ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

労働新聞 2017年11月5日号 トピックス

世界のできごと

(10月20日〜10月29日)

中国党大会閉幕、「強国」前面に
 中国共産党第十九回大会が十月二十四日、閉幕した。新たな党規約には、今世紀中頃までに「社会主義現代化強国」建設を達成するための理論的支柱として「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義」との文言が入った。習主席が進めてきた「反腐敗闘争」や「中華民族の偉大な復興」などの内容も盛り込まれた。また、中国が「新時代」に入ったとの認識を示し、二〇四九年の建国百周年に向けた長期ビジョンも打ち出すなど、「強国」建設への強い意思を示した。こうした中国と、「米国第一」を掲げるトランプ政権とのあつれきは激化することは必至だ。

マティス訪韓、空母3隻体制で圧力
 米国のマティス国防長官は二十七日、韓国を訪問し、文在寅大統領とソウルで会談した。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の「核・ミサイル」問題に対する圧力を強めることで一致した。国防長官は南北軍事境界線上にある板門店を視察、韓国への米軍戦略兵器の配備拡充を検討することを明言した。二十六日には米国防総省が第七艦隊所属の空母三隻を西太平洋とインド洋に展開させていると発表、十一月のトランプ大統領のアジア歴訪を前に朝鮮に対する圧力をいっそうエスカレートさせると同時に、海洋進出を強める中国へのけん制も強めている。

カタルーニャ、独立問題劇化
 スペインのラホイ首相は二十一日、十月の住民投票で同国からの「独立」が多数を占めたカタルーニャ自治州に対して、自治権の一部をはく奪した。これに、プチデモン州首相は強く反発、二十七日には州議会が独立に向けた動きを始めることを賛成多数で可決した。スペイン政府も州指導部の解任、州議会の解散を発表、対立は決定的となった。欧州各国は独立「不支持」を言明したが、住民投票に対するスペイン政府の高圧的な姿勢への批判は強く、「欧米は独立運動について二重基準」(プーチン露大統領)との声も上がっている。


チェコ選挙で新興政党第一党
 チェコ下院選が二十、二十一日の両日行われ、バビシュ前財務相率いる中道右派の新興政党「ANO二〇一一」が第一党となった。現政権でANOと連立を組むソボトカ首相の社民党は惨敗した。富豪でもあるバビシュ氏は「チェコのトランプ」と呼ばれ、多発する汚職事件に不満を強めていた国民の支持を受けた。また反イスラム・反欧州連合(EU)を掲げる極右政党も議席を初めて得るなど、欧州各国と同様の傾向を示した。欧州は、英国のEU離脱交渉の難航、カタルーニャ独立問題、そして反EU勢力の伸張などで政治リスクが高まっている。

人民のたたかい

(10月20日〜10月29日)


  ドイツのザクレン州ドレスデンで二十八日、反イスラムを掲げる極右団体の集会に抗議する行動が行われ、約三千人が参加した。
 韓国のソウルで二十八日、昨年十月の朴政権退陣を求め集会を初めて開催してから一周年を記念して「キャンドル一年 非正規職ない世の中つくる全国労働者大会」が行われた。参加者は非正規労働者の処遇改善を文政権に強く求めた。夕刻にはキャンドル一周年大会も開かれ、セウォル号沈没の真相究明、高高度ミサイル防衛(THAAD)配備反対などの闘いを継続していくことを強調した。
 セルビアの首都ベオグラードで二十六日、年金生活者数百人が「カットされた年金を返せ」とデモ行進した。同国政府は国際通貨基金(IMF)から巨額の資金提供を受けることの引き換えに緊縮政策を行っている。
 コロンビアの首都ボゴタで二十三日、携帯アプリによる自動車配車事業に反対するタクシー労働者が無期限ストライキを行った。同国では携帯アプリによる配車事業への法規制はなく、ウーバーなどは課税を免れている。

日本のできごと

(10月20日〜10月29日)

与党、野党の「敵失」で勝利得る
 第四十八回総選挙が十月二十二日、投開票された。自民党二百八十一議席(公示前比三減)、公明党二十九議席(五減)で、与党は衆議院の三分の二を維持した。野党は、立憲民主党五十四議席(三十九増)、希望の党五十議席(七減)、日本維新の会十一議席(三減)、共産党十二議席(九減)、社民党二議席で現状維持など。安倍政権の内外政治が行き詰まるなか、野党は政策を対置できず、政党再編のドタバタ劇で有権者をあきれさせた。投票率が五三・六八%と、戦後二番目の低さとなったのも当然。与党は、朝鮮問題を最大限に活用、小選挙区制にも助けられた。内外の危機は深く、安倍政権の前途は難題だらけだ。

首相、「3%賃上げ」要請
 安倍首相は二十六日、総選挙後初の経済財政諮問会議で「三%賃上げ」を「期待する」と表明した。賃上げなしには、アベノミクスの破綻をおおい隠せないことを意識した発言。首相は、法人税減税の拡充などで財界の不満に配慮する意思も示した。だが、実際に賃上げを予定する企業はごくわずか。一方、連合は中央委員会で「ベア二%程度」の要求を決めた。定昇を除く本来の賃上げ分では首相の「期待」より低い。またも「官製春闘」を繰り返すのか、存在意義が問われている。

特別国会、与党が審議時間短縮策動
 政府・与党は二十七日、十一月一日召集の特別国会で、安倍首相による所信表明演説と各党による代表質問を行う方向を決めた。与党は外交日程を口実に来年の通常国会まで実質審議を行わない構えだったが、野党の批判で取り下げた。また、一部の自民党議員は同日、現在、「与党二・野党八」の割合である審議時間について、与党の割合を増やすよう、森山国対委員長に申し入れた。だが、現行の割合を求めたのは、旧民主党政権時代の野党・自民党。反民主的・ご都合主義で、安倍首相が表明する「謙虚」は口先だけだ。

財政審、医療・介護で国民負担増
 財務省は二十五日、財政制度等審議会(財制審)で、二〇一八年度予算案での診療報酬と介護報酬のマイナス改定を求めた。診療報酬は、薬剤師報酬見直しや入院への診療報酬を厳しくして二%以上削減する方向。介護報酬は、「自立」に向けた訓練の程度で報酬を引き下げることを検討する。低所得者を中心に、国民はますます医療や介護から排除される。国民はもちろん、医師会などの反発も不可避だ。

フィリピンに武器を無償供与
 小野寺防衛相とロレンザーナ・フィリピン国防相の会談が二十三日、フィリピンのクラーク経済特区で行われた。海上自衛隊がフィリピンに貸与中のTC90練習機二機と、さらに三機の計五機の無償譲渡が決まった。通常国会での自衛隊法改悪にともなう初の措置。フィリピンの南シナ海での警備能力を強化させ、中国に対抗させる狙い。米国の先兵役としてだけでなく、武器輸出拡大を望む財界の要求に応えるものでもある。

日本提出「核廃絶」決議に批判相次ぐ
 国連総会第一委員会(軍縮)は二十七日、日本が提出した「核兵器廃絶決議」を賛成多数で採択した。同種の決議採択は二十四年連続だが、賛成は前年から二十三カ国も減り、棄権が十カ国も増えた。決議案は、核廃絶には「さまざまなアプローチがある」などと米国への配慮が鮮明。被爆団体の批判だけでなく、オーストリアやブラジルなど、国連総会が七月に採択した核兵器禁止条約の推進国は「失望した」として棄権した。核廃絶に背を向ける日本政府への怒りは当然だ。


検査院、日米の武器取引に異議
 会計検査院は二十六日、防衛装備庁が米国との有償軍事援助(FMS)で調達した武器取引について、改善を求めた。検査院によると、一四、一五年度に米国から調達したイージス艦など六十四件の契約(六百七十一億円)について、納品書と清算書の品目名、数量などのすべてまたは一部が合致していなかった。米最新鋭戦闘機F では、使用される契約であった日本製部品が使用されていないことも分かった。安倍政権下の軍備増強で防衛装備品の対米依存が拡大しているが、実態はずさんであることが暴露された。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2017