20020805

日本のできごと

2002.07.20〜2002.07.29


小泉、大企業優先の減税策す
 小泉首相は7月26日、経済財政諮問会議で、2003年度に法人税を中心とする1兆円以上の減税を実施するよう、検討を指示した。財源は、将来の増税を前提とした「つなぎ国債」なども活用する。これまで「国債30兆円以内」など緊縮財政にこだわってきた小泉だが、今回の減税指示は、米経済の後退などを受けて一定の政策「修正」を迫られたと見る向きもある。しかし、減税は大企業の国際競争力を強めるためのものであり、そのツケはあげて国民に転嫁される。

改憲方針明言、馬脚現した民主党
 民主党憲法調査会は29日、新しい憲法をつくる「創憲」を基本的立場とする報告書をまとめた。事実上憲法改悪を方針化したものであり、国連による集団的安全保障への積極参加などを盛り込んだ。安全保障政策で自由党との協議を進める民主党だが、財界の狙う保守2大政党制に向け、一歩踏み込んだともいえる。これまで以上に民主党の反動性があらわになっている。

5カ国農相会議、米国がコメ開放要求
 奈良市で行われていた、日米欧とオーストラリア、カナダによる五カ国農相会議が27日、閉幕した。世界貿易機関(WTO)農業交渉などが議題となったが、米国は各国の農産物輸入最高税率の25%への引き下げ、国内補助金の減額などを求めた。加えて、日本に対してはコメなどの関税引き下げ、欧州にも輸出補助金の削減を求めている。だが、米国は国内補助金の6兆円増額を決めたばかりであり、身勝手な態度は各国の反発をかった。

米軍事故の中、基地移設計画決定
 政府は29日、米軍普天間代替基地の名護市への移転計画について、基本計画案を沖縄県などに示した。工法については、サンゴ礁(リーフ)上を埋め立てる方式が決定された。稲嶺県知事が主張した「15年使用期限」は米国が受け入れる見込みもなく、事実上、米軍基地の固定化につながる。基地新設については、環境保護をめぐり国際的批判も高まっており、騒音などへの不安も強い。わが国を引き続き日米同盟にしばりつける日米両政府に対し、県民の怒りが高まっている。(関連記事1面

「国民保護」口実に権利を制限
 政府は28日、有事法制の一環である「国民保護法案」の骨子を固めた。それによると、政府や自治体が国民に土地や家屋の提供、物資保管・提供、医療・輸送業務への従事を命令できる権限を与え、私権制限や攻撃・テロへの通報義務も課している。「保護」とはうらはらに、まさに戦争動員法案である。武力攻撃事態法案などの有事法制3法案は、すでに継続審議が決まったが、政府は「2年以内」としてきた「保護法案」を前倒しし、来年通常国会での成立を策している。米国の世界戦略に巻き込まれる有事法制は、まさに亡国の道である。

規制改革、医療などへの株式参入促す
 総合規制改革会議(議長・宮内オリックス会長)は23日、医療・福祉、教育、農業などへの株式会社参入を認める「中間とりまとめ」を明らかにした。内容は、農業の大規模化、医療での「経営効率化」、学校教育で学生を「顧客」とするなど、国民生活の基盤に営利主義を持ち込み、市場主義を全面化させるもの。国民生活に重大な影響を与えることは確実だ。

与党、医療費3割負担の改悪強行
 4月から会社員の医療費窓口負担を、現行の2割から3割に引き上げる「改正」健康保険法などが26日、国会で可決・成立した。これにより、会社員家族は年4000円、高齢者で8000千円、国民全体で1兆5000億円以上の負担増となる。成立を受け、医師会・歯科医師会・薬剤師会は連名で批判声明を発表した。一方、野党は国会を欠席するのみで、国民犠牲の改悪を阻止できなかった。

住基ネットに広がる地方の不満
 福島県矢祭町は22日、8月5日に稼働予定の住民基本台帳ネットワークに参加しない方針を明らかにした。同町は「住民情報が漏えいする懸念がある」としている。矢祭町以外にも、東京都国分寺市や杉並区、横浜市などが、同ネットへの不参加・1部不参加を決めている。