労働新聞 2002年9月25日号 トピックス

日本のできごと

(9月10日〜9月19日)

小泉首相が訪朝、国交交渉再開で合意
 小泉首相は9月17日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を日帰りで訪問し、金正日総書記と会談した。両国はピョンヤン宣言に署名し、国交正常化交渉を10月中に再開することを確認した。(社説参照

日米首脳会談、不良債権処理を公約
 日米首脳会談が12日、ニューヨークで行われた。ブッシュ大統領は早期のイラク攻撃の可能性に言及。小泉首相はこれに反対せず、米国のイラク攻撃を容認した。イラク攻撃を容認するのはいまや日英だけで、対米追随は国際世論に敵対する道でもある。また、目前に迫った小泉首相の北朝鮮訪問について、ブッシュ大統領は歓迎と支持を表明したうえで、ミサイル問題など安全保障問題を提起するようタガをはめ、日米韓の連携を強調した。また、ブッシュは日本の経済問題に強い関心を示した。小泉首相は不良債権処理の加速を公約したが、この間、度重なる血税投入にもかかわらず、不良債権は膨らみ続けており、さらに難題を抱え込むことになったといえる。

日銀が銀行保有株4兆円を買い取り
 金融システム危機を恐れた日銀は18日、大手銀行などが大量に保有している上場企業の株式を、市場を介さず直接買い取る方針を決めた。10月から1、2年間で実施し、15行を対象に4兆円規模の買い取りを検討している。これは、事実上の公的資金投入による銀行救済である。主要国中、中央銀行が民間の株式を買い取るのは初めてで、きわめて異例のこと。ゼロ金利の下で、日銀が取りうる金融政策は限られており、深刻な経済を打開しようという窮余の一策といえるが、効果は一時的との見方が強い。それどころか、株価がいっそう下落すれば日銀は損失を抱え込むことになり、国民の負担がさらに拡大することになる。なぜここまで大銀行を優遇しなければならないのか。国民の不満は募るばかりだ。

国民の社会保障負担2兆円増へ
 小泉改革の下で「痛み」が押しつけられ、血も涙もない社会保障削減が進んでいるが、03年度の家計や企業の社会保障負担増が年間2兆5000億円にのぼるという推計が明らかになった。保険料の引き上げを計画しているのは、政府管掌保険や1部の健康保険組合などの医療保険、雇用保険、65歳以上の介護保険。また、国民年金と厚生年金の給付額も、物価連動制によって給付減となる。国民の負担増という意味では、事実上の増税である。国民の生活苦はいっそう加速され、政府への怒りが噴出するのは必至である。

国家公務員の退職金一律7%削減
 政府は18日、国家公務員一般職の退職手当を一律7%削減する方針を固めた。政府は次期通常国会に関連法案を提出し、03年度から実施する方針。公務員は「官民格差の是正」を口実に賃金も切り下げられており、闘わなければ生活を守れないところに追い込まれてきている。

日本経団連と連合が初会合
 奥田・日本経団連会長と笹森・連合会長は12日、初めて労使のトップ会談を行い、年金分野などで労使が協調して政策提言を出すことなどで合意した。だが、連合傘下の組合では、リストラ容認、隔年春闘、マイナス・ベアなどが横行し、労働組合としての存在意義が問われ、企業倒産などによる組合員の減少も続いている。連合指導部は、グローバリズムを標榜する奥田会長との協議に何を期待しているのか。経営者たちがもっとも恐れているのは、労働者が自分の力に目覚め、闘い始めることであることを忘れてはならない。

中国残留孤児 人が国に賠償請求
 関東に住む中国残留孤児600人が12日、日本政府が帰国や自立支援の義務を果たさなかったとして、国に損害賠償を求める訴えを年内に起こすことを発表した。残留孤児たちは国の「棄民政策」を批判し、「帰国後も生活苦から自殺や離婚するケースもあり、訴訟しか方法が残されていない」と訴えている。戦後57年が経過したものの、侵略戦争が残した傷は今も痛んでいる。国は棄民政策を謝罪し、孤児たちの生活保障の責任を誠実に果たすべきだ。


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