七月以来。米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)に続き緩和縮小にかじを切ったものだが、欧州連合(EU)離脱に伴う通貨安、物価高を抑える狙い。委員会が「将来の利上げは緩やかかつ限定的」としているように、前途は容易ではない。


サウジ「反腐敗」理由に権力闘争激化
 サウジアラビア政府の反汚職委員会は六日、「汚職」を理由に、王族や現職閣僚など数十人を逮捕した。一部の王族は、逃亡を図って死亡した。ムハンマド皇太子による権力強化策と思われる。権力闘争によって、皇太子による「脱石油」改革が進むとの観測がある一方、原油価格低迷や緊縮財政で不況にあるサウジ経済をいちだんと混乱させる恐れもある。サウジはイスラエルと並び、米国による中東支配の一方の極で、動向は国際的影響を与える。

「パラダイス文書」、トランプに打撃
 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICJ)は五日、英領バミューダから漏れた約千三百四十万件の文書を公表した。エリザベス英女王やカナダ自由党、ティラーソン米国務長官のほか、丸紅やIHIなどの多国籍大企業がタックス・ヘイヴン(租税回避地)を活用して税金を免れていることや、ロス米商務長官と関係の深い海運会社がプーチン・ロシア大統領の親族企業と取引していることが暴露された。「パナマ文書」に続き、多国籍企業や政治家に対する非難が高まるのは必至。とりわけトランプ米政権は、「ロシアゲート」問題で元選対本部長が起訴された直後であり、大きな打撃だ。

人民のたたかい

(10月30日〜11月9日)


  韓国ソウルで三日と七日、「ノー・トランプ共同行動」が、訪問したトランプ米大統領を糾弾し、「米朝平和協定締結」などを求める集会を行い、数千人が参加した。
 スペイン・カタルーニャ自治州の各所で八日、独立派の州政府幹部が拘束されたことに抗議し、労働組合がストライキを行った。
 ロシア・モスクワで七日、ロシア十月革命から百周年を記念し、数千人がデモ行進を行った。
 ルーマニア各地で五日、検察人事への政府介入に反対する行動が行われ、ブカレストでは三万人がデモした。
 イランのテヘランなどで四日、イラン革命時の米国大使館占拠から三十八周年を記念し、数万人が「米国に死を」と叫んでデモした。

日本のできごと

(10月30日〜11月9日)

日米首脳会談、最大限に米国に追従
 安倍首相は十一月六日、訪日した米国のトランプ大統領と会談した。「核・ミサイル」開発を続ける朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に対し圧力を強化する方針を確、また軍事・経済両面で台頭する中国を念頭に「インド太平洋戦略」の推進で合意した。首相は「日米友好」を強く演出、また大統領の「米国製の武器を大量に買え」との要求に喜々として従い、輸入自動車の規制緩和を表明するなど、初のアジア訪問で成果を打ち出したい大統領に対し、最大限に「手土産」を持たせた。

第4次安倍政権発足も前途多難
 総選挙を受けた第百九十五特別国会が一日に召集された、衆参両院本会議で安倍自民党総裁が第九十八代首相に指名された。八月に改造したすべての閣僚と大半の自民党役員が留任し、第四次安倍政権が発足した。同日の会見で首相は二〇一七年度補正予算案を年末に向けて編成し、総選挙で掲げた子育て支援策の前倒しを行うとともに、「生産性革命」と「人づくり革命」に関連した政策パッケージを十二月上旬に取りまとめ、可能なものから速やかに実行すると表明した。経済再生に向けて速やかな実行力を演出したい安倍首相だが、厳しい財政状況の中で総選挙で掲げられた政策の実現は困難で、消費税増税問題も含めて内政だけみても政権の前途はきわめて多難だ。

朝鮮への追加制裁、日米で圧殺強化
 安倍政権は七日、「核・ミサイル」を口実とする朝鮮への独自の制裁として新たに三十五団体・個人を資産凍結の対象とする措置を閣議決定した。追加されたのは朝鮮にある金融機関九団体と、その団体から中国など朝鮮国外に派遣されて金融取引をする二十六個人。これらの団体・個人は米国も九月に資産凍結の拡大対象として指定しており、「制裁強化」での日米連携をアピールする狙いもある。朝鮮の「挑発」を連呼する安倍政権だが、圧殺攻撃を強めているのは日米の側であることがあらためて示された。

河野外相、韓国に筋違いな抗議
 河野外相は八日、韓国政府が米国のトランプ大統領を歓迎する晩さん会に、元従軍慰安婦の女性を招待したことなどについて、「未来志向の日韓関係をしっかり築いていこうと話をしている中で、連携に影響を及ぼしかねない」などと遺憾の意を韓国外相に口頭で伝えたことを明らかにした。しかし、韓国の文大統領は、朴前政権下で慰安婦問題の「解決」を確認した二〇一五年の日韓政府間合意は「国民の大多数が受け入れられない」と述べるなど、韓国国民の大多数は日本が歴史認識を正し誠意ある謝罪と補償を行ったとは認めていない。河野外相の抗議は筋違いだ。

オスプレイの事故率が過去最高に
 防衛省は八日、米海兵隊垂直離着陸機オスプレイの事故率が過去最高水準となっていることを明らかにした。重大な「クラスA」の事故率(十万飛行時間当たりの事故数)が、九月末時点で、五年前の米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)への配備前に日本政府が公表した事故率の約一・七倍の三・二七に上昇、防衛省が把握している範囲でこれまでで最も高くなった。小野防衛相は「かなり米側も訓練の頻度を上げているのではないか」と、東アジア情勢の悪化が原因とし、「自衛隊への導入は計画通り進めたい」と、事実を省みない態度。米国が朝鮮圧殺政策を強めるなか、今後さらに沖縄をはじめ全国でオスプレイの配備や訓練による事故の危険性が高まることが予想される。

安全軽視の豊洲への移転時期決定
 東京都は六日、築地市場の業界団体代表との協議会を開き、築地市場の豊洲新市場への移転を来年十月中旬とすることで合意した。都の小池知事は六月に豊洲移転方針を表明、追加対策工事と農林水産相の市場開設認可手続きが完了した段階で知事が「安全宣言」を行う算段だ。しかし八月の調査では地下水から環境基準の百二十倍のベンゼンが検出され、また土壌汚染対策の追加対策工事では入札不調が続いている。新市場予定地の土壌、地下水の有害物質汚染を除去できず、高濃度に汚染された状態が続く中での移転時期の決定強行に仲卸業者からの批判が相次いでいる。


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