20020825

日本のできごと

2002.07.30〜2002.08.19


小泉首相、9月訪中予定を中止
 小泉首相は8月9日、日中国交回復30周年に当たって予定していた9月の訪中延期を決めた。首相は「それぞれの国内事情」と説明しているが、この間、小泉首相の靖国神社参拝、「不審船」事件、瀋陽領事館事件で小泉政権が対米追随の中国敵視を徹底させてきたために、日中間の溝が深まり、今回の事態となった。小泉政権のアジア軽視の外交はアジアでの孤立を招き、わが国の国益を損なわせており、反撃が必要だ。

危険な方向に踏み込んだ防衛白書
 政府は2日の閣議で、02年版「日本の防衛」(防衛白書)を了承した。白書は、米国の報復戦争を持ちあげた上で、「関係国が協調して軍事力を行使した」と評価、わが国も「テロなど新たな軍事的脅威への備えが必要」と強調し、自衛隊の任務に新たな位置づけを加えた。米国の戦略、要請に従って、自衛隊の海外派兵に積極的に応じる内容だ。専守防衛から周辺事態への対処と拡大されてきた防衛が、小泉政権のもとでより危険な方向に引きずられようとしている。

国民、地方犠牲の概算要求基準
 政府は7日、03年度の概算要求基準を閣議決定した。社会保障費の伸びを抑え、年金、児童手当などの給付の引き下げ、公共投資の3%削減、農業補助金など地方への国庫補助金の5%削減などが盛り込まれている。小泉首相は地方交付税の削減にも言及し、総じて国民と地方犠牲の概算要求基準である。

道路民営化推進委員会に地方が反発
 道路公団民営化推進委員会の、高速道路や一般有料道路の恒久有料化、進ちょく率が50%未満の高速道路建設の凍結を行う方針に地方から反発が起きている。9日の与党3党議員と全国知事会など地方6団体との会議で、宮崎県知事など地方から民営化推進委員会への批判が続出した。第2東名の建設凍結論には、静岡県清水市長が「実力行使も辞さない」と反発した。

愛媛教委「つくる会」教科書採択
 愛媛県教育委員会は15日、来春開校する県立中高一貫教育校3校で使う歴史教科書に、歴史わい曲の「つくる会」主導の教科書を採択した。同教科書の採択に反対する市民団体は、県庁前でハンストの座り込みを行うなど抗議を強めている。 (関連記事5面)

広島、長崎市長が日米政府を批判
 広島で6日、長崎で9日に「原爆の日」を迎えた。式典で、広島市長は「米国は世界の運命を決定する権利があるわけではない」とブッシュ米大統領を批判、日本政府にも「核兵器の絶対否定と戦争の放棄」を求めた。同様に長崎市長も米国の包括的核実験禁止条約(CTBT)からの脱退などを「独断的な行動」と非難し、小泉首相へは非核三原則の法制化を要求した。ブッシュの戦争政策と、それに従う小泉政権に自治体の首長から批判が出たのは極めて異例のことだ。

「離職者」、01年は過去最多
 厚労省が8日発表した01年の雇用動向調査で、昨年、職を失った者が701万人と過去最多であることが明らかとなった。前年より40万人の増。離職といっても倒産や解雇による失業が増えたためで、調査でも全体の12%と過去最高を記録した。パート労働者が職を失う割合が高いのと、19歳以下では2人に1人が離職に追い込まれたことも特徴。同省が発表した6月の勤労統計調査でも、製造業での常用労働者総数は前年同月比4.9%と、過去最大の減少率を示した。構造不況の中で勤労国民の置かれている現状はますます厳しく、政治の責任は重大だ。

人事院、公務員給与初のマイナス勧告
 人事院は8日、02年度の国家公務員給与を月額で7770円(2.03%)引き下げる、ボーナスも年間0.05カ月分引き下げるという勧告を国会と内閣に提出した。月給のマイナス勧告は、人事院勧告制度が始まった48年以来初めて。これによって公務員の年間給与は平均で15万円減少する。勧告は民間労働者の賃金下落を理由としているが、官民問わず労働者に賃下げを押しつける政治こそ問題であり、政府の攻撃と闘う労働運動が切に求められている。