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労働新聞 2017年10月25日号 トピックス

世界のできごと

(10月10日〜10月19日)

中国共産党大会始まる
 中国共産党の第十九回大会が十月十八日開幕し、習近平総書記(国家主席)が活動報告を行った。習総書記は、過去五年間に経済建設などで「歴史的な成果を上げた」と評価した。さらに、建国百年となる二十一世紀半ばまでに経済、軍事、文化などで「社会主義現代化強国」となる長期構想を掲げ、その前段階として、二〇三五年までに格差縮小などで「美しい中国」を実現するとした。「海洋強国」を力説し、途上国などに米国流「民主」とは異なる「新しい選択肢」を示すとも述べるなど、米国との対抗を意識した発言が目立った。構想を掲げて政権の求心力を高める狙いもある。

「首都」陥落も根本的解決にならず
 クルド人主体の「シリア民主軍」が十七日、「イスラム国」(IS)が首都にしていたシリア北部のラッカを制圧、米国など「有志連合」は「ISの事実上の崩壊」を宣言した。ISによる二〇一四年の「国家樹立宣言」と米国などの軍事介入以来、局面の大きな転換を迎えた。だが、指導者は依然潜伏中とされ、戦闘員は各地に散っている。また、「対IS」で米国などが支援したクルド人勢力に対しては、イラクでは政府軍が拠点制圧と制裁に踏み切った。中東情勢は安定に遠く、むしろ複雑さを増している。

イラン「核合意」めぐり強硬姿勢
 トランプ米大統領は十三日、米欧など六カ国とイランが一五年に結んだ「核合意」について、イランによる順守を「認めない」と決めつけ、制裁再開の判断を議会に委ねると発表した。「テロ支援」を口実に、革命防衛隊への追加制裁も発表した。トランプ政権の発表は、合意の破棄を念頭に置きつつも抜本的な政策転換を避けたもので、国内やイスラエルなどへの「点数稼ぎ」の狙いがある。だが、イランのロウハニ大統領が反発したほか、モゲリーニ欧州連合(EU)外交安全保障上級代表(外相)も批判、米国はここでも孤立を深めている。


米韓合同軍事演習で挑発強化
 米韓合同演習が十六日、朝鮮半島沖で始まった。米海軍は原子力空母「ロナルド・レーガン」や原子力潜水艦「ミシガン」など四十隻、戦略爆撃機B1B、ステルス戦闘機F35など、戦略兵器を従来以上に投入、日本の自衛隊も加わり、またも朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への軍事的圧迫を強化している。朝鮮は「宣戦布告なき戦争」と強く反発したが、当然である。米国と日韓は軍事挑発を直ちに止めるべきである。

人民のたたかい

(10月10日〜10月19日)


  韓国ソウルで十一日、公務員労組と全教組が集会を開き、文在寅政権に労組の「違法状態」を撤回するよう要求した。文大統領は選挙中、全教組の公認と公務員解職者の原職復帰などを約束したが、いまだ実現されていない。
 韓国ソウルで十九日、「三大積弊撤廃共同行動」が発足した。障害者や貧困層にとっての弊害とされる、障害者等級制、扶養義務制、障害者収容施設の完全廃止を求めている。
 米国のコロンビア大学で十日、学内で英国人極右活動家を招いた講演会が開かれたことに抗議し、学生数百人がデモを行った。フロリダ大学でも十九日、極右団体「オルト・ライト」創設者の演説会への抗議行動が行われた。
 イランのテヘランの大学で十四日、イランと欧米による「核合意」を否定したトランプ米大統領に抗議し、学生や教授らが米国旗を燃やして抗議した。
 地中海マルタの首都バレッタで十九日、首相の汚職疑惑を追及してきたジャーナリストが爆殺された事件に抗議し、報道関係者数百人がデモ行進を行い、首相の辞任を求めた。

日本のできごと

(10月10日〜10月19日)

またも沖縄で米軍ヘリ墜落
 沖縄県東村高江の集落に近い民間牧草地に十月十一日、米海兵隊CH ヘリコプターが墜落・炎上した。集落周辺には六カ所のヘリ着陸帯が建設され、米海兵隊垂直離着陸機オスプレイなどヘリの飛行が激増している。また同型機は二〇〇四年八月にも沖縄国際大学(宜野湾市)内に墜落・炎上している。翁長知事は事故原因の究明まで飛行を中止することを求めたが、米海兵隊は十八日に「点検で問題がなかった」などとして同型機の飛行再開を強行した。米軍基地の集中する沖縄で起こるべくして起こった事故で、これ以上県民を対米従属政治の犠牲にすることは許されない。

日米経済対話、FTA交渉迫られる
 麻生副総理とペンス副大統領による日米経済対話が十六日に米ワシントンで行われた。対話は四月以来二度目。米国側は対日貿易赤字を削減したい意向を強調、日米自由貿易協定(FTA)交渉の開始を求めたが、日本側は環太平洋経済連携協定(TPP)を推進したい立場を強調、平行線をたどった。一方、米国産自動車の輸入手続きの一部簡素化や液化天然ガス(LNG)の輸出拡大での連携などでは合意した。トランプ政権とFTA交渉に入ればTPP以上の譲歩が求められることは必然で、十一月の日米首脳会談でFTA交渉入りを「土産」にするとの憶測もある。米国抜きのTPP交渉もニュージーランドの政権交代で不透明になるなど政府の思惑は各所で行き詰まっており、いっそうの国益売り渡しに国民は目を光らせる必要がある。

相次ぐ空自事故、背景に負担増も
 航空自衛隊所属機の事故が相次いでいる。十七日には浜松基地(静岡県)所属の救難ヘリが海上に墜落、翌十八日には百里基地(茨城県)で所属するF4戦闘機の主脚が折れて炎上した。相次ぐ事故の背景には、領空侵犯のおそれがある中国機やロシア機に対する自衛隊機のスクランブル(緊急発進)や朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の弾道ミサイル対処のための地上発射型迎撃ミサイル(PAC3)配備などで臨戦態勢を強いられ、現場が疲弊しているとの指摘もある。安倍政権が米国の先兵となって緊張を高めているが、弊害は自衛隊の現場にも及んでいる。

日米原子力協定延長を米高官が明言
 米エネルギー省のブルイエット副長官は十八日、来年七月に期限を迎える日米原子力協定について「再交渉の理由はない」と、協定を延長する意向を示した。米政府高官が公式に明言したのは初めて。同協定は、中国をにらみ原子力分野での日米協力強化を進め、覇権を維持するために役立てられてきたが、特にトランプ政権は日本の核・原子力政策を後押ししいっそうの役割拡大を求めているという。わが国はこの分野でも米国協力をさらに強めることに警戒が必要だ。

福島地裁が国と東電に賠償命令
 東京電力福島第一原発事故当時、福島県と隣接県の住民約三千八百人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟で、福島地裁は十日、国と東電の法的責任を認めて賠償を命じる判決を言い渡した。原発事故への国・東電の責任を問う訴訟は全国で約三十にのぼるが、今回判決が出た原告団は最大規模で、また国の責任を認めたのは三月の前橋地裁判決に次いで二例目。判決では、政府の地震調査研究推進本部が〇二年に公表した地震活動評価に基づきシミュレーションをしていれば大津波は「予見可能」と判断、さらに東電に対し非常用電源設備の安全確保を命じていたなら「事故は回避可能」と指摘、事故の責任を認めない国の主張を退けた。原発事故への国の責任は明白で、ただちに賠償するのは当然だ。

神鋼改ざん、製造業の現場劣化も
 次々と明らかになる神戸製鋼所による部材のデータ改ざん問題で、同社の川崎会長兼社長は十三日、問題対象製品が主力の鉄鋼にも含まれ、出荷先が国内外の延べ約五百社に及んでいることを公表した。影響は自動車、新幹線のほか防衛装備品、原子力発電所の安全性にも波及する深刻な事態となっている。不正の背景には、経営陣が国際的市場競争への対応を現場に強いたことがある。日産自動車による無資格の従業員による完成車検査の常態化が発覚するなど、「企業業績の回復」の裏では生産現場の劣化も進んでいる。


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