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労働新聞 2017年9月25日号 トピックス

世界のできごと

(9月10日〜9月19日)

国連が朝鮮へ石油規制決議
 国連安全保障理事会は九月十一日、六回目の核実験を理由に朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に対する制裁決議の採択を強行した。焦点とされていた石油輸出規制については米国が当初めざしていた全面禁輸は盛り込まれなかったものの、関連製品含めて上限を設け、三割削減を目標とした。また朝鮮の繊維製品の輸出も禁止、朝鮮の輸出の九割が制裁対象となる。米国などは今後、朝鮮が新たな核実験などを行えば、段階的に制裁をエスカレートさせる構えで、朝鮮との最大貿易国の中国やロシアへの圧力ともなる。

米大統領、朝鮮を「完全に壊滅」
 トランプ米大統領は十九日、就任後初めて国連総会で一般討論演説を行った。そのなかでは朝鮮やイランを「ならず者国家」と口汚く非難した。とくに朝鮮に対しては武装解除しない限り「完全に壊滅させるしかなくなる」とまで発言、軍事的圧力を強めた。また二〇一五年に米欧露などと結んだイランとの核合意についても「米国の恥」と言い放ち、合意の破棄を示唆した。こうした発言に対し、朝鮮は「犬がほえる声」(李外相)と一蹴した。またドイツのメルケル首相はトランプ大統領の発言に対して「賛同できない」と言い、「いかなる軍事行動も完全に不適切であると考えており、ドイツは外交的な解決を主張する」と述べた。

露、冷戦後最大級の軍事演習
 ロシアは十四日、同国北西部とベラルーシ一帯でベラルーシとの大規模な軍事演習を行った。十万人規模という冷戦後最大級の軍事演習。ウクライナ問題で北大西洋条約機構(NATO)はバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)とポーランドに軍を駐留させ、東欧での軍事演習を繰り返しており、ロシアによる今回の演習はこうしたNATOの動きを強くけん制したものだ。


ロヒンギャ難民受け入れへ
 ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は十九日、同国で演説した。同国のイスラム系少数民族 ロヒンギャへの迫害について正当性を主張するとともに、バングラデシュに避難した難民の受け入れを表明した。ミャンマー政府の弾圧に批判が集まるのは当然だが、かつての英帝国主義による植民地支配と移住政策こそ問題の根源と責任がある。


人民のたたかい

(9月10日〜9月19日)


  フランス全土で十二日、マクロン政権が進める労働法改悪に反対するデモやストライキが行われ約四十万人が参加した。この行動は仏労働総同盟(CGT)などの労組が呼びかけたもので、マクロン政権発足後、初めての大規模な抗議行動となった。マクロン首相が労働法改悪に反対する人びとに対して「怠け者で過激派」と攻撃したことに抗議、パリでは六万人がデモ行進した。
 ニューヨークで十八日、翌日にトランプ大統領による国連総会の一般討論演説を控え、トランプ氏への抗議デモが行われ、数百人が中心部を行進した。参加者からは「外交ではなく、戦争を誘発するような反応をしている」と朝鮮に対するトランプ政権の姿勢を批判する声が上がった。
 ミズーリ州セントルイスで十七日、元白人警官が黒人の容疑者を射殺した事件の「無罪判決」への抗議行動が行われた。約五百人の市民が警察署前に集まり、デモ行進した。米国ではトランプ政権下、白人警察官などによる黒人射殺事件が相次いでいる。

日本のできごと

(9月10日〜9月19日)

安倍首相が解散・総選挙を決断
 安倍首相は九月十八日、自民党の二階幹事長や公明党の山口代表と会談、二十八日召集の臨時国会冒頭で衆院を解散する意向を伝えたと各紙が報道した。内閣支持率調査で低下が底を打ったと判断、朝鮮半島情勢の緊迫化や野党共闘での候補者一本化が進んでいない状況を横目に、公約に「アベノミクス再加速」を掲げて引き続き国民をごまかせると踏んだ模様だ。しかし「森友・加計学園疑惑隠しの大義なき解散」との批判も根強く、苦しい生活を強いられる国民各層からの反撃は避けがたい。

再び「脅威」あおり戦時体制構築狙う
 安倍首相は十五日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)が日本上空を通過し北太平洋上に落下する中距離弾道ミサイルを発射したことを受け、「平和的解決踏みにじる暴挙」と激しく批判、国連安保理が十一日に採択した石油輸出の上限設定などの追加制裁決議の完全履行を声高に叫んだ。しかし制裁で緊張を高めているのは米国を中心とした国連安保理の側で、首相の言い分は身勝手きわまりない。また総務省消防庁は十二道県で全国瞬時警報システム(Jアラート)を発動、交通機関で遅れや一時停止が多発した。最高高度八百キロの宇宙空間を飛んだミサイルを「脅威」と騒ぎ戦時体制づくりに使う暴挙こそ平和への最大の障害物だ。

海自がミサイル監視中の米艦に給油
 海上自衛隊の補給艦が、朝鮮の弾道ミサイルを警戒監視する米イージス艦に燃料を複数回補給していたことが十四日に判明した。安保関連法の一環として改定され今年四月に発効した日米物品役務相互提供協定(ACSA)に基づく新任務で、従来は日米共同訓練や緊急事態時の邦人輸送などを行う艦艇のみが対象だったが、物品提供可能な米軍の対象が拡大、ミサイル防衛などの任務中の米艦も加わった。同法に基づく米軍支援は五月に日本海に向かう米補給艦を対象に実施された米艦防護に次いで二例目とみられるが、どちらも正式な公表はない。こうした米艦への給油は紛れもない軍事行動で、政府は国民に内容を明かさず実戦に近い日米共同軍事行動を積み重ねている。

日印首脳会談、中国対抗前面に
 安倍首相は十四日、インドを訪問し同国のモディ印首相と会談した。両首脳は共同声明で朝鮮に対する国連安保理の制裁決議を厳格かつ全面的に履行するよう国際社会に求め、暗に中国に圧力をかけた。また中国の海洋進出を踏まえ「航行の自由」の重要性を確認、今年開始した米日印三カ国の共同軍事訓練を拡大する方針で合意した。経済では、日本の新幹線方式を導入したインド初の高速鉄道建設と関連する人材育成、東部の大量交通輸送システム建設など計五件・約千九百億円の円借款で合意した。中国との国境問題を抱える北東部開発などのために両国の当局者が協議する「日印アクト・イースト・フォーラム」の設立でも合意した。安保と経済両面で米国の意も受けた中国対抗色の濃い会談となった。

オスプレイ報告書、「人的ミス」強弁
 昨年十二月に沖縄県名護市の海岸に墜落した米軍普天間基地所属の垂直離着陸機オスプレイについて、日米両政府は十一日、事故調査報告書を公表した。原因を「困難な気象条件下で空中給油訓練を行った操縦士のミス」とし、機体自体に問題はないと結論づけた。一方で二〇一五年にも米国内で同様の接触事故があったと言及、また乗員らの任務遂行能力や専門技術に対する懸念はなく有効な資格を有していたとも記した。報告からはオスプレイが構造的に危険な機体だという結論しか導けず、「機体の安全性」が強調されれても沖縄県民の不安が解消されるはずもない。県民を危険にさらし続ける日米両政府の不条理は犯罪的だ。

柏崎原発の再稼働へ東電の適格性容認
 国の原子力規制委員会は十三日、会合で福島第一原発事故を起こした東京電力に柏崎刈羽六、七号機(新潟県)を運転する資格があるとの判断で一致した。規制委は七月に「東電には覚悟と具体的な取り組みが見えない」と批判していたが、八月末に東電が出した「決意表明」を順守すべき保安規定に盛り込むことなどを条件に「東電の適格性が担保された」と評価を一転させた。同原発の再稼働ありきで安全性軽視の判断との批判は免れず、国の責任はきわめて重大だ。


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