20020715

日本のできごと

2002.06.30〜2002.07.09


地方交付税見直しに知事の反対根強く
 小泉内閣による地方交付税の見直し案に関し、多くの道府県知事が削減に反対していることが、7月9日までに明らかになった。小泉政権は、国庫補助、交付税、税源移譲などについての改革案を1年以内にまとめるとしている。だが、この見直しの方向に対しては、35の知事が「条件付き」と実質反対を表明、うち27知事は交付税削減に懸念を明言している。「交付税・補助金削減を先行させるべきでない」(浅野史郎・宮城県知事)、「交付税の機能縮小という方向は残念」(堀達也・北海道知事)など、地方の知事ほど反対・懸念が強い。市町村合併とも結びついた交付税見直しは地方のまるごと切り捨てにつながるものである。秋口以降の予算編成などで見直し案が具体化すれば、地方の反発が強まることは避けられない。

大都市優遇の特区創設案
 政府の都市再生本部(本部長・小泉首相)は2日、東京・大阪など17地域の市街地約3500ヘクタールを「都市再生緊急整備地域」に指定、重点的に整備することを決めた。具体的には、容積率緩和や金融支援などで海外を含む投資を呼び込み、金融センターやゲノム科学拠点などとして再開発を行おうというもの。東京都も臨海部を中心に、独自に環境アセスメントの緩和などで再開発を後押ししようとしている。大都市部の優先的開発は、グローバル化を進める金融資本など1部多国籍企業の利益にしかならないものであり、同時に、大都市部での支持基盤テコ入れを狙う自民党の思惑も絡んでいる。

5年以内に約 1900万人が転職?
 厚生労働省の雇用政策研究会(座長・小野旭東京経済大教授)は9日までに、2006年までのわが国産業構造の変化と雇用への影響について、報告書をまとめた。それによると、産業構造の中心がサービス業に移り、また海外生産による空洞化で製造業の雇用は70万人減るという。サービス業の雇用は117万人増え、産業間の労働力移動は201万人に達する見込み。これらの結果、5年間で延べ1895万人の労働者が転職を余儀なくされる。「雇用の流動化」の名の下、現実は中高年を中心とする雇用の「ミスマッチ」や労働条件悪化、失業増を容認することにつながる報告である。(社説参照

代表選挙に向け、混迷深める民主党
 9月に予定される党代表選挙に向け、民主党内の動きが活発化している。すでに鳩山代表、菅幹事長が出馬することが確実視されているが、当選回数2回以下の議員も3日、会合を開くなど「世代交代」を求める動きが強まった。この間、民主党は小泉政権に対する態度で動揺を繰り返すなど、「半小泉」の本質を再三現し、支持率も伸び悩んでいる。こうしたことから、代表選挙に向けた動きには、「顔のすげ替え」で支持率アップを狙う姑息(こそく)な意図が透けて見えるが、小泉の悪政と闘う方向を明確に示せない限り、国民の支持は得られない。

共産党80周年、堕落の歴史さらに
 共産党の創立80周年記念講演会が8日、東京で開かれた。講演した志位委員長は、小泉改革を批判しつつ、ヨーロッパ資本主義は「企業が社会全般に責任を負っている」と美化した。97年の第21回党大会以来、「ルールある資本主義」をめざす共産党だが、モデルである欧州では社民主義政党が「改革」・民営化を進め、雇用を切り捨てたがゆえに選挙で連敗、イタリアやスペインではゼネストが闘われている。共産党は、ますます共産主義を裏切る存在となり果てている。

景況感「改善」も説得力なし
 日銀は1日、6月の「短観」を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、3月の前回調査に比べ大企業製造業で20〇ポイント改善した。改善幅としては過去最大。政府は「景気の下げ止まり」を印象づけたいようだが、改善したのは電気機械など輸出関連業種が中心である。しかも、最近の円高や株安を反映していない。また、大企業の2002年度の設備投資計画は、前年度比で6.7%減少した。ましてや、日々の経営に苦しむ圧倒的多数の中小企業の実感からは、ほど遠い「改善」である。