20020725

日本のできごと

2002.07.10〜2002.07.19


郵政民営化、自治体首長から反発続出
 衆院で7月17日、郵政関連法案審議に関して、各市町村長に対する参考人質疑を行ったが、多くの市町村長から郵政民営化への危ぐが訴えられた。宮城県白石市・川井市長は「郵便局は地域コミュニティーの中核。民営化となれば、採算の合わない地域サービスが切り捨てられる」と述べ、福井県名田庄村・下中村長は「金融機関の破たんが相次ぐ中、郵貯や簡保に対する国民の安心感は強い」と民営化に強い反対の姿勢を示した。鳥取県智頭町・寺谷町長は「金銭ばかりを考えた『改革』をいうだけでいいのか」と「小泉改革」自体に疑問を投げかけた。小泉政権は郵政公社化を「改革」の目玉にしようとしているが、地方切り捨てに改めて強い反発が示された。

厚労副大臣辞任など、弱体化する小泉
 帝京大医学部入試をめぐり、後援者の要請で口利きを認めていた宮路厚生労働副大臣(自民党)は15日、辞任した。小泉政権が「重要法案」と位置づけていた健康保険法改悪をめぐり所轄の副大臣が辞任に追い込まれた格好。また今年8月に運用が予定されている「住民基本台帳ネットワークシステム」をめぐっては、稼働延期を求める声が自民党内からも噴出、衆院小選挙区の「5増5減」案の本会議採決でも、1部自民党議員が「造反」、与党内の足並みが乱れている。小泉政権は道路公団と郵政の民営化など「改革」をアピールすることで政権浮揚を図ろうとしているが、その基盤は日増しに弱体化する様相を呈している。

教育反動化狙う、基本法「見直し」
 中央教育審議会(鳥居会長)の基本問題部会は16日、教育基本法見直しの骨子を明らかにした。それによると、「教育の目的」に、(1)「国際性」と「日本人としてのアイデンティティー」、(2)「『公』の意識、自立心、規範意識」などを入れるとしている。また、基本計画では「道徳教育や伝統文化に関する教育、奉仕活動の推進」などを掲げている。教育基本法をめぐっては、以前から自民党などから「憲法改正への突破口」として改正を求める声があった。支配層は「教育改革」の一環として自由化や規制緩和を進め、競争が激化している国際社会で勝ち残れる人材を育成する一方、「道徳」などを強調することにより、国家主義的なイデオロギー教育を進めようとしている。真の国益を損ねる、危険なものである。

JA全中、自給率向上求める
 全国農業協同組合中央会(JA全中)は11日、先に食糧庁がまとめた米政策見直しの中間報告を批判する見解を発表した。見解では、中間報告が市場原理による米価下落で農家を選別・切り捨てる方向であるのに対して、食料自給率の向上と安定供給に、国として責任を果たすよう求めている。また、「集落営農組織が必要」とし、兼業農家を含めた地域の共同によるコメや転作作物づくりを提唱している。米価下落時の補てん制度についても、「廃止」を打ち出した食糧庁中間報告に対し、減反参加者へのメリット対策の具体化を求めている。

厚労省、さらなる雇用流動化狙う報告
 厚生労働省の私的研究会である「パートタイム労働研究会」(座長・佐藤・東大教授)は19日、最終報告をまとめた。報告では、企業がコスト削減のため正社員をパートなどに代替していると指摘、「正社員かパート」の二者択一から、正社員の賃金を業績主義に見直すとしている。また、パートの6割を占める有期雇用への保護措置が先送りされるなど、処遇改善の実効性に乏しいものとなっている。今回の最終報告では、実際には労働基準の緩和だけが進み、正社員が雇用の不安定なパートにますます置き換えられる傾向に拍車をかけるものである。

雇用保険料10月値上げへ
 厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会の雇用保険部会(部会長・諏訪・法政大教授)は19日、雇用保険料を0.2%引き上げ、月額賃金の1.4%とし、今年10月に実施することなどを柱とした中間報告をまとめた。また、11月末には、給付抑制策を盛り込んだ最終報告がまとめられる予定。報告は、長期の不況に苦しむ労働者、失業者にさらなる苦痛を強いるとともに、保険料を支払う企業、特に中小企業に深刻な打撃を与える。